「21世紀の日本と農業・農村を考えるための行動」 機関誌
第39号:特集のねらい
◆地域農業の再生、新たなむらづくりへ向けその計画段階から女性の参画を進めたい
いま農村では、お米の仮渡金の大幅なダウンが示され先行きが見えにくくなるなか、女性が地域に「新しい風」を吹かせ、農業・農村を元気づけています。野菜・果物などの直売、大豆・麦などの加工・販売、農家レストランやファームイン、都市農村交流など女性が主役となり、農山漁村に人を呼び込み、活気を取り戻す取組み=農村女性起業。その取組みは「地産地消」をベースにした農村コミュニティ・ビジネスです。
この「地産地消」ビジネスは、「農家、とくに女性でなければできない。何より地場産に対する愛着と、真面目でごまかしのない経営をしないとまっとうできないからである」と山本提言。今後、地域の自然や農地、人を活かして持続的で個性豊かな農業・農村にしていくためには、「生産する生活者」である女性の感性を活かすことが大切で、今後の地域農業をどうするか、むらづくりをどう進めるかなどの検討の場、話し合いの場に女性が参画することが欠かせないのです
実際、女性が地域農業やむらづくりの話し合いの場に参画すると、「私らのつくっているものが売れる場所がほしい。青空市ができればいいな」「せっかく大豆をつくるのだから、その大豆で豆腐をつくったら? ついでに豆腐料理が食べられる茶屋ができたらいいね」など様々な意見が出て、夢がどんどんふくらみ、女性が主役の動きにはずみがついて、地域に元気を呼び込むことを、本号の先行事例が教えてくれます。
これまで、地域農業やむらづくりなどでは、農村女性は最大の働き手であるにもかかわらず脇役でした。集落の寄合や圃場整備事業の説明会、むらづくりの話合いなどは、参加単位が「世帯」のため、どうしても女性が参加して発言することが少ないのが現実だったようです。本号では、そうした現実を踏まえて、どうするかの「提言」と、女性が主役となる(する)取組みをいかに実現したか、その「先行事例」を紹介しました。
「地域で魅力的な活動をして、地域をよくしていく、ここで暮らしたいという若い人たちが出てくるようにしたい」(滋賀県東近江市・農事組合法人「万葉の郷ぬかづか」)という人たちの話合いの素材として、この特集号をお届けします。
〈主な内容〉
○「農村版コミュニティ・ビジネス」実現に 女性の果たす役割は大きい
――農村女性起業の展開と地域農業・むらづくりへの女性の参画の必要性
日本大学生物資源科学部准教授 川手督也 /4
○女性パワーが地域の未来像を描き出す
――「生活の場」としての農村地域再生のために
福島大学行政政策学類准教授 岩崎由美子 /10
○女性だからできる真面目な「地産地消」 しっかりと稼いで地域を活性化しよう
――元気を呼び込む農村女性起業成功の鍵と地域農業活性化のポイント
農業マーケティング研究所・所長 山本和子 /18
○消費者に農業の理解を得ながら 地元農産物やその加工品を積極販売
――「生消菜言倶楽部(せいしょうなごんくらぶ)」の取組みから
静岡市・アグリロード美和代表 海野フミ子 /24
○農業委員時代に考えていた「農家民宿」を いよいよ開始
――「までい民宿・どうげ」のオープンとこれから
福島県飯舘村・元農業委員会会長 佐野ハツノ /30
◆<参考資料>農村女性起業活動の発展、男女共同参画社会形成に向けて /36
――地域の意思決定の場に女性の声を/女性が活躍しやすい場づくりを等
農林水産省経営局 普及・女性課
○伝統の「食」を中心に地域がひとつになった
――秋田県琴丘町JA型コンビニ「JAンビニ」の取組み
JA秋田やまもとふれあい課課長 泉 牧子 /44
○地元特産の小麦、農林六一号を使った手打ちうどんが大人気
――栃木県都賀町・加工グループ「桔梗会」と農村レストラン「藤糸うどんの店 桔梗」の取組み /48
○地域の生産組織と連携、地元農産物を使った伝統の味を売る
――岩手県遠野市綾織地区の「女性の会」と農村レストラン「夢咲き茶屋」の取組み /54
○父さんのつくった大豆・麦・米を 母さんの手で美味しい味噌に
――大分県日田市・大肥郷ふるさと農業振興会を法人化へ導いた加工部「ももは工房」の取組み /62
○転作大豆の豆腐加工・販売から豆腐料理を楽しむ茶屋まで運営
――広島県安芸高田市吉田町可愛地区の農事組合法人「えーのー」女性部の取組み /70
○田んぼ仕事から解放された女性たちが 米粉パンやソフトクリームづくりで人を呼ぶ
――滋賀県東近江市・農事組合法人「万葉の郷ぬかづか」加工部の取組み /78
○女性パワーで起業 地域のコミュニティ・ビジネスを確立
――高齢者への福祉弁当配食サービスなど地域へも貢献
島根県津和野町・(有)あしたば代表取締役 中野ヒサエ /84
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