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野菜・花

疲れない!早い! 野菜のスピード収穫

キュウリ

作業効率1.5倍以上の片手収穫

長野県高森町・安藤眞幸さん

安藤眞幸さん。息子と野菜、果樹、水稲の複合経営。キュウリ約30aが主体で、ハウス、雨よけ、露地で4〜12月収穫(写真はすべて田中康弘撮影)

 安藤眞幸さん(71歳)は、キュウリづくり52年。高校を出てすぐ就農し、今はカキやブドウ、水稲もあり、毎日忙しい。

 そんな安藤さんのキュウリの収穫を見せてもらうと……早い! 迷ったり、立ち止まったりすることは一切なく、流れるように動くのだ。

 普通、ハサミで収穫する場合は、実を支えるのと切るのとで両手を使うが、安藤さんはそれを片手ですませてしまう。若かりし頃、静岡県でミカン切り(収穫)の手伝いをしていたときに覚えた手さばきだという。

「キュウリでも応用してみたら、作業スピードがぜんぜん違う。1.5倍、いや、もっとかもしれん。この方法なら、目をつぶってたってできる」

 しかも、片手で収穫すると、下のほうの実をとるときも立ったままでいい。

「いちいちしゃがんでいたら、スクワットみたいになって、えれーら(大変でしょ)。だって年だもん、腰にくるし、膝にも負担がかかる。片手収穫は屈まないでいいから、身体がうんとラクだに」

 こんな調子で安藤さんは「トットコトットコ」作業を進めているという。(編)

 

 

親指と薬指と小指でハサミの柄の基部(バネの近く)を握る。親指の内側で刃が交差するあたりを押さえ、切るときグラつかないようにする

人差し指の内側と中指の外側でキュウリを挟み、ハサミの刃先を切る場所に入れる。人差し指と中指は上下にずらしておくと、より安定する。親指と薬指と小指に力を入れて切る。これらの動作をほぼ同時に行なう

ハサミを持った右手でそのままキュウリを持ち運び、収穫台車に積む。ただし、高い位置の実は収穫したあと左手に持ち替えたほうがスムーズ。基本的に片手が空くので、収穫台車を押したり、収穫カゴを持ったりして、前進しながら収穫できる

 

片手収穫

 

低い位置の実をとるときは、収穫台車のハンドルを持った左手で体を支え、右手を伸ばす。膝を曲げて、しゃがむ必要はない。収穫カゴの場合も同様で、131ページの写真(記事タイトル下)のようにカゴを置き、持ち手を握りバランスをとる

キュウリに人差し指と中指を当てさえすれば、切る瞬間はそこを見なくていい。視線は斜め前方(約1.5m)で、次に収穫する実を探す

 

両手収穫

 

低い位置の実をとるのに屈まないといけないので、膝や腰に負担がかかる。両手収穫だと、顔の向きも自然と決まり、収穫しているキュウリを見続けることになる

左手でキュウリを持ち、右手で切るのが一般的。これでは収穫台車を止めたり、収穫カゴを置いたりして、作業が滞ってしまう


取材時の動画がルーラル電子図書館でご覧になれます。
「編集部取材ビデオ」から。
https://lib.ruralnet.or.jp/video/video_bunrui.php?bunrui=syuzai

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