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リンゴのフラン病
フラン病を納豆で防げるって聞いたけど、本当かな? 詳しいやり方教えておくれ。
溝切り+納豆巻きの治療法考案
●前島文治
11月から1月は樹を傷つけてはいけない
フラン病は、枝幹を侵し枯死させる病気で、侵された樹皮は変色して最終的には黒色になり、無数の微細な突起が表面に出てきます。病斑部を観察すると、樹皮部分は柔らかくなり、さらに形成層から木質部が深さ数mmまで赤く変色します。
病原菌の正体は、カビの仲間、子のう菌類です。大きく描けば、早春のツクシに似ています。菌の根は形成層から木質部に張り付き養分を吸収、どんどん成長してツクシのような穂を樹皮から出し、胞子を放って蔓延します。枝幹では菌糸の先端部が伸張して病斑を拡大させます。
フラン病の侵入門戸は、おもに以下の3点です。
溝切り+納豆巻き処置に使うもの (1)せん定での切り口や生傷
フラン病に侵された枝(褐色の部分。周囲の溝はチェーンソーで切ったもの) (2)大きくなったリンゴ樹を掘り上げ移植するため、主幹をロープなどで強くしめつけた部分
(3)果実の取り残しなどにより枝に残された
経験上、とくに寒冷な11月から1月までの休眠期にせん定や移植を行なうと、ほぼ必ず感染します。したがってこの期間のせん定や移植は避けること、また果実や果梗は枝に残さないことなどに注意します。
病斑周囲の溝切りで栄養を断ち、納豆菌で抑え込む
フラン病では、根部は侵されません。土にはいろいろな菌がいるため、何らかの菌がフラン病に効果があると推測できます。これが泥巻き法のヒントになりました。
泥巻きは、土の付着をよくするためにイナワラを混入すると、よりよくできます。試しにワラのみで病斑部を巻いた場合も効果はありました。ワラには納豆菌の胞子が多数付着しています。それならば納豆のみを使ってはどうか、試用してみたところ有効でした。
病斑部の周りに溝を切る。5〜10mm切っても底が褐色である場合はまだ病斑の範囲なので、さらに外側に溝を切りなおす さらに菌糸の伸張と病原菌への栄養分を断つために登場するのがチェーンソーです。患部の周囲をぐるりと溝をつける手術をするだけでフラン病の勢いは急速に弱まります。病斑部の樹皮を削り取る必要はありません。
以上の経験をもとに私が行なっている処置の方法は以下の通りです。
(1)納豆ジュースを用意する
まず納豆約750gを2回に分け、家庭用ミキサーで粉砕(ミキサー容器の半分くらい水を加えるといい)。できた液をプラスチック容器に入れ、5リットルになるまで水を足す。納豆菌を生かすため、水道水の場合は一日くらい汲み置いたものを使う。一度に使い切らない分は冷蔵保存する。
(2)チェーンソーで溝を切る
病斑の外側3cmくらいをぐるりと一周、枝の太さに応じて深さ5〜10mmくらいの溝を切る。
納豆ジュースを染み込ませた綿布(または紙オムツ)を巻き、上から肥料袋を巻いて樹に直接タッカーで留める
処置後10カ月後、納豆巻きを剥がしてみた病斑。すでに 溝がカルス(癒傷組織。かさぶたのようなもの)で埋まり、病斑の広がりは止まっている。なるべく長い期間巻きっぱなしにしたほうが治療効果は高い (3)病斑部に納豆ジュースを染み込ませた綿布(または紙オムツ)を巻く
少し厚めの古い綿布か紙オムツによくかき混ぜた納豆ジュースをしたたり落ちない程度に染み込ませ、病斑部にあててタッカーで留める。綿布の場合、さらに病斑部より大きめに切ったビニール(肥料袋など)をタッカーで留め、納豆ジュースの乾燥を防ぐ。ただし樹皮が蒸れないよう、ビニールは枝幹全周には巻かない。
溝切りも納豆巻きも一人でラクにできます。あとは数年そのままにしておくだけ。納豆菌は7年間生存しています。形成層と木質部の赤い筋と葉の病変は、時間の経過とともに改善。ほぼ確実に治癒するため、試した方々は驚かれます。
フラン病が見えたらなるべく早く、枝幹に少しでも健全部分があれば果実は収穫できるので、処置を実行してください。もし処置後にも病斑の延伸が見られたら、処置範囲が狭すぎたためですので外側にもう一度実行してください。
特許は取得してありますが、リンゴ農家のみなさまから特許料は頂きません。納豆ジュースはアンモニア、アンモニア態チッソが発生するためかなりにおいがありますが、この物質も効能の一部と思ってください。
(長野市赤沼)
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