「21世紀の日本と農業・農村を考えるための行動」 機関誌

第17号：特集のねらい
　いま地域おこしのキーワードは「地産地消」。本誌15号でも特集しましたが、「地産地消」は農業関係者だけの課題ではありません。農だけでなく、地域の工も商も連携して、改めて「地産地消」に取り組むことが、地域ごとの個性的な豊かさを実現する道であり、地方の自立を実現する道です。
　「身近な地域資源を使って、地域の独自性を発揮し、地域内循環の経済を可能な限り追求すること」と、鹿児島県の地域的資源・サツマイモのお菓子つくりに励む九面屋の鳥丸正勝社長。消費者と対話しながら、地域独自の商品を創造することを実践・提案しています。
　農・工・商が連携することで、いま最も関心のある「安全・安心」が実現しています。例えば、豆腐屋さんやパン屋さんが“地元産の素材”にこだわった加工に取り組むことで、「安全・安心」で美味しい豆腐やパンがつくられます。不景気のなか、スーパーは売れ行きに陰りがでていますが、「朝採り野菜コナー」をつくることで客足をのばし、「地産地消」を実現しています。また、各地の商工会による、空き店舗の利用・特産物の活用など地域資源を活かした地域づくりも目につきます。

　本号では、地域資源を活かした“農工商連携”の地域づくりの取組み事例をお届けします。

〈主な内容〉

• 特集： 農を基本とした“農工商連携”の地域づくり
  
  
• 第一部：今なぜ“農工商連携”なのか
  
  ●住み続けたくなるまちを「情報交流」と「連携」でつくる
  　――顔の見える情報発信を大切に
  　・・・東北芸術工科大学教授　高野公男
  ●地元の「食材」を活かした“農工商連携”の地場産業おこし
  　――地域に伝承される伝統技術を活かし、「平成百珍」実現に奮闘中
  　・・・鹿児島・（有）九面屋社長　鳥丸正勝
  
  
• 第二部：大豆・麦の定着は加工業者との連携で
  
  ○豆腐屋も農家も元気にする「安心院豆腐」
  　――こだわり豆腐屋と安心院町農家の取組み
  　・・・（フリーライター）種森ひかる
  ○「白神こだま酵母」の出現でパンつくりの常識が変わった
  　――国産小麦で“満足感のある”パンを焼くサラ秋田
  　・・・（株）サラ秋田白神社長　大塚節子
  ○県産小麦の活用だけでなく「改質玄米粉」を混入したパンも提案
  　――岩手県パン工業組合とオリオンベーカリーの取組み
  　・・・（フリーライター）おおいまちこ
  ○町内産二条大麦の地ビールで町に元気を呼び込む
  　――今が試練のとき〈富山県宇奈月町の取組み〉
  　・・・北日本新聞社記者　宮田京子
  
  
• 第三部：地場野菜の「小さな流通」を農商連携で
  
  ○「ハマッ子」ブランドの多品目野菜を横浜の消費者へ
  　――イトーヨーカ堂とＪＡ横浜南の取組み　
  　・・・（フリーライター）古島章子
  ○農村のスーパーでも地場野菜が引っ張りだこ
  　――地元スーパー「パワフルかわぜん」とＪＡ木造町の取組み
  　・・・（フリーライター）酒井喜久子
  ○伝統野菜の再興を市場業者も支援する
  　――「なにわ大阪伝統野菜」をめぐる取組み　
  　・・・（フリーライター）種森ひかる 　　
  
  
• 第四部：商工会の「地域資源活用」の取組み
  
  ◆トマト加工や都会での農産物直売を支え村に活力をもたらす
  　――高原トマトの村の小さな商工会が地域づくりで大きな力・・・広島県神石郡　豊松村商工会
  ◆売人も料理人も竹田ならではの産物で観光客をもてなす
  　・・・大分県竹田市　観光協会と商工会議所商
  ◆空き店舗活用の市民交流サロンで地元食材の郷土料理を提供
  　・・・岩手県久慈市　久慈商工会議所
  ◆農家と菓子店の協力で紫芋の新商品を次々開発
  　・・・岐阜県各務原市　各務原商工会議所
  ◆減少した観光客の呼び戻しに 地域特産の新商品を開発・・・香川県坂出市　坂出商工会議所
  ◆不況克服に間伐材利用の学童机、椅子、ベンチを・・・岐阜県　飛騨木工連合会
  ◆家庭の生ゴミからできた堆肥で「安全・安心」野菜を・・・栃木県足利市　足利商工会議所
  

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