『農村文化運動』 163号 2002年1月

「JAーIT研究会」第1回研究会の記録

-「営農」中心の農協活動はどのように可能か-


[目次]

はじめに

開会の挨拶

JA-IT研究会代表委員(日本女子大学教授) 今村 奈良臣

報告1 わがJAの総合営農事業強化に向けた取組みについて
     ―地域おこしの中核としての農の再生と多様な担い手の育成―

群馬県・JA甘楽富岡営農事業本部長 黒澤 賢治

報告2 西条の農業を構造的に変える試みがはじまった

愛媛県・JA西条常務理事 加藤 尚

報告3 21世紀農業・農村のあるべき姿とは

山口県・船方総合農場グループ代表 坂本 多旦

討論 ―報告と記念講演を受けて

課題提起 JA-IT研究会の課題を「P-Six」理論によって整理する

JA-IT研究会代表委員 今村 奈良臣

全体討論

閉会の挨拶

新潟県・JA越後さんとう営農部長 今井 利昭

 

補 JA甘楽富岡の実践はITによって可能になった

   JA-IT研究会事務局

 

■ JA-IT研究会に寄せられた運営委員からのメッセージ

■ 「JA-IT研究会」資料・ご入会方法

 


はじめに

 二〇〇一年九月八日から九日にかけて、JA―IT研究会設立総会と第一回研究会が開催された。

 議長に選出された吉田俊幸氏(高崎経済大学教授)の議事進行のもと、呼びかけ人代表の今村奈良臣氏(日本女子大学教授)のご挨拶の後に、事務局から提案された「『JA―IT研究会』趣意書(案)」「『JA―IT研究会』規約(案)」が討議され、一部修正されて承認されるとともに、代表委員、副代表委員、運営委員、監事からなる役員が、全会一致で承認された。ここにJA―IT研究会が発足した。

 JA―IT研究会は、上部組織と下部組織の存在するピラミッド組織ではなく、単協の役職員を正会員とする各単協横並びのフラットな研究組織である。

 厳しい経済情勢・農業情勢のもとで農協の各種事業が低迷し、農協経営の屋台骨である信用事業の収益性も悪化している。農協が置かれているこの困難な状況をどう打開できるか。この課題に主体的・実践的に迫るために、単協を会員の主体にしたフラットな組織形態とし、農協の先駆的な実践とともに、系統外の団体・企業などの実践からも大いに学ぼうということになったのである。

 改正農協法をもち出すまでもなく、農協運動の根本は営農関連事業にある。「信用共済は、銀行や保険会社でもできる。農協にしかできないことは農業生産だ」と、JA甘楽富岡を再建した黒澤賢治氏は言っているが、言うは易く行なうは難いこの課題に立ち向かわねば、農家や農協の未来は見えない。

 その際に、生産・流通・消費のそれぞれの場面で大きな変化が生じていることに注目しなければならない。単品作目大量生産による産地間競争を伴う大規模市場流通の時代から、少量多品目生産による産直型流通の時代へと、時代は移行しつつあり、多様な生産者によって生産された多様な農産物を、多様な消費者ニーズに対応して届けることが求められているのである。

 IT活用なくしてこの時代的要請に応えることはできない。そこで営農関連事業の現代的再構築と農協のIT革命を統一的にとらえていくことを念頭に置き、研究会の名称を「JA―IT研究会」とした。

 「地域農業の再建は、農協の支え抜きには考えられない。農協は、農村の地域インフラそのものである。農協の役職員の積極的な参加を呼びかける次第である」(本号五八頁「趣意書」より)

 JA―IT研究会への積極的なご参加を。

文化部


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