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野菜も花も
貯金を残す作物、食いつぶす作物三重県松阪市・青木恒男さん
編集部
元肥ゼロで必要な分だけ追肥で補えば「肥料代は5分の1ですむ」という青木恒男さん。不耕起・半不耕起のベッドで花や野菜を作り、残渣はすべて畑に戻す。じつはこれが大切な肥料で、肥料代を安くするひとつのカギになる。でも残渣を上手に活かすには、収穫して商品として外に持ちだされた分と、残渣として残った分が、どれくらいあるかを知っておくことが重要になってくる。
「まあ、『施肥の貯金通帳』みたいなものでしょうかね」
残された肥料の収支バランスが合うように、青木さんは前作と後作の組み合わせを考えて植えていく。そうすれば、過剰に肥料を残すこともなく、ムダな肥料もやらずにすむわけだ。
トウモロコシは貯金型作物
たとえばトウモロコシ。背丈にすると2.5mくらいだが、収穫する実の重さはせいぜい400g。残った樹は生重で1.5kgくらいある。それをすき込めば、やった肥料(チッソ10kg、カリ10kg)はほとんど畑に貯金されたと同じこと。しかも緩効性の有機肥料だ。次作に植える野菜や花の肥料はかなり減らしても大丈夫。
菜っ葉類は貯金食いつぶし型
トウモロコシと正反対なのが、ハクサイやキャベツやホウレンソウなどの菜っ葉類。できたものの8割以上が商品として収穫されるので、やった肥料はほぼ出荷してしまうことになる。貯金残高はわずかなもの。次作に植える野菜の追肥は少し多めにやればいい。
ストックはカリ貯金を残す
青木さんの主力品目であるストックも、地上部をほとんど商品として売ってしまうのでチッソの貯金はあまり残らないが、残効としてカリの成分が結構残る。ストックは出荷する直前までカリを効かせないといけないからだ。チッソ分は商品としてほとんど持ち出されているので、カリ多めでチッソ少なめの貯金となる。この状態だと次作の野菜の活着はよくなるそうだ。
意外に多い果菜類が残す貯金
それから果菜類。収穫が終わると樹のようになるわけだが、これを裁断して畑に戻すと、やった肥料はほとんど貯金されると思っていい。たとえばシシトウは、10a当たり4tくらい出荷する。相当な量が商品として持ち出されるわけだが、出荷する実の成分はほとんどが水と、やった肥料の1割程度のチッソ分だけ。残り9割のチッソ分は樹と根っこに残されるので、貯金残高は高いほう。ただ、分解されるのが遅いのですぐに下ろさない定期貯金みたいなもの。ジワジワと効いてくれるのだ。
前作、後作の相性も重要
肥料分がどれだけ残ったかを考えるだけでなく、前作と後作の相性を知っておくことも大切なこと。最悪な組み合わせは、ピーマンやシシトウなどの果菜類を作ったあとのストックだ。これはアレロパシーなのか何なのか、試験場でも解明されていないそうだが、必ず出来が悪くなってしまう。
トウモロコシ残渣をすき込んだところ。10a当たりチッソとカリそれぞれ10kgの肥料として貯金されたことになる いっぽう、相性がいいのはトウモロコシとストック。ストックの貯金はカリが多いわけだが、おかげでトウモロコシの活着はよくなる。この貯金をもとにトウモロコシが体に蓄えた肥料を次のストックに送るといういい関係。お互いの肥料(貯金)が有効活用されることになる。すると、ストックは肥料代が慣行に比べて10分の1ですんでしまうことになる。
カルシウムを欲しがる野菜の順序
それと、青木さんの圃場は水田転作田だからpHが低い。だから半不耕起ベッドにカキ殻石灰を層状に入れる(172ページ参照)のだが、ベッドをつくったら、何作もするうちにカルシウムの効きもだんだん悪くなっていく。だからカルシウム欠乏がいちばん出やすい作物から植え付けていく。順番としては(1)ホウレンソウ、(2)ハクサイ、(3)エンドウだ。その次あたりにキャベツ、ブロッコリーなどがくる。
エンドウなどのマメ科はカルシウムを必要とするものだが、チッソは大量に残してくれるので、その後に植えるキャベツなどは肥料ゼロでも充分いける。
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