月刊 現代農業
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「黒ニンニクのうまい話」コーナーより

炊飯器を開けずに我慢
じっくり保温で羊羹のような黒ニンニク

岡山県勝央町・安東徳純さん、清子さん

安東さんご夫婦。黒ニンニクを食べるようになってから体調がすこぶるよい。ニンニクの収穫が終わるころからは、特産品の作州黒ダイズづくりが始まる。とくにエダマメがおいしいと評判で、生産がおいつかないほどの人気(写真はすべて田中康弘撮影)

安東さんご夫婦。黒ニンニクを食べるようになってから体調がすこぶるよい。ニンニクの収穫が終わるころからは、特産品の作州黒ダイズづくりが始まる。とくにエダマメがおいしいと評判で、生産がおいつかないほどの人気(写真はすべて田中康弘撮影)

黒ニンニクで風邪を吹き飛ばした

 74歳になる安東徳純さんと69歳になる妻の清子さん。お二人の健康の秘訣は毎晩欠かさず食べる黒ニンニクで、とくに清子さんはリウマチで、薬に免疫力低下の副作用があり「風邪を引くと3カ月こじらせてしまうこともありました」と苦しんできた。「それが黒ニンニクを食べるようになってからまったく風邪をひかんのよ。インフルエンザの予防接種ももう必要なし」と笑顔で話すお二人。黒ニンニクのおかげで元気に過ごせる毎日が嬉しくて仕方ない。

見た目は焼き栗、味わいは羊羹

 安東さんの黒ニンニクは「焼き栗と間違えた人がおった」という金色の皮が印象的。しかし、中はしっかりと黒く、甘みは強くてニオイはマイルド。「うまくできると羊羹のような歯ごたえになるんじゃ」と徳純さん。

 知人から中古の炊飯器を譲ってもらうなどして、これまでに6台の炊飯器を使って黒ニンニク作りを研究してきた。炊飯器の種類も出来に関係するらしく、今なお黒ニンニク作りは研究中とのことだが、安東流の作り方のポイントを教えてもらった。

直売所では12〜13片を紙袋に入れて販売。中が見えないので近くに試食も置いた。1袋200円と安値だったこともあり、あっという間に売り切れた。ザルは保温後の乾燥のときに使っているもの

直売所では12〜13片を紙袋に入れて販売。中が見えないので近くに試食も置いた。1袋200円と安値だったこともあり、あっという間に売り切れた。ザルは保温後の乾燥のときに使っているもの

皮は金色のままだが、中身はしっかり黒い。甘みもニオイもマイルドで食べやすい

皮は金色のままだが、中身はしっかり黒い。甘みもニオイもマイルドで食べやすい

完成まで炊飯器を開けない

 収穫したニンニクを乾燥(1日天日に当ててから、ヒモで吊るして約1週間)させてから、炊飯器に入れてしばらく保温。黒くなったら取り出してさらに乾燥させて完成という流れは277ページの松田さんの作り方と一緒だ。

 ひとつ特徴的なのは、炊飯器にニンニクを入れて保温を始めたら、その後は取り出すまで一度も炊飯器を開けないこと。入れた日をカレンダーに書いておき、きっちり14日後に開けて取り出すのだそうだ。「いらわん(いじらない)ほうがええね。そのほうがようできる気がする」と清子さん。途中の味見なしでもとくに仕上がりに問題はないという。

炊飯器はこれまで6台ほどで作り試してきたが、1台だけどうしてもカチカチになってしまう圧力IH炊飯器があった。中の温度が急に上がるからではないかと考えている。現在は写真の3台を使ってジャンジャン作っている

炊飯器はこれまで6台ほどで作り試してきたが、1台だけどうしてもカチカチになってしまう圧力IH炊飯器があった。中の温度が急に上がるからではないかと考えている。現在は写真の3台を使ってジャンジャン作っている

もともと勝央町はニンニクの産地だ。ニンニクは根の付け根部分が平らになったら収穫適期。矢印の部分が割れたらB級品になるので、そういうものを黒ニンニクに使う

もともと勝央町はニンニクの産地だ。ニンニクは根の付け根部分が平らになったら収穫適期。矢印の部分が割れたらB級品になるので、そういうものを黒ニンニクに使う

入れるときは1片ずつ

 ニンニクは炊飯器の底に四つ折りにした新聞紙を敷いてから入れ、最後に上からも四つ折りにした新聞紙を載せてふたをする。

 また、少しだけ手間は増えるが、必ず1片ずつにばらしてから入れる。そうすることで、途中で上下を入れ替えたりしなくてもムラなく仕上がると考えてのことだ。

取り出したらザルで乾燥

 炊飯器から取り出したら、ザルに広げて日陰に置いて乾燥させたら完成だ。本当は紙袋に入れて室内に吊るしておくのがいちばんいいそうだが、ニオイが気になるので、今は100円均一で見つけたザルを使って屋外で乾燥させている。

 昨年は自家用で余った分を地域の直売所で販売したところ、すぐに完売。しかも安東さんの黒ニンニクがもっと欲しいと指名されるほど気に入ってもらえたそうで、今年は少し増産しなくてはと考えているところだ。

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2018年8月号
この記事の掲載号
現代農業 2018年8月号

特集:台風・豪雨、猛暑に立ち向かう
稲作:多収品種をガンガンとるための穂肥術/野菜:夏のトマトの裂果 なぜ起きる? どう防ぐ?/果樹:少ない回数で根まで枯らせる除草剤の使い方/山・特産:山作業でのマダニ対策/暮らし:黒ニンニクもっと上手に楽しく/わが家の農泊 ほか。 [本を詳しく見る]

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