●巻頭特集 玄米はうまい
玄米もち 玄米もちは最高だ!
北川清生
玄米もちづくりは難しい!?
私はもち作りを10年前から始めているが、5年くらい前からライバルが多くなってきた。普通のもちのほかに何か売れるもちはないだろうかと考えた。新しいものを作るときには、何か「売り」が必要だ。今の時代は健康ブームだから玄米もちにしようと即断した。そこで、玄米もちを作りはじめたのだが、白米で普通にのしもちを作るように簡単にはできなかった。
はじめはのしもちと同じような作り方で、水に浸けるのを一昼夜、それを蒸してついたところ、玄米の米粒がまったくつぶれず失敗した。これでは駄目だと思い、玄米だから水を吸収しにくいのだと考え、水に浸ける時間を思い切って5日間とった。そして蒸す時間も白米のもちの倍にしてついてみた。それでも玄米は、なかなかつぶれなかった。水を打ちながら手を入れて、玄米もちをひっくり返して……、と慎重にしたにもかかわらず、打ち水が多すぎたのかトロトロのやわらかすぎる玄米もちになってしまった。
水が少ないと玄米のもち米がつぶれず、多すぎるとトロトロになる――玄米もちは水加減がこんなに難しいのかと初めて知ることとなった。水加減がいいともちがつけてくる頃には丸くなって、プリプリと弾力ある玄米もちができあがった。しかし、うまくできる時もあったり、トロトロの玄米もちの時もあったりと、一定しないのが悩みの種だった。
また、蒸し時間が短すぎて、いくらついても丸まらず、パサパサでボロボロになり、玄米もちならぬ玄米せんべいにしてしまったこともあった。
タイマーで計りまくって突き止めた おいしい玄米もちの作り方
北川清生さん(赤松富仁撮影) 玄米もちを始めた1年間は、このように成功と失敗の繰り返しだった。そのことを踏まえて、2年目からはうまくできた時の蒸し時間、つき時間をタイマーで計りまとめていった。タイマーを使用して玄米もちをつくようになってから、私の気に入る玄米もちができるようになった。
(1)もち米を5日間水に浸ける
私の場合1臼分は1.9升になる。玄米は洗わずそのまま水に浸けるが、毎日キレイな水に換え、換える時は必ずザルを使って古い水を完全に切る。5日浸けて、発芽直前くらいまでもっていく。
(2)25分間蒸す
火力の強いガスコンロで一気に蒸し上げる。火力が弱いと蒸すのに時間がかかり、もち米がべちゃっとしてつきにくくなってしまう。私が使っているのは3連コンロ。
(3)もちつきは15分で仕上げる
普通のもちのようになかなかつぶれないので、ついつい水を打ってしまう。しかし、水を打ちすぎるとトロトロの弾力のない玄米もちになる。多すぎない程度に適度に水を打たないといけない。これは、苗の水やりと一緒で経験から会得することとなる。
(4)ついた玄米もちを素早くのばす
直売用チラシ つき上がったらすぐにのし板にとり、できるだけ手際よく均一の厚さを意識して手でのばす。私はもちとり粉をまったく使用せず、のし板の上に敷いた専用のポリシートの上でのばしている。カビが生えにくく、見た目にもサッパリする。
(5)半日から1日おいて、もち切り・製品パック詰め
5cm×7cmに切った玄米もちを、黒いパックに5個ずつ詰める。1臼から14パックできる。
毎日5切れをペロリ、腹持ち抜群
このようにしてできた玄米もちは最高だ。焼きもち、鍋の食材等、色々な食べ方があるが、玄米もちは甘味があり、ふつうのもちほどのびないので噛み切りがよく、喉につまりにくいのが特徴である。
毎年、10〜2月頃まで玄米もちを作っているのだが、その期間、私は玄米もちを昼食に毎日5切れ食べる。おいしいのでついつい食べ過ぎるのもあるのだが、昼食に玄米もちを食べると腹もちがよく、夕方になっても空腹感がないため、仕事がはかどる。
北川さん味自慢の玄米もち どんどん売れて、もち米1俵8万円!
作った玄米もちだが、主に直売所で5個入り300円で販売している。1日おきに2臼、年間7俵くらいついて、5カ月間販売する。玄米もちに加工して売ると1俵のもち米が8万円ということになる。
玄米もちを買い求めるお客さんは年々増えていて順調に販売が伸びている。
「体の調子を整えるのに、玄米もちが必要です」「腸の調子がよくなりました」等、嬉しい声が届いている。
今後とも、コツコツと丁寧に玄米もちを作り、励んでいきたいと思っている。
(三重県多気町)
この記事の掲載号『現代農業 2009年12月号』玄米はうまい/堆肥栽培 稲作編/炭酸ガス施用 最前線/ハサミ・ノコギリ拝見/畜産 光合成細菌/イモ保存術 ほか。 [本を詳しく見る]
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