月刊 現代農業
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●巻頭特集 光合成細菌 & 納豆・乳酸・酵母菌

手作りの納豆・乳酸・酵母菌液「あいちゃん」
手作りの納豆・乳酸・酵母菌液「あいちゃん」を持つ筆者。左が作りたて、右が作りおきのもの(撮影はすべて赤松富仁)

病害虫を防ぐ、暮らしに役立つ
納豆・乳酸・酵母菌

市販の納豆菌農薬がヒント
「あいちゃん」でバラのウドンコ病が減る

河合正信

農薬散布が楽しい人はいない

 私は愛知県の田原市でバラ栽培をしています。妻が販売を担当していて、バラは産直ギフトとして全国に発送しています。

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 私が納豆とヨーグルトなどでつくる「えひめAI」を葉面散布しようと思ったのは農薬の使用量を少しでも減らせるかなと思ったからです。『現代農業』の読者で農薬散布が楽しい人はいないと思います。農薬の使用量や散布回数が減れば、経費削減にもなりますし、自分の身体にもいいです。何よりも農薬散布を減らして育てたバラは「日持ちのよい元気なバラ」として、お客さんに喜んでもらっています。

イス取り農薬、ボトキラーがヒント

 しかし施設でのバラ栽培では、一年中ウドンコ病と付き合うことになります。困ったことに、バラの管理温度がウドンコ病の発生条件とピタリ合うのです。ウドンコ病の農薬散布回数が減ってくれれば作業時間的にかなりラクになります。

日持ちがよいと評判のギフトバラを持つ妻
日持ちがよいと評判のギフトバラを持つ妻・恵子
「あいちゃん」を散布
「あいちゃん」を散布して、葉の上を納豆菌などで満室にしてしまう。通路には雑草のカタバミをマルチ状に茂らせている。手前に見えるのは散布した米ヌカ。ここにもかかるように散布する
ステム(茎)が太く、葉柄が立っているのが自慢
ステム(茎)が太く、葉柄が立っているのが自慢

 そんなとき、「ボトキラー水和剤」という農薬の存在を知りました。この農薬は化学農薬のように菌を直接殺しません。散布すると、さながらイス取りゲームのように、納豆菌の一種のバチルス菌が植物の表面を占領して、あとから来る病原菌の定着する場所をなくしてしまうという作用の農薬のようでした。

 今までの農薬は病害虫をやっつけてくれるありがたい存在とはわかっていましたが、バラにダメージを与えているのも感じていました。ボトキラーならバラに対して化学農薬のようなダメージは少ないだろうと思い使用してみましたが、葉がとても汚れてしまいました。お客さんのイメージとしてよくないので使えないなと思いましたが、考え方に共感が持てました。

2、3日前に散布した米ヌカ
2、3日前に散布した米ヌカがすぐに発酵してカビが生える
土は見事に団粒化している
米ヌカの下の通路を手で掘ると、驚くほど軟らかい。土は見事に団粒化している
ウドンコ病の病斑が乾いて、広がらない
「あいちゃん」をかけると、難敵・ウドンコ病の病斑が乾いて、広がらない
「あいちゃん」の材料
「あいちゃん」の材料。黒砂糖300g、イースト菌20g、ヨーグルト100g、納豆20粒、500ccの水(パイロゲン1500倍)。これで9リットル分の材料。経費は約500円
水に黒砂糖とヨーグルトとイーストを入れたところに納豆を足して、ジューサーにかけて混ぜる
水に黒砂糖とヨーグルトとイーストを入れたところに納豆を足して、ジューサーにかけて混ぜる
出来上がり
混ぜた材料をパイロゲン1500倍液の8.5リットルに混ぜあわせ、4〜7日でpHが3〜4になれば出来上がり。作りたて(左)と作りおきのもの(右)。作りおきの表面の白い塊は菌のコロニー。深い容器に入れると茶色く見える

