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「効果テキメン! 農薬+αの混用」コーナーより

 

花のアザミウマ防除、砂糖混用がバッチリ効いた

長野・木村俊行

アザミウマのせいで返品、クレーム

『現代農業』2016年6月号に、砂糖混用(*)がアザミウマ類に有効だという記事があり、半信半疑で実践しました。

 ことば解説
砂糖混用 『現代農業』2010年6月号、2012年1月号、2016年6月号などで紹介した、花のアザミウマを防除する方法。殺虫剤に少量の砂糖を混ぜて散布すると、花弁やガクに隠れていたアザミウマが砂糖の甘さにおびき寄せられるのか、殺虫効果が高まる。また、砂糖水のベタベタが展着剤やデンプン液剤のような役割をしている可能性もある。花だけでなく、ナスやネギなどの野菜でも同様の効果を実感する農家が増えている。

 私は十数年前に勤めを退職し、父のパイプハウスを引き継ぎ、花卉栽培をしています。面積は約850m2で、栽培品目はスターチス、トルコギキョウ、そしてスターチスの後作のストック。アザミウマ類の防除で悩んでいたのは、スターチスとトルコギキョウです。登録のある殺虫剤を散布しても、納得のいく効果を得られませんでした。

 スターチスの場合、出荷当初は問題ないのですが、後半になるとアザミウマが発生。選花台を虫メガネで見ると、そのへんを動き回っていて目立ちます。選花していると、アザミウマが体に付き、かゆみを伴う不愉快な思いをしていました。挙句の果てには、出荷先から返品を余儀なくされることもありました。

 トルコギキョウの場合、私は紫色を栽培していますが、花弁がアザミウマに食害されると、筋状に白くなり、商品価値が低下します。結果的に、開花すると「花染み」になり、クレームの要因になっていました。

 そこで数年前から、殺虫剤に砂糖300倍を混用して散布。アザミウマの被害がなくなり、ほぼ納得のいく防除ができました。

花でも減農薬

 花栽培ではっきりしていない問題のひとつに薬液の散布量があります。私は地面が薬液で濡れる程度を基準にしています。草丈が伸びると必然的に散布量を増やしていますが、そのときは薬液が枝葉から滴る程度に散布。100坪当たり20〜80lを目安にしています。

 もうひとつ、重要なことは定期防除です。以前、視察した花農家は、毎週木曜日を防除日にしていました。それから、花の観察も重要だと思います。ハウスの中が暑くても、常に害虫の発生をチェックし、適期に防除するのが基本です。

 農薬の残留問題に関心が高まるなか、国民の意識は有機栽培農産物や特別栽培農産物にシフトする傾向にあります。花は観賞するもので、有機栽培や特別栽培とは直接関係ありませんが、農家が健康で花栽培を継続するためにも、体に影響が少なく、害虫に物理的に作用するような農薬が開発されることを望んでいます。

(長野県上田市)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2020年6月号
この記事の掲載号
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