月刊 現代農業
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田植えの時期
田植えの時期でも、お客さんからの注文に合わせてその日に精米し、発送します。これもお客さんにおいしいお米を少しでも早く届けたいからこそ

北海道の米が熱い

産直農家の北海道米が熱い
大好評! 7種類の米+混植ブレンド米で、お客さんに合わせた産直

松田清隆

産直を始めてから、品種が増えた

 北海道といえば畜産物・海産物・農産物が有名ですが、近頃は米も各方面で熱く取り上げられています。2年ほど前から知名度が上がってきた「おぼろづき」「ふっくりんこ」の2つの新品種が、北海道の米のイメージを180度変えてしまったからなのです。

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 とくに「おぼろづき」の評価は異常なほど高く、一種のブーム状態を巻き起こしています。最近東京のお客さんから「東京の新聞に『おぼろづき』が出ていたよ」と手紙をいただき、全国的にも注目されている品種だということを実感しました。これからの北海道米、本当に楽しみです。

 私の経営は水稲専業で耕作面積13.5ha、少しずつ産直の割合を増やし、6年前から全量産直を行なっています。JAに出荷していたころは、「きらら397」と「ほしのゆめ」を主体に、「彩」を組み合わせた3品種の栽培でしたが、産直を始めてからじょじょに栽培する品種を増やし、現在では7品種プラス独自ブレンドの混植米を栽培し、お客さんの嗜好に合わせて販売しています。

家族で新米の試食
家族で新米の試食。「おいしいっしょ!」「お客さんもおいしいって食べてくれるかな?」「これなら大丈夫っしょ!」と心配しながらもワイワイやってます。お客さんから「今年のお米もおいしいネ」と言われるとホッとします

 産直を始めたころの道産米は、とくに話題になるほどおいしい米がありませんでした。それでも値段の手ごろさと「農家から直接販売される米だから、顔が見える」というだけの評価で、運よく売れていたのです。

 しかしそれだけでは、いつ売れなくなるかもわかりません。私は「お客さんが求める米は、おいしくて、安くて、安心して食べることのできる米ではないか」と考えました。

 「安くて安心」は、当時から農薬を極力使用しない栽培を心がけ、手ごろな値段で販売していたので問題なくクリアすることができましたが、問題は「おいしさ」です。そこで、「お客さん中心の考えでの米づくり」を心がけ、お客さんの好みに合うような米を作るために品種も増やしていったのです。

「きらら397」と「彩」をブレンド

 またさらなるおいしさを求めて、試しに「きらら397」と「彩」を精米時にブレンドしてお客さんにお届けしてみました。「きらら397」の甘みと「彩」の香りと粘りのブレンド効果を狙ったのです。

 しかし、当時ブレンド米といえば街の米屋さんで売られている米の中でも最低ランクの評価です。そこで、毎年数回発行している「あぜみち」を通じ、お客さんに「松田のブレンド米は街で売られているブレンド米とは違い、『味を追求しているブレンド米』ですよ」と書き続けました。

きらら397
ほしのゆめ
八十九
ふっくりんこ
ななつぼし
写真提供:ホクレン

 それでも理解していただくのに2〜3年かかりました。次第に「ブレンド米送ってください」という注文が増えてきたときは、本当に嬉しかったです。今ではブレンド米の注文が当たり前になってきましたが、やはり「自分で生み出した米」という思いがあるだけに嬉しいです。

 現在は、「きらら397」と「彩」のブレンドから「ほしのゆめ」と「彩」の混植ブレンドに変えています。理由は、「彩」はタンパク含有量が少なく炊き上がりが軟らかいのに対して、「きらら397」はタンパク含有量が若干多く炊き上がりが硬いため、食感のバランスがややチグハグになるかな、と思ったからです。

 それに対して「ほしのゆめ」は、「きらら397」よりタンパク含有量が少ないため軟らかく炊き上がります。お客さまからも「ほしのゆめ」と「彩」のブレンドのほうがおいしいとの評価が大半です。

道東の人は「おぼろづき」が好き!?

 8種類の米を産直していると、おもしろいことに気がつきます。地域によって品種の好みに傾向があるのです。たとえば「おぼろづき」は、粘りが強いけれどももち臭がなく、クセのない味であるためか、予想以上に注文が殺到しています。しかし不思議と道央の方からの注文は少なく、とくに本州や道東の方が好んでいる品種かなと思います。

 理由はあくまで想像ですが、道東は昔から米づくりの少ない地域であるため、商業港の十勝港から本州の粘りのある米が入ってきて、それを食べ慣れている人が多いからかもしれません。あるいは北海道のなかでも寒さの厳しい地方なので、腹持ちがよく力が出る粘りの強い米を好んで食べるのでしょうか…?

 逆に米地帯の道央の方は、昔から北海道の米を食べ慣れているせいか、「おぼろづき」を食べてもらうと「粘りが強すぎる」と言われたりします。粘りが比較的少なく、ピラフに合う「ななつぼし」や、粘りはあっても比較的あっさりしている「ふっくりんこ」のような米を好む人が多いようなのです。

 全道的に人気があるのは「ほしのゆめ」と「彩」のブレンド米です。また数は多くないものの「彩」単品のファンも全道的に散っています。「彩」はもち臭が強いのですが、一度好んで食べるとその香りの虜になってしまうのか、ほかの品種の注文はまずありません。

 また松田には用途別の米の注文もよくあります。「ピラフを作りたいから、今回は『ななつぼし』を10kg送ってほしい」とか、「ブレンド米2袋と、アトピーの子供のために『ゆきひかり』も1袋送ってほしい」とかいった具合です。

部分刈りで、少しでも早く新米を届ける

 品種がいろいろあると刈り取り時期も少しずつずれます。しかし各品種についたお客さんはみんな新米を楽しみに待っています。そこで私はみなさんが少しでも早く新米を食べられるよう、まず各品種の登熟が進んだ部分を少しずつ刈って(もちろん早刈りにならないように注意してですが)、20〜30俵ずつ全品種を揃えてしまいます。だから、なかには真ん中だけ刈って周りのイネはほとんど残っているような田んぼもあり、近所の人から「どうやってあそこだけ刈ったんだ?」と不思議がられることもしばしばあります。本格的な収穫作業はそれからです。

 もちろん手間はかかりますが、お客さんと直接の心の触れ合いが、数倍の喜びを与えてくれます。「今年の新米もおいしいね」とのお客さんの声を聞くのが至福のときです。

  (北海道深川市一己町)

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