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筆者
ちゃんと効かせるための防除機器

ブドウ農家就農3年目
雨量計はなくてはならない道具

大野博貴

安定生産と減農薬、同時達成のために

 兼業農家の父母から約1haのブドウ園を引き継ぎ、専業農家として家族を支えていこうと決めてもう2年が過ぎました。35歳でサラリーマンを辞め、悩んだ末に2度目の就農を決断しました。

 一度目は、大阪の農業大学校を卒業後、アメリカで1年間、農業研修生として学んだあと、父母を手伝っていたときです。しかし、22歳のときに経験した雹(ひょう)による壊滅的な被害に将来が不安になり、断念してしまいました。

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 専業農家で生計を立てていくには「農業単独での黒字化」が必要です。そのために「ブドウの安定生産、安全安心を徹底した商品性の向上、コスト削減および適正価格での販売で利益率の向上」を掲げてスタートしました。この三要素のすべてにかかわるのが減農薬での安定生産です。その取り組みの第一歩として雨量計を製作しました。

 果樹の安定生産にとって、病害虫防除は重要な作業の一つです。しかし、安全安心に対する消費者の意識は年々高くなり、農薬散布を少しでも減らすことは急務です。安定生産と減農薬というどちらも優先したい二つの課題に臨むため、散布後の降雨量を雨量計で測定することで薬効を最大限に活かし、また、その効力が切れる直前に次の保護殺菌剤を散布していくことで、高価な特効薬を使わずに病気を抑え込めるのではないかと考えました。ほとんどの病気は雨によって感染が拡大し、農薬の薬効期間も散布後の降雨量に左右されるからです。

雨量計の作り方

〈材料〉

・キャンプの水用ポリタンク…半透明で、大きさは10リットルがちょうどよい。

・ジョウゴ…直径ができるだけ大きいものがよい。私はホームセンターの塗料売り場で一斗缶用の直径20cmくらいのものを見つけた。

・ビニールテープ(3色、赤・黄・青または緑)

・油性マジック

〈手順〉

(1)ポリタンクのキャップにジョウゴを差す穴を開ける。私が購入したタンクは、Aの口とジャバラのホースを付けるBの口が同じ口径だったので、カッターナイフでも切り取りやすかったジャバラホース側のキャップを加工して穴開きキャップを作った。

(2)穴開きキャップとジョウゴをAの口にセット。Aに付いていたキャップはBに。

(3)雨量50mmごとにタンクに目盛りをつける。直径20cmのジョウゴの場合、降雨50mmに相当する水量は1.57リットル。1.57kg(リットル)ずつ水を足しながら、順次50mm、100mm、150mm……300mmと印を付けた。青、黄、赤と信号のように一目でわかるようにテープを貼って完成(目盛りの付け方は本誌07年6月号190ページ参照)。

雨量計の使い方

 雨量計の作り方は上のとおり。材料費は1800円程度でした。

 使い方は、圃場のそばに水平にして倒れないように置いておくだけです。農薬散布後、雨量計のタンク内を空にした状態から出発して、雨量を測定しながら次回の農薬散布日を決めるのです。

 散布予定日までに多量の雨が降ったときは早急に薬剤散布を準備して、残効が切れる前に次の農薬散布。雨量がゼロのときの各農薬の残効期間か、薬効がなくなるほどの降雨量に到達するか、どちらか早いほうで薬剤散布日を決定していきます。

 農薬の残効期間は製造メーカーに問い合わせるのが間違いないと思いますが、条件や環境が変われば基準どおりとは限らないので、自分でデータを取って運用規準を作成するのがよいと思います(編集部注:2007年6月号184〜185ページには、おもな殺菌剤の残効期間と耐雨性の目安が紹介されています)。

ベト病はまずまず、晩腐病には苦戦

 自作の雨量計を2シーズン使用しましたが、現時点では減農薬で発病をうまく抑え込むことはできていません。

 ブドウに使用できる保護殺菌剤の残効期間は2週間程度のものが多い(雨量ゼロの場合)ですが、2007年度を振り返れば、梅雨のあいだは2週間以上切れ間のない雨が続きました。降雨量も150mmを限界雨量と考えていましたが、このときは大幅に超えてしまいました。ベト病はまずまず抑えられましたが、晩腐病にはかなり苦戦しました。

 今後の課題は、農薬ごとの特性を理解して薬剤を選択することや、休眠期から生育初期の体系防除の徹底、病気も害虫も予兆を見逃さないように目印やトラップを付けて観察・確認することなどです。また、適正な樹勢の維持管理と耕種的防除の組み合わせや、スピードスプレーヤのノズルをドリフト防止タイプの噴霧粒が大きくて付着量の多いものへ替えること、噴霧圧力と散布量および散布方法の研究など、いろいろな手段を組み合わせないと減農薬はできないと感じています。

 それにしても、私のような経験の少ない新規就農者にとっては、基準をつくる道具やデータがまず必要です。経験を積んだ農家にはあたりまえのことが、私たちにはそうとは限らないからです。積算降雨量は感覚ではわからないので、雨量計で測ることが大事だと思います。農薬散布を少しでも減らすためにも雨量計はなくてはならない道具です。

(ぶどうの大幸農園 三重県伊賀市 http://budouno.com

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