月刊 現代農業
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こうじとお湯だけ、作るのも簡単

酸っぱくならないペットボトル甘酒

長崎・崎田妙子

筆者(前列中央)と家族。甘酒のおかげでみんな病気もせずに毎日元気に過ごしている

炊飯ジャーで作ると長持ちしない

 私は黒毛和牛20頭を飼育する繁殖農家です。飼料イネは4ha、牧草は3haほどつくっています。夫は市議会議員、長男は公務員で2人とも多忙なため、牛の管理はほぼ毎日私の仕事です。

 私が甘酒作りを始めて5年ほどになります。飲む点滴と流行り始めた頃に、甲状腺中毒症を患い、動悸や息切れや頭痛といった不快症状に悩まされていました。牛の管理もけっこう忙しいため、不快症状を何とかしたいと思ったのがきっかけです。

 最初は市販の甘酒を買って飲んでいましたが、毎日飲み続けるには割高なので、インターネットで作り方を調べて、自分で作り始めました。米3合でおかゆを作り、こうじとお湯を混ぜて炊飯ジャーで5時間くらい保温しておく方法です。

 おいしくできましたが、約2時間おきにかき混ぜる作業が必要で、忙しい私にとっては苦になりました。

 それにもまして困ったのは保存です。できた甘酒はペットボトルに入れて冷蔵庫で保存していましたが、冷蔵状態でも発酵が進み、ペットボトルのふたを半開きにしておかないと甘酒が噴き出してしまうし、時間が経つと少し酸っぱくなって最後まで飲みきれませんでした。

こうじだけで作ると簡単でおいしい

 時間のロスを少なくしてもっと簡単にできないものかと思案し、考えついたのが、ペットボトルにこうじを直接入れ、60℃くらいのお湯で保温する作り方でした。

 失敗してもまあいいかというつもりで、最初は2lのペットボトル3本分だけ作ってみました。するとすっきりした甘さの甘酒が簡単にできてしまったのです。冷蔵庫で保存すると、おかゆで作る甘酒と違って発酵が進まないことにも気づきました。念のためペットボトルのふたを半開きにして保存していましたが、いつまでたっても酸っぱくなりません。むしろ冷蔵庫で保存しているうちに、作ってすぐよりも甘みがだんだん増しておいしくなっていきます。

完成したペットボトル甘酒。こうじだけで作る甘酒はスッキリとした甘さが特徴

 今ではたびたび作るのが面倒なので、漬物樽を利用して、一度に2lのペットボトル10本分作っています。

 詳しい作り方は次ページのとおりです。保温するときはお湯を足す作業が面倒に見えるかもしれませんが、冷めていなければ足さなくて大丈夫です。ブクブクわくことなく、ゆっくりと発酵が進むようで、冷蔵庫で保存している間に、泡が噴き上がるようなことも絶対にありませんのでご安心を。

 こうじだけで作るので、おかゆで作る方法よりもこうじ代はかかりますが、酸っぱくなって飲みきれないことがないので、この方法が私は気に入っています。

 わが家ではできあがった甘酒を毎日朝食がわりに1人200mlずつ飲んでいます。甘酒を飲むようになってから、嫁は肌荒れが気にならなくなったと言っています。私はもう5年近く飲み続けていますが、その間いちども風邪をひくこともなく、インフルエンザにもかかっていません。肌のシミも薄らぎましたし、体がだるく重い感じがするということもなく、スッキリした毎日を過ごしています。継続は力なり、真にそう思います。

(長崎県松浦市)

こうじとお湯だけで作るペットボトル甘酒
(約2l分の場合)

① こうじ600gをダマがないようにほぐしてから、広口の漏斗を使ってペットボトルに入れる(写真①)。

② 60℃くらいのお湯をペットボトルの肩の高さまで入れ、ふたをする(写真②)。

③ ペットボトルを上下に振って、こうじとお湯を混ぜ合わせる。

④ ペットボトルを発泡スチロール箱などに入れ、お風呂よりも少し熱いと感じる温度のお湯をペットボトルが隠れるまで入れて保温する。

⑤ 1時間ほどしたら手を入れてみて、温度が下がっていたら熱いお湯を足す。その後も、1時間おきに確認し、つねにお風呂よりも少し熱いと感じる温度を保つ。確認のたびに、ペットボトルを上下に振って、中身を混ぜ合わせる(写真③)。

⑥ 3〜4時間保温したら甘くなっているか一度味見をする。甘みが出ていたら、あとは箱に入れたままの状態で、ペットボトルの中身が常温になるまで冷めたら完成。

⑦ 冷蔵庫で保存すれば、1カ月経っても酸っぱくならずおいしく飲める。

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2020年1月号
この記事の掲載号
現代農業 2020年1月号

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