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中尾 慶子



氏名:
中尾 慶子
ふりがな:
なかお けいこ
肩書き:
聖和女子学院 理科教諭
出身都道府県:
広島県
生年(西暦):
1968
現住所:
長崎県
主な経歴:
生徒たちの体調不良の現状に直面し、4人の息子を育てるなかで、食を見つめることは「命」・「未来」を見つめることにつながると感じ、食育活動展開中。
第1回長崎県食育推進活動知事表彰
大地といのちの会:平成18年度地域づくり総務大臣表彰受賞

上記肩書き以外の「主な役職」:
大地といのちの会理事
佐世保市環境アドバイザー
長崎県環境アドバイザー

■お話のジャンル・領域

<農>

有機農業

<健康>

健康食

<食農教育>

食育

■メッセージ

■菌ちゃんから始まる“命の食育”〜学校現場から感じる危機感〜

 長崎県を中心に今、九州では「生ごみリサイクル元気野菜づくり」という体験学習が広がっています。ごみと思っていた生ごみを土に混ぜ、土ごと発酵させると、人間の力及ばない命の巡りの世界を数カ月で体験することができます。微生物の力を借りることによって、抗酸化物質たっぷりで、香りが強く栄養価の高い、生命力あふれる野菜が育つのです。私たちの命というのは、この目に見えない小さな世界によって支えられ、多くの生物の連鎖の中で生み出されていることを肌で感じることができます。そうした体験の中から生まれてくる「感性」こそ、今の子供たちに最も必要なものなのではないか・・・と感じています。

 私は4人の息子の母として、50年後100年後の未来を自分のこととして真剣に考えるようになりました。それと同時に、中高等学校の理科教諭として学校現場にいる中で、子供たちの体と心の変化を感じずにはいられません。

 近年、34℃台の体温を年に数回見るようになってきました。青白い顔でだるそうに早退していく生徒。平熱は35℃台、小学校時代から低体温、いつも体がだるく高校に入ると心を病んできて、リストカット、うつ病・・・そんな生徒達が一人や二人ではない現状がありました。調べてみると、3分の1以上が平熱が35℃台の低体温だったのです・・・。これは自分のクラスや学校だけの問題ではなく日本全国の現状であることを知りました。

 理科教員としても環境問題は深刻に受け止めていますが、「環境が壊れるということは、人間が壊れることにもつながっているんだ」それは、どちらも、「命に鈍感になっている」という根本的な原因があるからだ・・・と感じました。

 今、利益優先の経済社会の中で、目に見えない部分はコスト削減がドンドン進み、その影で命を最も支えてくれていた命の出発点である「微生物の働き」が、ないがしろにされてきています。日本の農業は衰退の一途、人手がない中、土作りに手間隙かけていられない実情もあり化学肥料と農薬の多様化が進み痛みやすくミネラル分も香りも少ない野菜が主流となってしまいました。さらに加工食品の世界も口当たりと見た目を重視し、多くの添加物を使って全国流通するものばかりが開発されてきました。日本古来の発酵調味料の世界も、昔ながらの職人さんの数はどんどん減り、場所や時間を使うよりも効率的に化学物質を活用した代用品がとても安い値段で出回るようになり、今や、そうしたもどき食品のほうが主流となってしまっている現状があります。

 そうした大人社会の実情はそのまま子ども達の体に反映されていることを痛感させられました。

 高校の傍にはすぐに安いファミリーレストランができ、定期試験中にはドリンクバーでジュース飲み放題、ピザ食べながら試験勉強している姿も。また、必ずコンビニもでき、朝に夕にと学生でにぎわっています。食料はコンビニで買い、手軽に好きなもので適当におなかを膨らますことになれた生徒たち。しかし、便利快適の裏にはリスクが伴うことを知らないままです。

 低体温の生徒たちは、便秘・生理不順・風邪を引きやすい・口内炎ができやすい・粘膜がよくトラブルをおこす・夜眠れない・・・と多くの体調不良を訴えてくるのです。人類共通の平熱が36度以上ないということは、腸内細菌の働きも悪く酵素をつくりにくく、また酵素活性も悪い状態が続きます。その低体温の原因は、実は、自分の日常生活に多くの原因があることを知りません。そして、そんな生活習慣をもったまま、卒業してしまった生徒たちが数年後、流産していたり、20歳台でガンを発症していたりするのです。特に男の子などは結婚年齢も遅くなり、外食とコンビニ生活を続け、まじめに頑張る優秀な子が、食費もけずりながらストレスを抱える仕事をこなす中、ガンを発症したりする姿を多く見るようになりました。

 どんなに部活で精神力を鍛えても、どんなに勉強をして一流大学に行けても、体と心を作る基本である「食育」が土台になければ、幸せな人生につながらないということを教師として親としてつくづくと思い知らされています・・・。

 できれば中学校までに、土と食と命の関係を「感性」で体得する機会を、一人でも多く一度でも多く、子供たちに与えて欲しいと願っています。この食育は道徳教育と同じで知識だけでは決して定着しないものです。体験の積み重ねによる伝承の文化だと感じています。日本古来の食の文化の素晴らしさをもう一度思い起こしながら、土作りから「命の復興」の時代を皆さんと力をあわせて乗り越えていきたいと思います。今の食環境作りこそ10年後の土作りだと思っています。

 今、私達は多くの仲間と共に、全国の学校の「生ごみリサイクル元気野菜作り」の活動支援を行なっています。また、facebookで情報発信しています。

■ホームページ、ブログなど

中尾慶子facebook

■主な著書・雑誌記事等

  • 『生ごみリサイクル元気野菜づくり』(共著) 大地といのちの会

  • お問い合わせはこちら:農文協(食と農の応援団事務局)