月刊 現代農業
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●巻頭特集 肥料急騰 どげんかせんといかん!
ーー肥料代減らしハンドブックーー

肥料探検隊

大阪のメーカー兼輸入業者・清和肥料工業から
いまこそ、化成から有機に替えるときだ

編集部

 肥料の原料のほとんどは外国頼みだった。今後は世界的な肥料争奪戦がますます激化するかもしれない。そんな中で農家はどう手を打ったらいいのか。それを探るべく、今度はいよいよメーカーを直撃訪問した。

 大阪市にある清和肥料工業は、有機をもっとも得意としながら、化成や養液栽培用肥料なども扱う総合肥料メーカー。輸入業者でもある。営業本部の技術担当課長の真野良平さん、営業開発室長の為藤昇さん、特販担当部長の南計利さんに協力していただいた。

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アドバイス1
土壌診断して、低成分肥料を

L字型肥料なら1袋500〜600円安くなる

——今のような状況の中で、農家が肥料代を安くするにはどうしたらよいか、肥料の専門家の立場からアドバイスをどうかお願いします。

 まずは、指導機関からも言われていると思いますが、やっぱり土壌診断をきちんとして、ムダな施肥をやめることでしょうね。

 そうしたときに使える新規銘柄として、今年か来年のうちに増えてくるのではないかと思っているのがL字型肥料です。

 今まではオール14とかの水平型肥料や、13—20—13とかの山型肥料といわれるものが主流だった。でもいま土壌診断をすると、リン酸やカリがすでにたくさんあるという土が増えている。そこで14—5—8とか14—8—8とか、チッソは高くてリン酸とカリが低いL字型肥料を元肥に使うといい。もしそれでリン酸とカリが足りなければ、単肥で補えばいい。

 L字型なら1袋500〜600円安くなります。いまもっとも値上がりしてるリン酸とカリを減らすわけだから安いですよ!

肥料探検隊
北九州にある清和肥料工業の九州工場

リン酸のないNK化成は1袋800円安くなる

 追肥でいえば、リン酸を含まないNK化成を見直すべきだと思います。リン酸は初期生育に必要であって、大きくなってからの要求量は多くない。またカリは一般に、作物の要求量としてはチッソより多いくらい。これも、オール14とかに比べて1袋800円くらい安くなります。

 ついでにいえば、土壌改良としての熔リンはなくていい。植え穴にひとにぎり入れると生育がよくなるのは確かですが、いまリン酸は100g当たり200mgを超している畑があたりまえというくらいすでにたくさんあるから、なくていい。ただしタマネギだけは100mg超していないと結球しませんけどね。

 ちなみに、今まで安いといわれてきたBB肥料(バルクブレンディング肥料)は前ほど安くなくなりましたね。ふつう、高度化成をつくる場合は、粉状で輸入したリン安や塩化カリなど数種類に、水分を加えて混ぜ合わせたものを一つの粒状に加工します。いっぽうでBBは、初めから粒状になっているものを数種類輸入して混ぜるだけなので安くできた。ところが粒状の原料はそもそも高い。加工賃がいくら安くても、数年前から原料が高騰したので、前ほど安い肥料とは言えなくなったんです。

土は生き物、急激な施肥変化は好まない

 話がちょっとそれましたが、土壌診断で大事だと思うのは、一回の診断結果にあんまり一喜一憂しないで、何年かのスパンで数値を見ていくということです。水田は代かきするから一枚の田んぼの養分は均一ですが、畑はけっこう不均一ですから。

 たとえば、pHが高いから下げようという場合。7を5まで下げるのに、希硫酸や硫黄を使えば1年で下がりますが、生育が非常に悪くなります。人間のダイエットと同じで急激に無理をしたらいけない。土だって同じ生き物。少しずつ3年かけて下げていくようにすることが大事。

 畑にカリがたくさんあるから減らしたいという場合も、1年目から施肥をやめないで、最初は半分に減らすところから始めるのがいいのでは。そういう意味でも、さっきのL字型肥料を使うといい。

アドバイス2
ウネだけ施肥を

局所施肥なら最大半分まで減らせる

 肥料はこれまでと同じでも、施肥法を変えれば安くなると思います。今の全面全層にやる方法をやめて、ウネの中だけとか作物の根のまわりだけにやる局所施肥法に変える。作物のご飯を食べる口のところ、つまり根に近いところだけにやるわけだから、肥料の吸収効率が上がる。極端にいえば肥料は半分、5袋が2袋半に減らせると思います(218ページ参照)。

 畑作ではこのための機械が必要ですが、ハウスなら管理機を使ってベッドの下に溝施肥をすればいい。

 これの究極の方法が養液土耕でしょう。生育診断をしながら、必要なときに必要なだけ、かん水チューブと液肥を使って根まわりに施肥する。とはいっても、意外にかん水量がたくさん必要なので水がたくさんあるところでないとやれませんが。

