月刊 現代農業
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野菜・花

痛快!野菜一株増収術 第2弾
(赤松富仁撮影)
(赤松富仁撮影)

トマト大作戦その1
あらゆる腋芽を活かすオリジナル全伸栽培

滝沢久雄

「果房の下の腋芽は伸ばせ」という記事を読んで

 わが地は標高600〜700mくらいに位置し、長野県でも比較的冷涼な所です。そのせいか、加工トマトを栽培している農家が多数見受けられます。それを見ていて次のことに気付きました。

保育園児たち
10月27日、近くの保育園児たちがやって来た。農薬を使ってないから、もいだそばから食べられる

(1)連作である。

(2)芽かきをしない、放任である。芯止まり品種ということもあるが、芽は全部伸ばしている。

 これらのことからトマトは連作してもよく、芽はかかないほうがよいのではと考えました。

 7年ほど前のことでしょうか。試しに私も芽をかかずにやってみました。が、このときは誘引しなかったせいか、みごとにやぶになり、ほとんど収穫が見込めない状態。次から次へと伸びてくる芽をうまく整枝していかないことには生食用品種ではうまくゆかないことがわかりました。

 それでも私は『スイートコーンの作り方』(農文協)を読んでトウモロコシは腋芽を一切かかないのがよいと知るにつけ、トマトでもなんとかよい方法はないかと考えていました。そんな時、「現代農業」に栃木県の小川光さんの「花房直下側枝全伸栽培」の記事(2000年9月号)が載り、これだと思い、そのようにやってみました。記事によると果房直下の側枝だけを伸ばすようですが、やっていくうちに芽という芽はすべて伸ばしてもよいと考えるようになりました。

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 私は露地での栽培ですので、まずブドウ棚のように胸の高さの棚を作り、その高さまで誘引しました。後はその棚上をはわせます。これはかなりうまくゆきました。

 それから、上へ伸ばすのと横に伸ばすのを組み合わせたりしました。昨年は、「そうだ、立体的構造物を作り、そこからひもでつり下げればいいぞ」と気付きました。

骨組みを竹で手づくり
縦横無尽に伸びる芽を整枝

 その構造物を何で作ったらいいか、わが家に豊富にある竹を利用することにしました。そうすれば竹林がきれいになり、タケノコ生産にも有利で、一石二鳥です。竹の枝は落とすのに多少手間が掛かりますが、本来丈夫な木材。虫にさえ食われなければ、何年でも持ちます。

「立体的構造物」
整枝するための「立体的構造物」

 しかしこうやって苦労して竹の建造物を作っても、本当に毎年こんな手間かけられるのだろうか、と悩みながら作業していました。やっていてふっと気付いたのですが、針金で縛って半永久的建物にしてしまえばよい。後はその場所に毎年植え付ければよいわけです。

 さて竹からトマトまでの引っ張るひもですが、私は麻のバインダーひもを使っています。1年で一巻、二巻くらい平気で使います。小川光さんも書いておられますが、この栽培法のネックはその整枝にあります。まさに縦横無尽に伸びる芽を重ならないようにうまく伸ばしてゆくのですが、これをしだしたら一日はあっという間に過ぎ去ります。ですから、手間と暇をかけられる家庭菜園の方におすすめです。

 手を抜く方法に伸びてゆく芽先をひもにからませる、という方法があります。これだといくらかのひもの節約になります。

肥料は草だけなのに、秋まで収穫

麻ひも
竹の棒から吊った麻ひもで側枝を整枝する

 肥料はどうするのだろうかと思うかもしれませんが、私の手元にあるものといえば、刈っても刈っても生えてくる草だけです。近所の人の田のアゼに刈り倒してある草をもらってくる、共同で刈った草をもらってくる、などして、それを根元に置いてやるだけです。それで秋までトマト君は元気、元気。

 ただ根元を虫にかじられることがあり、往生しています。なんとかというガの幼虫らしいんですが、なんと3〜4cmもあって、茎の髄部分をずうっと食っていってしまいます。ある日突然トマトがしおれたら、それはこの虫。フンをいっぱいつけて大きな穴があいています。針金でつついてやっつけようとするのですが、うまくゆかない。それでも秋になるとこの虫もいなくなるみたいで、春から夏だけ注意しておけば、あとはほとんど気にする虫もいません。

 柿酢200倍液を噴霧したりしますが、連作のため多少の病気は目をつぶるしかありません。それでも元気がよければ芽はいつまでも伸び、秋の涼しい時期でも赤いのがボチボチとれます。

喉を潤すトマト狩り

トマト一株増収への道

 秋は園児たちをよんでトマト狩りです。ついでにサツマイモも掘ってもらいます。喉が渇けばそこにはたわわに実ったトマトがあるわけです。秋の一日、こんな楽しいこともできるのです。

 私は私で焚火をして、掘ったイモを銀紙で包んで焼きイモつくり、としゃれこみます。サツマイモ掘りで疲れた園児たちにアツアツのイモの提供です。去年はここで「焼きイモの歌」なるものがとび出し、私は感動しました。

 古代アンデスの地でモンゴロイドの住民たちはいったいどんな気持ちでこのトマトを作ったんだろうと思いを馳せます。私は秋の風に吹かれた自然に生かされているんだなと感じています。見上げるとトンボたちがスイスイと飛び、転じればはぜ掛け終わって残されたはぜ棒がある、その下で育つレンゲたちが来春いっぱい花をつけてくれるだろうかと思っています。そして来年も園児たちがその中で楽しんでくれるだろうかと思っています。(長野県東筑摩郡筑北村)

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