月刊 現代農業
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●巻頭特集 挿し芽&わき芽でまる儲け

巻頭写真

挿し芽で苗を増やしたり、
わき芽を残して育てたり……、
野菜や花や果樹の「繁殖力」をとことん生かす。
タネ代も浮き大助かり。

「挿し芽で増やす」コーナーより

分身の術 根付きのジャガ芽
  根付きのジャガ芽

種イモ1個から何株も!
ジャガ芽挿し栽培

岡山・坂本堅志

根付き芽なら移植できた

 私は岡山県東部の赤磐市で、米や黒大豆を主体とした農業をしております。また、おもに自家用ですが、いろいろな果樹や野菜も栽培しています。

 植物の不思議な能力に魅せられ、1本の果樹に何種類も接ぎ木して実をならせたり、ジャガイモにトマトを接ぎ木したり、さまざまな栽培方法にチャレンジしています。

 その一つとして、5年ほど前からジャガイモの芽を移植する栽培を始めました。きっかけはトマトのわき芽挿し栽培です。同じナス科のジャガイモなら挿し芽ができないかと試しましたが、それは成功しませんでした。しかし、種イモから出た芽を、根を付けて移植してみたところ、よく活着することがわかりました。

 また、収穫してみると、同じ大きさの形のいいキレイなイモがとれました。握りこぶし大のイモが平均3つずつついて、クズイモがありません。感動しました。以来、この栽培方法にはまっています。

筆者。種イモを畑に埋め、寒冷紗で保温して芽出し

ジャガ芽挿し栽培の手順

 やり方をご紹介します。まず、2月下旬に種イモを土に埋めて(6〜7cm土をかぶせる)、芽出しをします。寒冷紗をかけて保温しておくと、4月中旬にはたくさんの芽が出ます。

 芽の青い部分が5〜10cmになった頃、1本ずつ、根を付けたまま種イモからもぎ取る(またはハサミで切り離す)と、それがジャガ芽(苗)となります。この際、まだ先端が土中にあった白い芽は、植えても生育がよくないのでとらずにおきます。

 芽をとった種イモはまた埋めておき、2番芽をとります。3番芽もとった後、最後に種イモも本畑に移植して育てます。

 ジャガ芽は、ウネ幅130cmなら2条、株間15〜20cmで1カ所に1〜2本植え付けます。普通のジャガイモ栽培に比べると密植です。

 私の植え方は「谷底植え」です。深植えなので青イモができず、土寄せも1回ですみます。また、移植後は根付くまでかん水しますが、谷底植えなら効率よく水がやれます。さらに、深いところは地温が高く、活着や生育もよくなると思います。

 4月に移植した株は、6月中旬から7月にかけて、順次、収穫します。

 そしてまた8月からは、春と同じように秋作を始めます。秋作は普通のやり方(種イモを切って埋める)だと種イモが腐りやすく、とくにこの方法が適していると思います。

ジャガ芽の植え方
芽が出た状態で植えるので収穫までわずか2カ月
雑草が育つ前に繁茂する 矢印 長さ10〜15?のジャガ芽を谷底植え。
土寄せは1回だけですむ
芽が出た状態で植えるので収穫までわずか2カ月 雑草が育つ前に繁茂する 長さ10〜15cmのジャガ芽を谷底植え。 土寄せは1回だけですむ

いいことだらけ

早出し用は室内で芽出し
早出し用は室内で芽出し

 この栽培方法には利点がたくさんあります。以下、列挙してみます。

(1)同じ大きさ、形の、同級生のようなイモがついて、クズイモが少ない(理由はわからない)。

(2)種イモ1個から約20本の苗(芽)がとれ、種イモ代の節約になる(ジャガ芽1本は2円弱)。

(3)種イモを切らずに苗をとり、苗にはイモがないので腐りにくい。

(4)芽かき作業をしなくいい。

(5)深植えできるので、土寄せが1回ですむ。

(6)虫害等で欠株があっても、すぐに予備苗(芽)を補植できる。

(7)移植から2カ月余りの短期間で収穫でき、畑を効率的に利用できる。また、短期間なので、雑草の生育スピードにも負けない。

(8)時期をずらして栽培できるので、労力が分散できる。

(9)防寒・防暑対策をして早出し・遅出し栽培をすれば、収穫時期をかなり延ばせる。春から秋までずっと収穫し続けられないか、目下挑戦中。

降霜や高温に注意

 栽培するうえの注意点もあります。

 まず、霜が降りなくなってから移植すること。その前に移植するなら防寒対策が必要です。

 秋作では、8〜9月は日差しが強いので、移植後に遮光ネットを掛けると根付きがよくなります。

 また、ジャガイモはいやじり(連作障害)があるので、種イモを埋める場所も、本畑も、毎年場所を変えて栽培するようにしています。

 以上、栽培方法は簡単ですが、挙げた他にもさまざまな利点があるように思います。やり方を紹介した知人たちにも「ジャガイモ栽培はこの方法にかぎる」と喜ばれています。

 また、現在はサトイモも、この方法で栽培しています。こちらも、うまくいっています。

(岡山県赤磐市)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2016年5月号
この記事の掲載号
現代農業 2016年5月号

特集:挿し芽&わき芽でまる儲け
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農家が教えるジャガイモ・サツマイモつくり 現代農業 2012年8月号

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