月刊 現代農業
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「野菜の密播・密植」コーナーより

ズッキーニ
密植なのに、風・病気に強い立体栽培

群馬県東吾妻町・小宮拓也さん

小宮拓也さん。立体栽培は果実に光がよく当たるので色のりがいい

小宮拓也さん。立体栽培は果実に光がよく当たるので色のりがいい

主枝から20〜30cm離れたところに立てた支柱に、葉柄を2カ所(矢印)で固定

主枝から20〜30cm離れたところに立てた支柱に、葉柄を2カ所(矢印)で固定
主枝ではなく葉柄を固定するので、強風が吹いても株全体が揺さぶられ生長点が折れづらい。株の生長に合わせて縛る場所を上へ上へ移動させ、下葉はどんどんかいていく

立体栽培の列を横から見る

立体栽培の列を横から見る
株間80cmの密植だが、株全体が立体的になっているので、果実がよく見えてとり残しのロスもほとんどない。軟腐病などの病害も減った。品種は「ブラック・ボー」(神田育種農場)

2本の葉柄で支柱を挟むように縛る。葉柄を傷めないよう葉の付け根を緩めに縛るのがポイント

2本の葉柄で支柱を挟むように縛る。葉柄を傷めないよう葉の付け根を緩めに縛るのがポイント

 1.1haでズッキーニを栽培する小宮拓也さん(50歳)は、反収アップを目指して密植栽培に挑戦してきた。その結果たどりついたのが、ズッキーニの立体栽培(2017年5月号)だ。

 10年ほど前は一般的な地這い栽培だった。ウネ間180cm・株間1m、植え付け本数10a600本弱。これを密植にするため、まずはウネ間を収穫用の一輪車が通れる程度の150cmに狭め、仕立ても変えた。泥がつきやすく、面積が必要な地這いではなく、支柱を立ててつる(主枝)を上に誘引したのだ。

 株間も、少しずつ狭くしていった。最も狭いときで75cmに挑戦したが、「葉っぱの陰に果実が隠れて、とり残しがたくさん出ちゃいました」。ズッキーニは肥大が早く、とり遅れるとすぐに規格外になる。いくら密植できてもとり残しでロスが大きくなれば意味がない。

 そんな試行錯誤を経て、今は株間80cmに落ち着いた。当初に比べると栽植密度は100本以上増えて10a700本超、収量もアップした。

 支柱の立て方や固定の仕方も工夫し、密植なのに病害の発生が少なく強風にも強い。収穫ロスが少ない、そしてA品率が高い、独自の立体栽培を確立させている。

◆小宮さんのズッキーニの立体栽培法も収録されるDVD『直売所名人が教える野菜づくりのコツと裏ワザ』第4巻が2018年3月に発売となります。あわせてご覧ください。

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2018年4月号
この記事の掲載号
現代農業 2018年4月号

特集:密播・密植に動きあり
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