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筆者と使っている鶏糞
筆者と使っている鶏糞(写真はすべて赤松富仁撮影)

120円の鶏糞使いこなし 4つのポイント

スポット施肥・有機物投入・輪作・水かけ

桐島正一

高価な資材をやめ、鶏糞中心の有機農業に

 私は農業をやり始めて20年になります。初めの8年ぐらいは、米ナスを中心とした化学肥料、農薬を使う農業をしていました。12〜13年前から少しずつ農薬を減らし、この10年ぐらいは有機農業をしています。

 有機にかえて初めのうちはいろいろな資材を使いましたが、あまり効果が見えなかったことと、かなり高価なものが多かったので、鶏糞を多く使う形になりました。今は野菜に任せて、私はほんの少し手助けをするだけです。

 ただ今の形になって、米ナスを作っていたときに教えてもらった野菜作りの基本みたいなもの(野菜の見方や、どんなタイミングで肥料を効かせるかなど)が役に立っています。私は、この方法で60種類以上の野菜を作り、個人のお客さんやレストランなどに宅配しています。

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完熟鶏糞でなくてもいい

 まずは私の使っている鶏糞ですが、けっして完熟したものではありません。安くて使いやすいものを選んでいます。ただし、さすがにまったくの未熟では発芽直後の根傷みなどが心配です。1袋(15kg入)100円以内のものもありますが、今使っているものは、120円で近くのホームセンターで買っています。鶏糞を買う一番の基準は安さですが、粒が大きくて扱いやすいこと、菌がまわって白くなっていることも基準にしています。また、できれば2〜3カ月寝かせて使うといいと思います。

完熟ではないので結構くさい
完熟ではないので結構くさい。でもチッソ分が欲しいのでこれくらいがちょうどいい。 一応菌糸がまわって白くなっているので、追肥で使う分には害が出ることはない

鶏糞の使い方

 次に使い方ですが、私なりにまとめてみると、4つのポイントがあります。

(1)完熟していない鶏糞であることを心に留めて使う

(2)畑でとれた野菜以外のもの(野菜の残渣や草など)を畑へ返す

(3) 輪作をする

(4) 水をかける

元肥ゼロ、根の先端を予想した位置にまいていく

 まず、(1)ですが、完熟していない鶏糞を使うコツは、一度に多用しないこと、ポイント(時期や位置)を逃さずまくことです。ポイントは、野菜の色や種類、大きさ、近くに生えている草の色や種類など微妙に違う畑の表情によって探ります。同じ野菜でも畑の状態やタネを播く時期によってもポイントが違うので正解はありませんが、基本的な使い方を書いてみます。

 私の場合、元肥を入れない(草に肥料を与えないためと、野菜の吸い上げた肥料以外が川へ流れ込まないため)ので、畑を耕して、ウネを立て、タネを播くと同時に、タネから2〜5cm離れたところに鶏糞をまきます。このときスジ播きなら鶏糞もスジまきに、点播きなら点まきにします。品種によっても違いますが、小さいタネには近くへ、大きいタネには遠くへ鶏糞をまくのがいいと思います(小さいタネは根の張りが遅く、鶏糞のところまで時間がかかるから)。

 2回目の鶏糞は、株間かウネ間にまきます。野菜の畑の状態によっても違いますが、播種後2〜3週間目に2握りぐらいまきます。

 3回目は、野菜の生長によってまくかまかないかを決めますが、まく場合は通路にまきます。量はバラつきがあるので何とも言えません。

 だいたい3回で終わりますが、果菜類は4〜5回と少しずつまきます。どのときも根の先端があるところを想像して行ないます。多くの人の場合、近くへ入れすぎるようです。

たとえばショウガなら
たとえばショウガなら、最初は種ショウガを植えた場所からこれくらい離したところに一握りくらいの鶏糞を置いて、根っこが伸びるのを促してやる
シシトウなら
シシトウなら1回目は苗の脇、2回目は株と株の中間あたり、3回目は通路のほうと、根っこが伸びる姿を想像しながらまく位置を変える
ツルムラサキ
芽をかきながら収穫を続けるツルムラサキは、生育を見ながら3回以上追肥する。根っこの位置がわかりにくいので、鶏糞をまく位置をズラすことで根っこを誘導しながら張らせる
鶏糞1回目のまき方
タネがスジ播きの場合 タネが点播きの場合
まき方 まき方
タネから2〜5cm離して鶏糞もスジまきする タネから2〜5cm離して鶏糞も点まきする
小さいタネには近くへ、大きいタネには遠くへまくといい
鶏糞2回目のまき方
株間にまく ウネ間にまく
まき方 まき方
ナス、トマトなどの果菜類や豆類、
ジャガイモなど
ゴボウ、ニンジン、ゴマ、ネギ、ニラなど
鶏糞3回目のまき方
通路にまく
まき方
野菜の生長を見ながら、根が遠くまで伸びているようなら通路へ、まだ通路までは伸びてなさそうでも肥料を欲しがっているようならウネの肩からまく、など調節する

鶏糞以外の有機物と輪作で偏りをなくす

 またいくら鶏糞でも、多く使っていると畑に残る肥料の成分が偏ってくると思います。偏りを防ぐ方法が、(2)と(3)です。まず米ヌカ・炭・ワラなどほかに手に入るものがあれば入れたほうがいいです。草や野菜の残渣も入れるのは、畑から持ち出す肥料分を少なくして鶏糞を少なくするためと、微生物のエサを与えることにあります。

 また輪作は、野菜を替えることで同じ肥料分を使わないことと、ひとつの野菜では吸えなくて土にたまってしまう肥料分を、再び吸えるようにしたりします。これによって畑の偏りを直します。

まとめて置く 鶏糞の上に刈り草を敷いてやる ウネ間にパラパラとスジまきにする 2回目以降はスジまきがいい
鶏糞は、なるべくボコッとまとめて置く。内側に水分が保たれるので、肥料分が逃げにくく、効きやすい できれば鶏糞の上に刈り草を敷いてやるのもコツ。なるべく水分が飛ばないようにする オクラの3回目の追肥。株間が狭いので、ボコッと置くのでは生育にムラが出る。ウネ間にパラパラとスジまきにする ショウガも株間が狭いので、2回目以降はスジまきがいい
追肥のタイミング
追肥のタイミングは、作物の姿と、周りの雑草の姿なども見て決める。肥料分が少なくなってくると、まず周りの雑草の色から変わってる。そうなったらなるべく早く追肥する。作物の色が変わってきてからでは遅い

まいた上から水をかければすぐに効く

 次に(4)の水ですが、鶏糞を入れた位置に水をまきます。鶏糞の効きめを促し、4日目くらいには効果が見えてきます。

 また野菜は、水がなければ育ちません。水のかけ方によって野菜の生長が決まるといってもいいと思います。

どんな野菜にも吸われる石灰・苦土は補う

 私の場合も、鶏糞だけ使っているのではありません。5年に1回くらいは牛糞堆肥を少量ですが入れます。また、最近では少しですが有機のカルシウムやマグネシウム肥料も入れるようにしています。二つとも、たとえ輪作をしていても、どんな野菜にも多く使われるからです。とくにマグネシウムは、鶏糞にもあまりないため、カルシウムよりやや多めに入れます。入れると葉のツヤや厚みが違ってきます。

 最後に、鶏糞だけでは野菜は育ってくれません。野菜と向き合う気持ちが大切です。それができて初めて野菜に目が届き、鶏糞も役に立つと思います。

(高知県四万十町久保川)

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