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(農)宮守川上流生産組合の大石悦司事務局長とリース終了後も働くトラクタ
(農)宮守川上流生産組合の大石悦司事務局長とリース終了後も働くトラクタ

農機は 借りる 時代!?

いまどきの農機
リース・レンタル事情

西村良平

農機をリースで導入する農家や集落営農組織が増えている。農水省の「食料供給力向上緊急機械リース支援事業」も注目を集めた。一方で農機メーカーの三菱農機は、この春に農機レンタル会社を子会社として立ち上げた。大型のトラクタやコンバインの価格は高級外車並み。農機は買うより借りたほうが得なのか――。

導入した大型農機の半数がリース

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 岩手県遠野市で「一集落一農場」を掲げ、組合員184人の耕地100haで農業生産をする宮守川上流生産組合(照井至組合長)。基盤整備で広くなった田んぼでの大型機械の共同利用などを目的として1996年に設立された。2004年には法人化され農事組合法人となっている。

 生産組合では、イネのほかに転作ダイズ、ハウストマト、ブルーベリー、黒豆のエダマメ、直売所経営など、多彩な事業を展開している。生産組合が導入した大型機械の半数となる7台がリースで、内訳はトラクタ3台、田植え機2台、コンバイン2台(汎用型1台、自脱型1台)。このうちトラクタとコンバインはリース期間が終了して生産組合の所有となっている。

 生産組合の大石悦司事務局長(58歳)は、

「リースだと金利負担があるので、自己資金で農機を購入できれば、そのほうがいい。金利は9%で、リース手数料も2%ほどかかる。でも、資金繰りの状況しだいでは、自己資金で購入できない場合があります。どうしても作業に必要となってくれば、金利を払ってでもリースで導入することになりますね」

宮守川上流生産組合のリース大型農機

2001年度導入の汎用コンバインは、最近更新したところ(後継機は助成金を利用して購入)。2003年度導入の自脱コンバインはまもなく更新予定
農機・能力導入年度機械価格
(万円)
農協負担金額
(万円)
生産組合支払い
合計額(万円)
リース期間
(年)
トラクタ(73馬力・中古)19995922562967
トラクタ(75馬力・クローラ)20007023514378
トラクタ(38馬力)20007003504358
コンバイン(汎用型・85馬力)200112006007215
コンバイン(自脱型・90馬力)200311305566745
田植え機(8条)20053121561875
田植え機(8条)20063121561875
(計)494824252937
8乗植えの田植え機もリースで導入
8乗植えの田植え機もリースで導入。田植え機はリース終了後はすぐ更新予定

リース農機には補助事業も利用

 リースも有料の貸借契約であることはレンタルと変わらない。ただし、レンタルが不特定多数への短期間の貸し出しなのに対して、リースは、特定の借り手への長期間の貸し出しである。

 また、レンタルが二者のあいだの貸借契約なのに対して、リースには三者がかかわる。農家や農家組織などのユーザーは、売り手の農機会社と機種を選定したら、それをリース業者に買ってもらい、リース料金(貸し出し料金、製品価格に金利や手数料が上乗せされる)を支払ってそれを長期間借りる形になる。導入した農機はユーザーの手元にいつもあり自由に使えるが、農機の所有者はリース業者だ。宮守川上流生産組合の場合は、農協(JAいわて花巻)がリース業者となっている。

 それにリースの場合は、リース料を払い終えたあとに、その農機を自己所有することも可能だ(345ページの図参照)。

 農協が公的助成(いわて農業担い手支援総合対策事業など)を受けて購入できた農機リースだと、その分リース価格も安くなる。たとえば1000万円の農機に対して500万円の助成なら、農協の負担額は500万円。農協は負担した500万円の農機としてリースするので、本来の半額のリース料になる。生産組合がリースで導入した農機では、こうした助成金付きのリースを選んできた。

 大石事務局長によれば、そのほかにもリースならではのメリットがあるという。生産組合が独自に購入した農機は資産として計上されるので、何年にもわたる減価償却や固定資産税のめんどうな計算をしなくてはならない。一方、リースだと、そのまま単年度の経費として計上できるので、事務処理が簡単にすむ。それに購入の場合に必要となるはずの多額の資金を、別のことに用立てることができる。また、リース期間は計画的なリース料の出費が続くので、数年先までの費用の見通しも立ってくる。

