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●巻頭特集 やるぞ 自分のお米で米粉!

米粉パンをほおばる筆者と妻のヨシミさん(写真はすべて田中康弘撮影)
米粉パンをほおばる筆者と妻のヨシミさん (写真はすべて田中康弘撮影)

やるぞ 自分のお米で米粉!
わが家の米をわが家で米粉に
家庭用製粉機、3回通しで食パンも焼けるぞ!

遠藤昌文

 農業高校の教員を退職し、子供の頃からの夢だった農業経営に携わって6年が経ちました。現在水稲8ha、エダマメ10a、春秋レタス20aを耕作し、自前の直売所を毎週土曜日に開設しています。

 農業に関わって疑問に思うことがたくさん出てきました。

検索語「米粉パン」でルーラル電子図書館(「現代農業」)を検索
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(1)自分で作ったものに自分で値段をつけられないこと

(2)生産したお米の評価が見た目で決められること

(3)ものを言わずじっと耐えている農家が多いこと

などなどです。

大量のクズ米なんとか利用できないか

 3年前の米の収穫を迎えたときのことです。ライスグレーダーの1.85mmの選別網から落ちる米が大量に出ました。出穂期以降の高温により実入りが悪かったのではないかといわれています。このままではいわゆる「クズ米」が大量に発生し、収入に大きな打撃を与えることとなります。

焼きたてのあんパンとソーセージパン
焼きたてのあんパンとソーセージパン。米粉60%に小麦粉25%、グルテン15%を混ぜて作る
あんパンなどを焼くのは電気オーブンで
できた! あんパンなどを焼くのは電気オーブンで。食パン作りと生地をこねるには、ホームベーカリー5台を活用

 そこで私は考えました。卵にも大きさによってLL・L・Mなどの規格があるように、米にも粒の大きさによって規格があってもよいのではないかと。

 現在の米の評価方法では、網から落ちたものはすべて「クズ米」として取り扱われます。米を買ってくださるお客さまに事情を説明し、1.80mmの選別網で拾った米をM規格の米として通常の2割安い価格で販売することとしました。お客様の中には、そのお米でも十分という方がおられ、M規格の米は余すことなく販売することができました。

 しかしまだまだ「クズ米」になる米がたくさん出てきます。それを何とか利用できないかと考えていたころに、「現代農業」の米粉パンの記事を思い出しました。

製粉を頼むとお金と時間がかかる

 最初は単純に、米を挽いた粉で小麦粉と同じようにパンを焼けばいいと思っていたのですが、記事を読み進めていくうちに、米粉は普通の製粉機で挽いたものでは難しいこと、小麦粉を使わない代わりにグルテンが必要なことなど、想像もしていなかったことが次から次へと出てきました。

 市の新潟製粉さんに製粉を依頼しようとも思ったのですが、ある人から、隣の市でも同じような粉を挽いてくれるところがある、というお話を聞いて、最初はそこにお願いしました。幸いにもそこでグルテンも譲っていただけるということで、米粉パンの試作を始めることができました。

 最初は原料の配合割合がうまくいかず試行錯誤の連続でした。そんな失敗を繰り返すうちに米粉はどんどん減ってゆきます。新発田市までは車で40分。その手間と時間がもったいないと思い、地元の米屋さんに製粉を頼んでみることにしました。挽いてもらった米粉は、素人目には以前のものと変わりはなく、また出来上がったパンも同じような焼き上がりでした。そんなことからしばらくは地元の米屋さんで製粉していただいたのですが、製粉代がばかになりません。

1回目の製粉 製粉には「やまびこ号」(國光社、約8万円)が活躍 3kgの米の3回通し製粉は、約40分で終了 3kgの米の3回通し製粉は、約40分で終了
1回目の製粉。一度に挽ける米は3kg 製粉には「やまびこ号」(國光社、約8万円)が活躍。1回目の製粉は調整ダイヤルをいちばん絞った状態から目盛り2つ半緩めた状態で。2回目と3回目は同じく目盛り1つ緩めて製粉 3kgの米の3回通し製粉は、約40分で終了

家庭用製粉機でもパン用米粉ができた!

 そこで製粉も自分でできないかと思い、教員時代にお世話になった理化学機器メーカーさんに相談しました。そこで紹介していただいたのが「やまびこ号」(國光社)でした。この頃には、材料の配合割合も確立し、ホームベーカリーを使った食パンがうまく焼けるようになっていました。購入した「やまびこ号」を使って製粉を始めましたが、1回通しではなかなか細かくなりません。そこで最初は4回通して挽いていたのですが、時間がかかり大変でした。最終的には3回通しでも十分パンが焼ける米粉になることを確認し、現在に至っています。

製粉回数を重ねるほど粉は細かくなり、白度が増して見える
製粉を重ねた粉ほど食パンはふっくら 家庭用製粉機でもここまでできるんだ!私もやりたくなってきた
製粉回数を重ねるほど粉は細かくなり、白度が増して見える ※やまびこ号で挽いた粉の大きさは67ページをご覧ください 製粉を重ねた粉ほど食パンはふっくら

米農家がつくる米粉パンだから味がある

 今年の4月に菓子製造業の営業許可も取得し、毎週土曜日の直売所で米粉のパンを販売しています。

製粉を重ねた粉ほど食パンはふっくら

 現在は食パン・あんパン・揚げパン・ソーセージパンの4種類だけですが、地域の方々には大変好評で、直売所での販売日以外でも注文を頂くこともあります。今は米粉に小麦粉とグルテンを混ぜて焼いていますが、できれば米粉100%のパン、できるだけわが家で生産した材料を使ったパンを焼きたいなという気持ちがあります。

 ある時米粉100%のパンを焼いているパン屋の社長さんに、わが家の米粉パンを持参してお話をうかがいに行ったことがあります。その社長さんに「遠藤さん、あなたは農家であってパン屋ではない。私はパン屋だからいろいろと研究をしておいしいパンを焼く。農家のあなたが焼くパンはこれで十分ではないのか。素人っぽさがあるほうが味があっていいのではないか」と言われ、なるほどと思いました。

 それ以来、「米をつくっている農家がつくった米粉パン」というスタンスで取り組んでいます。形はいびつ、味もまちまちですが、それがいいと思っています。素人でも、個人の家でも粉が挽け、パンが焼ける。こんなわが家の取り組みが大勢の方に広まって、米を有効に活用し、米の需要が高まることを願っています。

(新潟県阿賀野市熊居新田)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

 現代農業 2008年12月号 やるぞ自分のお米で米粉!

めざすは地域の米粉屋さん/家庭用製粉機、三回通しで食パンも焼けるぞ!/私の「田んぼのパン」は地元の粉屋さんが強ーい味方/やるぞ米粉!製粉法と粉/グルテン不要 米粉100%パンができた/米粉うどんの作り方 [本を詳しく見る]

 白神こだま酵母のお米パン』大塚せつ子

グルテンも増粘多糖類も無添加なのにふんわりやわらか!おかゆやポン菓子、じゃがいもが大活躍。オーブンで焼く一斤パン、炊飯器で炊くふわふわパン、フライパンで焼くラップパン等お米のおいしさが生きる画期的製法。 [本を詳しく見る]

 国産米粉でクッキング』坂本廣子、坂本佳奈

揚げてサクサク、蒸してもっちり、スープでトロリ。ケーキ、クッキー、和菓子から東南アジアの菓子、低オイルのカレー、シチューまで新しいおいしさが市販の上新粉で簡単に。話題の米粉パンも紹介した80のレシピ。 [本を詳しく見る]

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