『農村文化運動』 169号 2003年7月

すすむJAの自己革新 ―トップリーダーの提言

-JA−IT研究会「専門研究会」のまとめ-


[目次]

はじめに

I  JAの自己革新の路線に全力を

――先発7JAに学び、実践につなげよう――

JA−IT研究会代表委員 今村奈良臣

II  7JAの先駆的事例に学ぶ事業改革のポイント

JA−IT研究会事務局 中村義則

III  7JAはいかに事業改革に取り組んだか

――各JAからの報告

IV  現場からの総括と、JA間連携・農産物加工についての提案

JA−IT研究会副代表委員 黒澤賢治

補  来たるべきXデーに向け、何をしておくべきか

――JA高崎ハムの危機管理の事例から――

JA高崎ハム・総合対策部長 小板橋博之

はじめに

 本号は、二〇〇一年十月に、JA―IT研究会内に設置された「専門研究会」の研究成果をまとめたものである。

 本研究会は、正念場を迎えたJAの事業改革を促進するため、営農復権の旗印を掲げて先駆的な取組みを行なってきた7JAの協力を得て、すすめられた。

 第III章は、7JAからご報告いただいた事業改革のポイントの要約であるが、各JAが問題の所在をどのようにして自ら洗い出し、その問題点をどのように克服したかが鮮明に示されている。

 また第II章は、この研究報告書を単なる優良実践事例集にせず、JA自己革新の実践的な手引きにするために、7JAの先駆的事例に共通するものを抜き出し、JAの事業改革の道筋を分析したものである。JAの事業改革は、JA内部での意識変革と改革のための力の組織化抜きにはすすまない。そのプロセスに光を当てることによって、現場に根ざした、真に実践的な改革の手引きをつくろうというのは、専門研究会の発足当初からのねらいだった。さまざまの農協論や優良実践事例集があるなかで、本報告書のきわだった特徴はここにある。

 なお、営農指導事業、販売事業、購買事業の三つの事業は密接不可分な関係にあり、7JAともに、これら三事業を深く連関させることによって新しい営農経済事業の確立をはかっている。その認識を念頭に置きながらも、専門研究会では、便宜的に7JAをこれら三部門に分けて配置し、焦点をしぼって報告していただき、検討を加えた。そのため、第V章の各JAの報告では、各部門の比重が微妙に異なっていることを、ご承知おきいただければ幸いである(専門研究会の体制は96頁参照)。

 また、本特集号の全体構成としては、第T章で、専門研究会の大枠を指し示していただいた今村奈良臣代表委員に、JAの自己革新の基本路線を提起していただき、第W章では、副代表委員の黒澤賢治氏に、研究会全体を総括していただき、今後の大きな課題であるJA間連携と加工事業について補足していただいた。

 さらにまた、今後、JAの危機管理対策が重要になるとの指摘から、実体験にもとづくマニュアルをJA高崎ハムの小板橋博之氏にご発表いただき(「補」参照)、また、この専門研究会を日常的にご指導いただいた吉田俊幸副代表委員には、専門研究会のねらい・経緯と営農経済事業改革の必要性についてご執筆をいただいた(「あとがき」参照)。

 各JAの要職にありながら、超多忙のなか詳細な調査票を作成し、交通費も自前、まったくの手弁当で専門研究会に結集してくださった各JAの自発的・内発的なエネルギーなしに、本報告書はできなかった。また各JAの報告の要約やその分析は高崎経済大学の大学院生やJA全中の職員が、JA―IT研究会の事務局員としての立場で、情熱的にこれに取り組んだ。ここに厚く御礼申しあげるとともに、本特集の活用を心からお願い申しあげる次第である。

文化部


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