 ボトキラーは納豆菌の一種…そこで素人の発想ですが、納豆を液体化して葉面散布したらどうなるんだろうと考えていました。そんなときに『現代農業』に「えひめAI」の記事が載ったのでした。納豆だけでなく他にもいろいろ入れるやり方でしたが、なぜか、とにかく作って散布しようと思いました。

納豆、ヨーグルト、イーストに黒砂糖を加えて菌をふやす

 作り方は次ページ写真のとおり。納豆、ヨーグルト、イースト菌に黒砂糖と水を加え、ジューサーで混ぜ合わせます。経費は9リットル分で約500円です。

 基本的に水には、酢の特集で載っていた赤塚さんのパイロゲン(植物を元気にする水と酢が原料)の1500倍液を使用します(ボカシ肥料など発酵させる時も使う)。水だけのときより失敗しないで発酵させることができます。

 初期発酵をスムーズに行なうためには、ペットボトルを利用した湯タンポをバケツの中に入れます。冬は量が大きいペットボトルがいいです。また、冬ならハウスの暖房機の上にのせます。夏場ならハウスの中でいいです。春や秋はフロの湯につけておきました。4〜7日でpH3〜4になれば完成です。私はフタ付きのバケツでつくっています。

 注意することはフタをキチッとしめずにゆるめておくことです。発酵で容器がふくらむのでガスの逃げ場がいります。

 完成したら作業場の涼しいところに置いて保管します。そこそこ日持ちしますが、異臭がしてきたら捨てて新しく作ります。最初はpHを計って完成したのか確認しますが、慣れると甘酸っぱい匂いでわかるようになります。私はこれを「あいちゃん」と呼んでいます。

月のリズムも参考に、大潮前に散布

 あいちゃんの散布方法は、最近では月のリズムの記事を参考にしています。今は大潮の2、3日前に散布するようにしています。虫も産卵するという大潮のときに散布すれば、あいちゃんの菌が葉の表面でよく繁殖してくれるかなという考えからです。目で確認できないのが残念ですけど。

 散布はあいちゃん単体ではなく、あいちゃん1000倍に、パイロゲンが1500倍、カキ殻入り竹酢液が1000倍、塩が1万倍になるように混ぜるのが基本です。

 そして、伸びやすい新月に向かう時にはリン酸やカリを加えて充実させながら伸ばし、そして花をもちやすい満月に向かう時には尿素3000倍や魚ソリューブル(魚肉エキス)1000倍を加えて花をしっかりさせるようにしています。

今年に入ってからまだ殺菌剤1回だけのバラも

 さてここで、今年の1月から5月中旬現在までの殺菌剤の散布回数をA〜Eのハウス別に発表します(あいちゃんは去年の秋から散布している)。

 A・オークランド1回、

 B・ローテローゼ3回、

 C・テレサとサフィーア1回、

 D・ティネケ3回、

 E・エリザ5回

 という結果でした。他のこともいろいろやっているので、すべてあいちゃんの効果とはいえませんが、確かに散布回数は減っています。

 あいちゃんを使うようになって、ボカシ肥作りもラクになりました。というか、作らなくてもよくなったんです。今では米ヌカをハウス内に散布してから、米ヌカにしっかりかかるようにあいちゃんを葉面散布するだけです。するとハウス内でそのまま発酵してくれます。以前は米ヌカの入ったオケを朝夕ひっくり返してボカシを作っており、作業も意外ときつかったのですが、おかげでラクになりました。

 さらにもう一つ、あいちゃんを鏡やガラスのそうじに使うとものすごくキレイになります。試してみてください。

あいちゃんでプロポーズ!

 最後になりますが、私たちはお客さんに直接販売する仕事をしています。すると中には、プロポーズするので花束がほしいというお客さんもいます。その結果がこちらとしてもたいへん気になるところです。

 みなさん何%の成功率だと思いますか。何と100%なのです。

 つまりこういうことです。

 あいちゃんを葉面散布して育てたうちのバラが、二人の愛を結んで結婚までこぎつけるようにがんばってくれたということですね。

 めでたし、めでたし。

(愛知県田原市西神戸)

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