「アイデア爆発!田んぼの除草器2018」コーナーより
クジャク除草具
富山・村田有市
農業生産法人(有)ファームファームは、自立を目指す不登校、ニート、引きこもりと呼ばれる若者に就労体験の場を提供している。
年々作付面積が増え、農薬不使用田の除草作業に追われている。一度に広範囲の雑草を防除できて、なにより楽しく除草を行なえる新グッズの開発を思案してきた。
理想は、一度に何条も除草できて、狭い株間もラクにこなせる方法。「クジャク除草具」完成のヒントになったのは、掃除用具の熊手と竹ぼうき。熊手の手部分をしなりのある竹で作れば、イネを傷つけずに株間を除草できる。持ち手は神輿のような2本構造。使用者が後ろにもたれることで、地面にしっかり体重をかけられる。
使用するのは中干しまでの1カ月間。歩くだけで除草ができるので疲れにくく、一人で広範囲を除草できるため、充実感や達成感もその分だけ大きい。
なにより、大げさな道具なので目立つことができる。紅白歌合戦の小林幸子さんの衣装ばりの姿に、近所のじいちゃんも気になってしょうがない様子。無気力だった若者がこれを引いて田んぼを歩き、お互い茶化し合い、楽しみながら除草している。
(富山市)
クジャク除草具を使う筆者(44歳)。歩くだけで5〜6列の条間を一気に除草。3反田んぼの除草も1人でこなせる(依田賢吾撮影、以下Yも)
羽根部分の竹は全部で17本。竹の先端部を利用していて、独特のしなりがちょうどいい。その他の部材は近くのホームセンターで購入(Y)
クジャク除草具が通った後には雑草が水面に浮かぶ。竹がやさしくしなるため、イネが抜ける心配はない(Y)
ファームファームのメンバーにとっては、除草も楽しみの一つ
この記事の掲載号『現代農業 2018年5月号』特集:モグラ ネズミ カラスと対決 ここが弱点、ねらいどころ
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