アドバイス3
化成から有機へ

いまや有機は化成に比べて高くなくなった

 あとは化成から有機に替えていくことです。去年までは「有機は化成に比べて値段が高い」というのが常識でしたが、化成が急に値上がりした今ではその差がなくなりました。

 たとえば、オール15とかの高度化成は原料がリン安とか塩化カリですが、その原料価格がリン安で7〜8倍、塩化カリで3〜4倍に上がったせいで製品価格が2倍以上になっている。これに対して有機は1〜2割アップですんでいる。

 有機だと肥料効率が悪い面はありますが、さっきも言った局所施肥をすれば効率は上げられます。特別栽培農産物として高く売ることもできる。

 有機に変わる時期ですね。

米ヌカやコーンなど由来のリンカル

 有機のリン酸でいうと、米ヌカやトウモロコシ、食品残渣などから抽出したリンカル(リン酸カルシウム)が注目されるのではないかと思います。BSE問題で骨粉が使えなくなって、代替リン酸として急に注目された。もともと流通量が少なくて値段の高いものでしたが、リン鉱石由来のリン酸がものすごく高くなってからは、こっちのほうが安くなったのです。

 ク溶性リン酸を35%くらい含み、初期生育の段階では効き目は少なく、根がそこに来て初めて効く。局所施肥すればムダなく効かせられるでしょう。水溶性リン酸のように、土に入れてすぐ固定されてしまうことも少ない。

カリ肥料としての灰がひっぱりだこ

 有機のカリでいえば、灰が使える。

 流通量があるのは鶏糞灰。たまっていくいっぽうの鶏糞を燃やして減量し、取り出した灰を肥料として売っている。これが今ひっぱりだこらしい(94ページ)。

 かつて江戸時代の農家の肥料といえば、下肥と灰だったというでしょう。とくに江戸の町では、かまどの灰と下肥を回収する業者がいて、農家に売っていた。廃棄物をうまく利用していたんですね。もちろん当時と今ではめざす収量が違いますから、灰でどれだけとれるかはわかりませんが。

家畜堆肥を肥料として有効活用

 家畜堆肥もうまく使いたい。これまで家畜堆肥は廃棄物のようなものでしたが、うまく使えば肥料分は持っているし、肥料をつかまえてもくれる。

 ただし、年間に有効化してくる養分量に気をつけること。家畜堆肥に含まれる養分は、入れたその年にぜんぶ放出されないで、何年かかかって放出される。いつどのくらい放出されるのか、それに合わせてどのくらい施肥すればいいのかが農家に簡単にわかるようなものが出てくるとずいぶんと利用は進むと思います(110ページ参照)。堆肥の養分量と作物の要求量をみて、足りない分を単肥で補えばいいわけですから。

 農家は「地元の安い堆肥」より「遠くの高い堆肥」を好むようですが、家畜堆肥はわざわざ遠くからお金をかけて買ってくるものじゃありません。安い堆肥を入れたからモノが悪くなったという人がいますが、それは量の入れすぎだと思います。地元の安い堆肥を少なく入れることです。

安くてよく効く「屎尿肥料」がいち押し

 今、わが社のいち押しが「屎尿肥料」です。多少においますが、チッソが6%あって15kg800円くらいと、何といっても安い。

 和歌山市の屎尿と家庭の浄化槽汚泥を処理したもので、肥料効果も土壌改良効果もあります。もちろん毎年きちんとした検査をしているので、重金属とかの有害物質はいっさい含みません。

 和歌山市は下水道がほとんど普及していない珍しいところで、川にきれいな水を流すために屎尿をバキュームカーが集めて回っている。

 これを「活性汚泥法」という方法で処理している。簡単に言うと、水の中の屎尿に空気を送り込んで、微生物を繁殖させる。屎尿を食べて分解し終わると微生物は死んで沈む(きれいになった水を川へ)。この遺体や処理された屎尿の沈殿物を取り出したのが製品です。

 肥料成分の半分が菌体由来なので、畑だとチッソの無機化が遅い(4週間で約25%)。ただし硝酸化成はかなり早い。つまり肥効はちょうどボカシ肥料のように、緩効性である反面、初期からよく効きます。初期生育がいいから、とくに冬作や寒地で使える。元肥のチッソの半分を屎尿肥料に置き換えて、あとは通常の化成を使うのがおすすめですね。

 実際、少し前までは在庫がはけずに破棄したこともあったのが、今ではひっぱりだこで在庫がカラ、年間予約しないと手に入らない状況です。

 屎尿肥料は各地にあります。この活性汚泥法でつくられたものなら同じ肥効になるでしょう。

アドバイス4
仲間で共同購入を

50袋買う農家を10人集めれば、
1袋40〜50円安くなる

——最後に、「まとめ買いをすると安くなる」とよく聞きますが、1円でも安くする買い方はないでしょうか。

 いわゆる共同購入する方法があります。うちがそれを一度におさめることができれば、メーカーとしてもラクで、安くできます。

——どのくらい集まれば対応できるでしょうか。

 どうでしょう。10tが一つの目安でしょうか。つまり50袋(1袋20kg)買う人を10人集めてくれればいいわけです。それを各戸に配ってくれといわれると無理ですが、出荷場などの拠点に持っていくのであれば、1袋40〜50円安くできると思います。

——ありがとうございました。

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