水路の補修が必要な箇所を点検 ![]()
基盤整備から35年
農道も水路も守る秋田県湯沢市「萬古清風地域資源保全隊」
編集部
「農地・水・環境保全向上対策」では、水路や法面の補修が活動項目(誘導部分)になっている。秋田県湯沢市の活動組織「萬古清風地域資源保全隊」(高橋俊市代表)の取り組みの様子をうかがった。
萬古清風地域資源保全隊(以下、保全隊)が活動する山田五箇村堰土地改良区の基盤整備が行なわれたのは昭和46〜49年。工事が完了してすでに約35年が経過している。基盤整備の耐用年数は40年ほどといわれているが、耐用年数が近づいても再整備できるわけではない。保全隊では、農地・水・環境保全向上対策(以下、農地・水)の交付金を利用して、施設の「長寿命化」対策に積極的に取り組むことにした。
「春、雪解けと同時に現場の写真を撮りながら『機能診断』をしてまわる」と、保全隊副代表・補修指導役の鈴木清志さん。昨年は、その診断結果をもとに、交付金から40万円弱を使って水路側壁の補修や路肩・法面の改修、水路の目地詰めなどをした。
水路などの補修費用はこれまでも土地改良区から少しは出ていたが、個人で負担していたものも多かった。新しい資金ができたことで、樹脂モルタルを利用した目地詰めなど新しい工法にも取り組むことができたという。
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保全隊の構成員127人(うち農家120人)のなかには、出稼ぎで建設関係の仕事をしていた人や建設会社に勤めている人など、水路や法面などの補修に役立つ知恵や技術を持つ人が多い。
たとえば農道の路面補修に、道路工事で出るアスファルト切削材を使う方法。リサイクル品なので砕石を買うより安いうえ、砕石と違ってトラクタやダンプなどの重い機械が通っても跳ね飛ばされない。溶けて固まる性質もあるので、次に補修が必要になるまでの期間が長くなる。水路側壁のひびわれや破損も、外側にコンクリートを補強する方法で何カ所も補修した。
農地・水の活動は、年配の人たちがもつ技術を若い人たちに伝える場になっている。
たとえば土のう袋を利用した路肩・法面の補修。業者に頼んで重機を使えば、もっと簡単に早くすむが、保全隊では、たくさんの人が参加することでうまくいくやり方のほうを選んだ。セメントと砂や砂利を混ぜる人、それを土のう袋に詰める人、できた土のうを次々手渡しして運ぶ人、積み上げる人……。農家の息子であっても、最近の若い人はこういう大勢でやる共同作業の経験はほとんどないという。
「以前ならぶつかっても何も言わなかったような若いモンからあいさつされるようになった」と鈴木さん。手作業中心の共同作業が、技術を伝え、地域の一体感=絆を深めるのにも役立っているそうだ。
アスファルト切削材で路面補修
農道の補修には砕石を敷くのが一般的だが、トラクタやダンプが通ると跳ねるので、またすぐ轍ができやすい
アスファルト切削材は轍やくぼんだところに敷いてならしていく。砕石を使うより補修跡が長もちする。アスファルト切削材ほどではないが、再生砕石(コンクリート+アスファルト、こちらのほうが入手しやすい)のRC40(大きさが40mm以下)も長もちするし安い 1年後、アスファルトが固まった状態 水路側壁の補修
田んぼの進入口わきの水路壁面が破損。トラクタで牽引した堆肥を積んだトレーラで引っかけたらしい 穴を掘ったところに型枠を入れ、接着剤(SKタック)を混ぜたコンクリートを流し込む 目地の補修
萬古清風では、シーリング材(323ページ)ではなく樹脂モルタルという材料を利用。補修箇所が完全に乾かなくても使えるので作業しやすいという
萬古清風の目地補修の手順
(1)高圧水洗浄。土やコケを除去
(2)欠損したところにモルタルを詰める
(3)速乾プライマー(プライマー2:専用骨材1の容積比で混合)を左官ブラシなどで塗布
(4)プライマーが乾いたらクロステープを貼る
(5)樹脂モルタル(ユニバルと専用骨材を同量ずつ混合)を左官ブラシなどで塗布
※この目地処理セットは、1セット水路500m(目地2mおき)分で約5万円とのこと。
販売元:(株)北友TEL0126-24-8855劣化して崩れたモルタルの目地 プライマー塗布後、クロステープ(ガラス繊維)を貼ったところ。クロステープは、この上に樹脂モルタルを塗ったときに骨の役割をする 補修1年後。樹脂モルタルは、ふつうのモルタルと違って弾力性がある(爪の跡がつく) 土のうで路肩補修
法面の一時的な崩壊対策や林道の補修などに使われる土のう。 中身をコンクリートにすれば、長もちする補修法になる
セメント・砂・砂利を1:2:3で混ぜて土のう袋に詰め(このときには水は入れない)、路肩の崩壊箇所に積んでいく 路肩がどんどん崩れ、道幅が狭くなってしまっていた 土のうの端にできるだけ隙間ができないよう、ずらしながら積む。積んでから水をかけ(袋の外に少し染み出るくらい)、袋内のコンクリートを固めるのがポイント。土のう袋が「型枠」の代わりになる
土のうを積んだ上を、10〜15cmの厚さにコンクリートで平らに塗り固める 1年後、カチカチに固まった土のうはびくともしない。袋自体は次第に風化していくが、全体が固まっているので問題ない ※水路の簡易補修のやり方や萬古清風地域資源保全隊の取り組みは、DVD・ビデオ「農地・水・環境保全向上対策」支援シリーズの中に紹介されています
DVD版「農地・水・環境保全向上対策」支援シリーズ
『水路を長持ちさせるには?/水路の簡易補修マニュアル』安価で誰でもすぐに漏水を止められる目地の簡易補修。点検・診断、補修の手順と失敗しないコツ。 [本を詳しく見る]
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