月刊 現代農業
ルーラルネットへ ルーラル電子図書館 食と農 学習の広場 田舎の本屋さん

検索語「コマツナ*増収」でルーラル電子図書館(「現代農業」)を検索
検索式:  

重油いらずのねらいめ品目

ビックリ!
コマツナの株再生栽培

1回のタネまきで4回どり

岩崎泰史

加工・業務用では根っこはいらない

刈り取り直後(10月1日)
刈り取り直後(10月1日)
矢印
4日もするとニョキッと新葉が出てきて…
4日もするとニョキッと新葉が出てきて…
矢印
21日後には収穫適期に!! あと3回はとれる
21日後には収穫適期に!! あと3回はとれる

 近年、加工・業務用野菜の需要が増加し、それに対応してこれまでの家庭消費用とは異なる形態の栽培、出荷が行なわれるようになりました。業務用のコマツナでは適当な大きさにカットし、ゆでて冷凍加工したものが外食産業や惣菜業者、学校給食などで使われており、土の混入しやすい根元の部分は利用されていません。

 そこで、収穫も地際から5cmほど上の部分から刈り取っている圃場がありました。畑には切り株が残されますが、これは青果用のコマツナ畑ではまず見られない状況で、ちょうどイネ刈り後の田んぼの様子に似ています。イネ刈り後の田んぼでは切り株から株が再生し、二番穂が実っているのをよく見かけますが、コマツナでもそのまま置いておけばまた株が再生して収穫できるのではないか? という考えがありました。

 また、来所していた海外研修生から「日本では菜っ葉を根元から収穫しているが、タネ代がかかるし、もったいない。私の国では株元を残して刈り取ることで何回か収穫している」といった話を聞いていたこともあり、実際に再生栽培を行なってみました。

 その結果、コマツナでは品種や播種時期を選ぶことで、一回のタネまきで4回まで収穫できることがわかりました。

タネ代節約
―耕耘・タネまき作業が省ける

 コマツナの再生栽培は、とくに新しい技術を必要とせず、誰でも簡単に取り組むことができる栽培法です。株の再生を繰り返す再生栽培のメリットは、

(1)一度タネをまけば何回も収穫できるので、タネ代を節約できる

(2)畑を耕耘・整地し、タネをまくなどの作業の手間を省ける

(3)タネからの栽培に比べ、収穫までの期間が半分程度に短縮できる

といった点があげられます。

 ただし、栽培時期や品種選定を間違えると失敗するので注意が必要です。

株再生栽培の注意点

▼初夏まきと晩秋〜冬まきは避ける

 タネをまく時期は、早春(2月下旬〜4月上旬)または、秋のはじめ(8月下旬〜9月下旬)が適しています。暑い時期の栽培は、刈り取り後に切り口から雑菌が入って腐りやすく、うまくいかないことが多いです。いっぽう、晩秋〜冬まきは低温によって花芽ができ、再生株が「とう立ち」してしまうため、再生栽培には向いていません。

▼品種は収量性の高いものを 

 品種は、春まき、秋まきともに、再生能力が高く収量の多い「浜美2号」、「美味菜」、収量はこの2種より若干少ないが葉色の濃い「みなみ」などが適しています。

コマツナの播種時期と刈り取り回数別収量
図

▼栽植本数は通常と同じ

 栽培は、通常のコマツナ栽培と基本的に変わりなく、条間15〜20cm×株間5〜10cm程度で4〜6条まきとし、春〜秋は防虫ネットをトンネル状に被覆して害虫の被害を防ぎます。

▼業務用は大きくするが、小さく刈ってもよい

 業務用には草丈35〜40cmと大きく育ててから収穫しますが、家庭で利用する場合はもう少し小さな草丈25〜30cm程度で収穫しても構わないでしょう。試したことはないですが、収穫できる回数が増えるかもしれません。 

 収穫の仕方は、株の上部を手でつかみ、株元5cm程度のところを包丁で刈り取っていきます。このとき、雑菌の侵入を防ぐために、包丁は洗って泥などの汚れをよく落としたものを用いるとよいです。

▼肥料は緩効性でも刈り取りごとでも

 肥料は緩効性肥料を混ぜることで元肥のみで栽培することも可能ですが、刈り取りごとに化成肥料を株間に追肥してもよいです。再生株の収量は、初回収穫と同程度〜8割程度期待できます。順調にいけば延べ4回の収穫も可能です。

包丁で株元をザクザク刈っていく
包丁で株元をザクザク刈っていく

栽培期間が長いので病害虫には注意を

 再生栽培は栽培期間が長くなるため、作型によっては病害虫防除が複数回必要となる場合があり、農薬は登録された使用回数に注意して散布します。

 防虫ネットの裾を埋めて害虫の侵入を極力防いだり、病害虫は早期防除するなどして農薬散布回数を減らす工夫が必要です。また、再生栽培を行なう場合はとくに、まき時期を守ることが成功の秘訣です。

ホウレンソウでもいける!

 加工・業務需要の多いホウレンソウでも同様に刈り取り再生栽培を行なったところ、8月下旬〜10月上旬にまけば計2回の刈り取り収穫が可能で、順調にいくと初回と同程度の収量が得られました。それ以外の時期は「とう立ち」や「株の腐敗」により再生栽培は安定しませんでした。品種は「パレード」「パンドラ」などが、再生能力が高く適していました。

 この他にもミズナなどカット利用されている品目について本栽培方法を試してみるとおもしろいと思います。家庭菜園などでは失敗を恐れず、いろいろな品目で再生栽培を試してみてはいかがでしょう。

(埼玉県農林総合研究センター)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

 現代農業 2008年12月号 やるぞ自分のお米で米粉!

めざすは地域の米粉屋さん/家庭用製粉機、三回通しで食パンも焼けるぞ!/私の「田んぼのパン」は地元の粉屋さんが強ーい味方/やるぞ米粉!製粉法と粉/グルテン不要 米粉100%パンができた/米粉うどんの作り方 [本を詳しく見る]

 現代農業 2008年11月号 たいしたもんだ皮の力

ミカンの皮が効く/皮の酵母を生かす/いろんな皮が効く/鶏糞稲作大流行/暖房代減らし/他。 [本を詳しく見る]

田舎の本屋さん 

「コマツナ」の他の記事を読む

 夏の葉ダイコン+太陽熱処理に灰汁もいい
現代農業2006年6月号

「あれ? コマツナの根って、こんなだっけ?」。「一〇一匠」の会の山内クニ子さんは手を止めた...[記事詳細]

 うちの直売所ではミニサイズが大人気!
現代農業2005年2月号

もともと兼業農家で、家庭菜園ふうに野菜を作っていましたが、3年前、会社を退職し専業農家になりました...[記事詳細]

 もっと自家種を採ろう 美味しいタカナの浅漬けはタネ採りのおかげでできる
現代農業2002年2月号

ピリッと辛みが美味しくて、あくが少ない。多肉で多収、抽苔が遅く、耐寒・耐暑性が強くて鮮やかな緑色――。これが、西 恒美さん(68歳)の求める理想のタカナ・カラシナの条件だそうだ...[記事詳細]

 人気商品の荷姿拝見 農家だから知ってるおいしさ、売ってます
現代農業2007年9月号

みなさん、ホウレンソウやコマツナは何cmくらいがおいしいと思いますか?...[記事詳細]

月刊現代農業 

もどる

ページのトップへ


お問い合わせはrural@mail.ruralnet.or.jp まで
事務局:社団法人 農山漁村文化協会
〒107-8668 東京都港区赤坂7-6-1

2008 Rural Culture Association (c)
All Rights Reserved