月刊 現代農業
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見つけた!山の宝

さっちゃんの葉っぱインターネット産直が始まった

下井幸恵

金の葉っぱ

 こんにちは!
 お料理に彩りを添える木の葉(つまもの)と木工品をインターネットで紹介している「武の花」販売担当・下井幸恵です。通称・さっちゃん、60歳。思い立ったら即行動に移す土佐のはちきんばあちゃんです。

 十数年前、「彩」のつまもので名高い徳島県上勝町に視察研修に行ったときのこと。彩の仕掛け人の方が講演のなかで「宝物は視線を少し変えてみると見つかるもの」というのが耳に残りました。お昼のお弁当にも、紅葉したカキの葉とモミジの葉が添えられ季節感が溢れていました。ふだん見慣れているはずのカキの葉が、すごく豪華に見えたのです。

 自然が創った芸術品、これがつまものと呼ばれ、上勝町では金の葉っぱでした。

うちの葉っぱも宝物

筆者

 梼原は林業の盛んな町です。ヒノキの葉っぱも木も売って一石二鳥! 一瞬、そう思ったのです。しかし、そのときは思っただけで、現実は勤めと家業の建設業の手伝い。そのあいだに農作業、直販所に木工品や農産物を出荷……と忙しい月日だけが過ぎていました。

 娘が孫を連れて里帰りしたときでした。孫たちは、川原の石と流木の小枝を拾ってきてこういうのです。

「ばあちゃん! 宝物がいっぱいあっていいね」
「宝物探ししているみたいだね」

 小石を洗いながら大はしゃぎしていました。

 そう、宝物は山にもある。あらためて上勝町で聞いた話を思い出しながら、自分のまわりにある宝物に気がついたのです。

 平成16年ごろから公共工事の仕事が減少しはじめていました。影響はしだいに広がり、過疎化がいっそう進みそう。私自身も不安になっていました。明るい話は聞けなくなって、誰かに会えば、互いに口に出るのは「いけんね」「なんともならんね」ばっかり。

 女ひとりが頑張ったってどうにもならないことかもしれん。でも何かやってみんと。

 こうして、葉っぱのことを真剣にやろうと決心したのが18年の春のことです。

パニック、そして初めての注文

「武の花」ホームページ
http://www.takeno-hana.com/
昨年(8〜12月)の葉っぱの売り上げは20万円くらい

 しかし、いざとなってみると、頭で考えたような調子にはなかなか進みません。樹の名も草花の名も、知っているようで知らない。種類や名前を調べることから始まりました。手当たりしだいに葉っぱや草花を集め、デジタルカメラで写真を撮る。それを何度も繰り返し。名前、特徴、サイズ、採取時期などをできるだけ細やかに記録しました。一時は、部屋中が木の葉と草花の山になりました。あるときは、町内に300種類以上ある薬草の資料をいただいたりして大助かり。日本料理の本、山野草の本、薬草図鑑と睨めっこしました。

 どうやって販売しようかと考えて、インターネットの勉強も始めました。ところが、週2〜3回の2時間コースが始まったのが家業の決算期と重なり、パニック状態。

 ホームページを開設して、初めて注文をいただいたのは、忘れもしない昨年8月6日のことでした。関東地方の焼き肉屋さんから、ササ・クリ・モミジ・ナンテン・ヒノキの葉っぱを計15パック。最初の注文が、思いのほか量が多かったので集めるのがたいへんでした。

つまもの葉っぱビジネスの工夫

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 そんな開店して日の浅い「武の花」ですから、日々失敗の連続、試行錯誤の繰り返しです。

 新鮮な葉っぱをお客さんに届けるには、早く届けることとともに保存法も大事。時間を見ては本を調べ、試してきました。

▼ササは塩水処理

 いちばん気を遣うのはササです。採取してきたらすぐ水に浸す。1時間くらい水に浸して汚れがとれやすくなったところで洗う。すぐ、海水濃度(3%くらい)の塩水を準備して2〜3時間浸す。水を切って発送の準備。

 塩水に浸けるのは、葉が巻かないようにするためと、色を鮮やかにするためです。浸す時間が2〜3時間なのは、宅配便の発送時間に間に合わせるためでもありますが、あまり長く浸けると、色が抜けやすくなるのではないかとも思うからです。

 洗ったり塩水に浸けたりしてから水を切った葉っぱは、発泡スチロールのトレイに重ねて入れてラップをかけます。乾燥を防ぐため、葉っぱの下に水で湿らせたシート(さしみの下に敷かれているような白いシート)を敷きます。

▼引き潮の時間には採らない

 また、葉っぱは、採り置きしないでお客さんの配達希望日に合わせて採取。それも、引き潮の時間には採らないことにしました。葉っぱではないですが、とくにシキミは、引き潮の時間に採った枝からはパラパラと葉が落ちやすくなります。葉っぱを採るときも、元気で長持ちさせるには、満潮の時間帯に採るのがよさそう。採ったあとの木への負担も少なくできるかな、とも思います。

▼ガラス容器で厳しく選別

 採取するところはできるだけ山の中。道路の周辺は避けます。自然の中にあるものですからサイズ揃えが難しい。捨てる勇気を持って、自分がその商品を使う立場で選別しています。

 モミジなどを選別するには、見やすくするのに透明のガラス容器を使っています。直径が25cmくらい、深さ7cmほど。このなかに水を張り、一度に50〜60枚のモミジを入れて、よくないものを除いていきます。


クリの葉。長さ12〜15cmの葉10枚、200円。季節を彩る

ササ(ヒメコ笹)。25cm前後の葉20枚、200円。いちばん人気の葉っぱ

ヒノキ葉。10cmの葉が20枚で150円。殺菌効果が注目されてます

ナンテン。10〜12cmの葉20枚、250円。防腐作用もあるので魚料理などに添えて

カキの葉。10〜20cmの葉が10枚で250円。季節の移ろいを演出
 

ナンテンの栽培を始めた

 出荷直前にササの種類を間違えていることに気がついて大慌て。1パック150円の商品のために30kmも離れた山まで主人に走ってもらったり、なんて失敗もありました。いちばん厳しいと思ったのは、冬の水仕事。指が切れるほどの冷たさ、感覚がなくなってしまいます。これから12月までは大丈夫ですが。

 それでも、葉っぱを気に入ってくださる方が増えつつあるのは本当にうれしいです。主婦の方やインターネットに料理のブログを開設している方、料理番組の関係者などお客さんはいろいろ。梼原の葉っぱを使ったお弁当画像をブログに載せていただいているのを見たりしたときは、安心すると同時にとてもうれしくなります。つい最近は、卸売市場の方から問い合わせが入りました。

 お顔が見えないお客さんです。精いっぱい心を込めて、梼原の葉っぱ、届けたいと思っています。

 ササは家のまわりで栽培するわけにはいきませんが(どんどん広がってたいへん)、ナンテンはいろいろな種類を家のまわりに植えてみています。ナンテンには、葉が緑色のものや赤くなるもの、葉が小さい生け花用のもの、丸いもの(お多福南天)など、いろいろな種類があります。それを、西日がよく当たるところや、ずっと陰になるところなど、条件を変えて植えてみて色合いの変化などをみたいと思っています。

「武の花」は、二人三脚で踏み出したアリの一歩です(主人は木工品作成担当)。木を育てながら多くの仲間づくりにつながればと思っています。ゾウの一歩に近づけるように。

(武の花 高知県高岡郡)

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