『農村文化運動』 184号 2007年4月

「持続可能な地域づくり」――12のキーワード
――「生涯現役社会」「農村都市交流」「人づくり」の三視点から――


[目次]

はじめに

序にかえて──「持続可能な地域づくり」の基本視点 農文協文化部

「持続可能な地域づくり」のキーワード

■個性的で豊かな生涯現役社会をつくる

○朝市・産直・小さな加工
 農文協文化部

○コミュニティ・レストラン
 金沢大学教授(特非)NPO研修・情報センター代表理事 世古一穂

○生涯現役社会
 農文協文化部

○内部循環型経済の確立
 京都大学大学院経済学研究科教授 岡田知弘

■農村と都市の交流をすすめる

○グリーンツーリズム
 フリーキャスター・フードジャーナリスト・工学博士 林 美香子

○農的暮らし
 フリーキャスター・フードジャーナリスト・工学博士 林 美香子

○山村留学
 NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター専務理事・事務局長 辻 英之

○NPOによる農村の生活文化の継承
 NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部専務理事 関原 剛

○エコミュージアム
 NPO法人朝日町エコミュージアム協会理事 西澤信雄

○自然学校
 NPO法人国際自然大学校代表 佐藤初雄

■「地域づくり」で学習し力をつける、次世代を育てる

○地域学・地元学
 宇都宮大学教授 廣瀬隆人

○食農教育・地域に根ざした食育
 農文協文化部


はじめに

 本号では、現代の地域づくりの課題を持続可能な地域づくりとして押さえ、その具体的中身を考えてみた。

 明治以来、欧米に追いつけ追い越せと近代化をすすめ経済面では追いついてしまった日本が、さまざまな矛盾をかかえながら、この先どこに向かえばよいのか、必ずしも明確ではない。しかし社会の基層では大きな転換がすでにはじまっているのではないか。このような予感から、持続可能な地域づくりに注目すべき動きを一二のキーワードとして拾い上げ、その運動の先駆的な担い手の方々やその分野の専門家の方々に、ごく簡潔に、その押さえどころを整理していただいたのである。

 その第一は、朝市・産直、コミュニティレストラン、生涯現役社会、内部循環型経済など、自然との関係や人間どうしの関係の修復や、地域づくりの内容そのものにかかわるキーワードである。

 そして第二は、グリーンツーリズムや、農村と都市の交流・帰農などの農的暮らし、山村留学やNPOによる農村の生活文化の継承、エコミュージアムや自然学校など、都市と農村の交流・共生、融合にかかわるキーワード。

 そして第三は、地域学・地元学や、食育・地域に根ざした食農教育など、人づくりや次世代の育成にかかわるキーワードである。そこでは地域づくりをとおした大人自身の主体的力量の蓄積と地域共同の子育てを統一的に捉えることが必要になる。

 この一二のキーワードは、どこから読んでも構わない。しかしこの全体に目をやれば、いまどのような時代にあって、どういう流れが起きており、時代はどこに向かうのか、自ずと見えてくるのではないだろうか。

 なお、序にかえて、編集担当者の問題意識を開陳させていただいた。朝市・産直などにみえるライフスタイルの転換、農村と都市の新しい関係性を予感させる都市民参画のむらづくりへの注目、個性が開花する質の経済社会への胎動、自然と人間の根源的な関係から教育を捉え直すことの必要などである。

 しかし、これはあくまでも編集担当者の問題意識であって、読者の皆さまの読み方でキーワードを読みこみ、現代社会の行方を読み解いて、今後の各方面での取組みに生かしていただければ、大変にありがたいことだ、と思う。

農文協文化部


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