月刊 現代農業
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「秘伝まめみそ」(土屋清美撮影)
「秘伝まめみそ」(土屋清美撮影)

今、直売所でひそかなブーム 変わり味噌

手前味噌がうまくできたら変わり味噌にも挑戦
梅味噌、豆味噌

今田みち子

味噌を大量に作りすぎた

 毎日味噌汁を欠かせないわが家。おいしい味噌ならさらに食欲も増してくる。以前は、味噌を自分で作る余裕がなかったので、たっぷりこうじを使った甘口12分味噌なるものを求め、食べていた。しかし、元来手作りが好きで、何にでも挑戦したがるもの好きゆえ、多少時間に余裕を持てるようになったら、さっそく味噌作りにも挑戦してみた。

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 こうじをはじめ、味噌作りの機材などない。蒸した米にはぜ(タネこうじ)を合わせ、新品の米の紙袋に入れ電気毛布で保温。ときどきかき混ぜながら手入れをし、真っ白なこうじが見事に出来あがったときには、すばらしい感動を覚えた。

 ふきこぼれに気を使いながら、時間をかけ、大鍋で加熱した大豆は、もちつき機を使ってつぶす。塩はミネラル分を多く含む真塩を使った。大豆、こうじ、塩をよく混ぜ合わせ、仕込み桶にたたきつけるように味噌玉を投げ入れ、重石の代わりに、ポリ袋に入れた塩をのせた。程よく慣れる頃、土用過ぎが楽しみである。

 こうして仕込んだ味噌は予想をはるかに超えた出来栄え。本当においしい味噌ができた。手前味噌とはよくいったものだ。

 最初は少しから始めればよいものを、いきなり大豆30kg、米40kgで仕込んでしまった。家族で食べきるにはあまりに多すぎる。

 私は農産加工品を産直に出し、完全予約制の地産地消の田舎料理を提供する農家レストランを開いているので、ありあまる味噌を活用することにした。

筆者
筆者

キュウリにぴったり、シソ巻きにも

 初夏から秋口までは「当農家レストラン楽舎のおさしみです」と、もぎたてのキュウリに生味噌を添えてお出しする。採りたての味と手作りの味噌、最高の贅沢を味わっていただく。

 シソが出始めると、味噌にもち粉、片栗粉、ゴマ、砂糖、酒などを混ぜて練り味噌を作り、シソ巻きにする。これを冷凍保存しておき、油で揚げて随時出す。酒好きの方には肴に絶品と賞賛された。

農家レストラン、産直で人気の変わり味噌

▼フキノトウ味噌…春一番の香り

 春、雪解けとともに顔を出すフキノトウ。春の芽吹き、ほろ苦さで元気をいただく。炊きたてのご飯にフキノトウ味噌を添え、春一番の旬の香りを味わっていただいたところ、おいしいと満面の笑顔が返ってきた。

ふきのとう

フキノトウ味噌

【材料】

フキノトウ……40g 味噌……80〜100g 砂糖……20g 酒……少々

【作り方】

(1) フキノトウは塩を入れたたっぷりの湯で茹で、すばやく冷水にとる

(2) 味噌、砂糖、酒を火にかけ練り味噌を作る

(3) (1)のフキノトウをきつくしぼり、細かいみじん切りにする

(4) 練り味噌に(3)を混ぜ合わせる

▼梅味噌…梅はジャムにしておく

 梅の季節には、完熟の実でジャムを作っておく。ジャムにしておけば、好きなときに好きなだけ、梅味噌を作ることができる。また、用途に応じ、練り加減も変えている。ナス、インゲン、カボチャなど素揚げの夏野菜にかけるときは、普通のやわらかさ。肉料理の付け合わせの野菜やサラダのドレッシングに使う場合は、練る時間を短くしてやわらかめに。酢味噌和えの和え衣にするときは、固め。

 熟しすぎて、皮が破れた実は梅干しには使えない。でも、もったいないという思いと好奇心が思わぬ形となり商品化に結びついた。かわいそうに、もう捨てられるところだった梅の実が、たいへん重宝がられているのだ……。

梅

梅味噌

【材料】

梅(完熟したもの)……1kg 砂糖……800g 味噌……1.6kg

【作り方】

(1)梅は蒸して、裏ごしをし、タネを取り除く

(2)鍋に(1)と砂糖を加え加熱し、煮溶かす

(3)味噌と(2)をミキサーにかけクリーム状にし、さらに火にかけ好みの濃さに煮詰める

※(2)の梅ジャムの状態で冷凍保存をしておけば、いつでも作れる

▼豆味噌…揚げ豆と練り味噌を別々に

 昔、祖母がよく自家野菜を使い保存食を作り置きしてくれた。豆味噌などもその一つである。炒り豆を使い、歯ごたえのあるできあがりだったような気がする。どちらかというと硬いものは今、敬遠されがちである。それならばと、揚げ豆にしてカリッと歯ざわりよく仕上げ、練り味噌と合わせてみた。これなら歯が弱くなった人でも食べられる。カリッとした食感、揚げ豆の香ばしさもなかなかの評判だ。

 ただ残念なことに練り味噌と合わせ長時間おくと、豆が味噌の水分をとりこみ、せっかくのカリッとした食感がなくなってしまう。そこで、産直に出す味噌豆は、揚げ豆と、練り味噌を分けて詰め、「秘伝まめみそ」と命名(「秘伝」は大豆の品種であり、楽舎の秘伝ではないのだが……)。そして、「練り味噌と揚げ豆を混ぜてお召し上がりください」と注意書きを添えてみた。意外にもこうしたちょっとした気配りが喜ばれている。

大豆

豆味噌

【材料】

乾燥大豆……500g 味噌……500g 砂糖……250g ネギ……1本 揚げ油……適宜

いつでも豆がカリカリ
練り味噌と揚げた大豆を区切って販売すれば、いつでも豆がカリカリ

【作り方】

(1)大豆は洗って水浸けし、十分にふやけたら水切りし、油でよくかき混ぜながらカリッとなるまで揚げる

(2)厚手の鍋に味噌と砂糖を加え入れ、火にかけて練り合わせる

(3)ネギはみじん切りにし、(2)に加えさらに加熱する

(4)(3)の味噌に好みの量の(1)を加えていただく

味噌の仕込みをもっと増やそう

 いずれも、身近な素材を使った調味味噌や惣菜は、家族では食べきれない量の自家製味噌の利用法としてはじめたもの。味噌そのものよりさらに付加価値も加わり単価も上がる。

 しかしこのところ、レストランにおいでいただくお客様や、対面販売での即売会で「楽舎の手前味噌」が人気上々で、頼まれると断りきれずお譲りする。去年は当初の三倍仕込んだものの、新しい味噌が出来るまで持つだろうかと心配している。今から仕込む味噌はさらに大豆30kg・米40kg増やしてみようかと計画している。

(山形県河北町)

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