●巻頭特集 発芽名人になる!
栽培歴50年の名人が伝授
パセリをほぼ 100%発芽させる技
長野県塩尻市・高橋一男さん
「1カ月たってもウンともスンともいわないからもう1回、いや2回も3回も播き直した」なんて話がザラにある。発芽率が悪いことにかけては天下一品。そんなパセリの大産地・長野県塩尻市で、いつでもほぼ100%揃って発芽させる名人が高橋一男さんだ。
高橋一男さん。手に持っているのがパセリのタネ
(写真は*以外、すべて赤松富仁撮影)(*)
パセリのタネの1デシリットル袋。
「発芽率60%以上」と書かれている高橋さんが播くとほぼ全部発芽。20粒くらい播いたので20粒くらい発芽した。パセリのタネはF1種ではなく個体差が大きいので、「緑が濃く、縮れ具合がよく、病気にならない」ものを徹底して選び1本に残す。「いいものは20本のなかに1本くらいしかない」 どの穴も芽がビシッと出揃っている。かん水設備のない冬の無加温ハウスでこの姿は驚異的。このハウスは秋まき春夏どりの作型で、11月24日播種、12月17日に撮影 浸種+水洗いで発芽率60%が80%に
「浸種をやらない人もいるけどオレは24〜48時間は必ず浸ける。小さなタネ袋ひとつ(1デシリットル)に対して2リットル以上の水を使う。水が少ないと発芽率が悪くなるんさ」 「手ぬぐいでこしらえた袋にタネを入れてさ。最初は茶色の水が出るけど、それが発芽率を悪くするアクだから、水が透明になるまで洗う。でもゴシゴシは洗わない。軽くやさしくね」
なるほど、水洗いまでしたタネ(右)は表面がツルッとしてきれい 「タネを洗ったあとは袋ごとタオルで何重にもくるんで脱水機にかける。袋だけだとうまく回らないからね」 播いたあとの微妙なプレスで発芽率80%が90%以上に
「マルチの穴は播く直前にあける。早くあけとくと土が乾くからな。指で深さ1cmくらいの溝をつくってタネを20粒くらい落とす」 「脱水機にかけたら、乾かないうちにすぐ播くのも大事。トレイに入れて上から濡れタオルをかけてすぐ圃場へ持っていく。これで2時間くらいは乾かない。万が一、途中で乾いちゃったら、水にまた浸けなおすんさ」 「覆土は指でグルリ。これでタネが土の中にちょうどよく混ざる」 「最後に指の背でプレス。指の平でやると軽くやったつもりでも力がかかっちゃう。指の背だと微妙な力加減がわかるんさ」
「今みたいに土の表面が乾いているときは少し強め。指の跡が若干見える程度。土が濡れているときは上をそっと触る程度だな。強すぎると膜ができちゃって、うまく発芽しない。ここで失敗する人が多いね」 「芽が出たら間引いていくけど、早く出たやつは概して弱い苗が多い。充実したいい苗は後から出てくるが、遅れすぎたのもダメ。そうやって見ながら3回は間引きして、最高のものを残すのよ」 ![]()
この取材時に撮影した動画(パセリ名人・高橋さんのタネの播き方)が、ルーラル電子図書館でご覧になれます(http://lib.ruralnet.or.jp/)。
この記事の掲載号『現代農業 2010年3月号』吸水・芽出しで名人に/覆土・マルチ・床土で名人に/タネの向きで名人に/堆肥稲作/野菜の接ぎ木/我ら果樹産地を引き継ぐ/味噌でお手軽人気商品/新しい野菜流通 ほか。 [本を詳しく見る]
『Q&A 絵でみる野菜の育ち方』藤目幸擴 著 タネを直まきする野菜と苗を育てる野菜があるのはなぜ?結球野菜の葉の働きは?どうしてホルモン処理したトマトはとがってるの? 野菜が育つしくみを尋ねながら、栽培の勘どころを明らかに。育ち方からわかる育て方 [本を詳しく見る]
『野菜つくり入門』戸澤英男 著 土の見方から耕うん、畦つくり、不耕起栽培、タネまき、苗つくり、施肥方法、被覆資材の利用、中耕・培土など栽培管理、収穫・貯蔵、自家採種まで、作業の意味とやり方、生育への影響をわかりやすく解説した入門書。 [本を詳しく見る]