 ちなみに宮守川上流生産組合はすでに法人化しているが、任意組合の場合は、農機を購入して固定資産となれば、組合員ごとの税金などの割り振りがわずらわしくなる。これもリースなら経費を配分すればいいので簡単だ。

メーカー選び、機械選びが大事

 資金に余裕があれば即金で購入するのがいいが、そうでない場合はリースにもいろいろ利点がある、というのが生産組合の考えのようだ。そして実際には公的助成がつくリースを積極的に利用してきた。リースの利用のしかたについて、もう少し大石さんに聞いてみた。

 リースで導入できる機械は、メーカーや機種を自由に選ぶことができる。事務局長の大石さんはこのときのポイントを次のように説明する。

「たとえば田植え機の場合、田植えと同時に除草剤・殺菌剤・殺虫剤の散布、施肥などができるアタッチメントがつく形のものを希望することを農機会社に伝えて、しっかり打ち合わせをしたうえでリースを使っています。大面積の作業となると、こまめな管理作業を何度もするより一回でさまざまな処理をしておきたいからです」

 また、保守点検は、レンタルの場合は業者が管理するけれど、リースでは購入した場合と同様で自分たちで行なうことになる。

「もし、急に修理となっても、翌日に使えるようにしてくれたり、代替機をすぐに運んでくれたりするところでないと、作業に支障が出てきます。これは購入する場合も同じですが、トラブルの際に対応が早い農機会社を選んでいます。お互いの信頼関係が大事ですね」

 大石さんによると、コンバインや田植え機は修理・保守に費用がかかるのでリース期間が終了すれば、基本的に最新型で性能のよいものに切り替えをすすめていく。リース期間を終えて賃貸料がかからなくなっても、修繕費が高くつくという判断だ。しかしトラクタは壊れにくく、動きさえすればいいので、リース期間が過ぎたあとも手元において使い続けている。

急成長の農機リース

 農機リースを扱っている大手のリース会社には、日立キャピタル(株)やJA三井リース(株)などがある。最近の農機リース事情について、JA三井リースの担当者に話をうかがった。

 同社アグリビジネス部では、農機のリース利用のパンフレットや申込書類を全国のJA店舗や農機センター700カ所に置いて、農協組合員への農機リース事業を展開する。事業高は、会社設立(2006年に三井リース事業と協同リースが合併)以来のこの3年間で、8億円から78億円へ約10倍に伸びている。リースに用いる農機は農協を通して買い入れるので、農協には販売手数料が入るしくみだ。

 アグリビジネス部の柴田稔部長は「農機のリースのしくみがわかりにくければ、社員が農家などに説明や相談で出向くこともあります。そのうえでリースの申込書類を書くこともできます」と話す。また、農協で開かれるリースの説明会でも社員が話をしている。

 同社がすすめるリース業務の「農業かんたんサポート」では、機械を決定しリース申し込みをすると、まず簡単な審査がある。

「おもな審査内容は、どのような内容の農業をやっているのか、それと過去に借金を返済できないなどの金融トラブルがなかったかどうかです。基本的にはその翌日に審査結果を回答します」。ここでの農業の内容とは、たとえば米を3ha、野菜を1haなどといったことだ。原則として第三者連帯保証や担保は不要。支払い方法は、収穫期に合わせて、年払い、半年払い、月払いのなかから選べる。

「ふつうの借り入れと比べると手続きが簡便です」と柴田部長は強調する。認定農業者などの担い手組合員は最大2000万円まで利用できる。

人気の緊急リース支援事業

 農水省は昨年から、農機のリース支援(食料供給力向上緊急機械リース支援事業)を打ち出した。農業者(認定農業者とそれに準ずる者、特定農業法人、特定農業団体、農業サービス事業体、集落営農組織など)がリース事業者に農機の買い入れを求める場合、2分の1(以内=予算額の枠内)の助成をする。その結果、リース料が半額となる。リース利用をしやすくすることで、農家の農業機械への初期投資を少なくして、導入しやすくするねらいだ。

 2008年度の第二次補正予算による事業(50億円)では、予想をはるかに超える8845件、約190億円分の「利用」申請が寄せられた。最終的には約2500件に絞って採択されたという。2009年度は、補正予算で前年の5倍250億円をこの農機リース支援事業に盛り込んだ。こうした動きが「農機は借りる時代」の追い風となっている。

(地域資源研究会)

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この記事の掲載号
現代農業 2009年9月号

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