応援団員からのメッセージ
小清水正美

(こしみずまさみ)
元神奈川県農業技術センター経営情報研究部 部長

「夢織りの郷」のジャム加工実習から

    昨年度(2008年)の「現代農業読者のつどい(10月)」が縁で、5月に京都でジャム加工指導をしてきました。

 つどい参加者の藤原さゆりさんの職場、障害者福祉センター「夢織りの郷」は障害者の生きる力を養い生活の主人公となる取り組みをめざしています。目的達成のため、障害のある個々の方々に合わせた作業や活動を行っています。そのひとつとして地元の農産物を原料にした農産加工に取り組んでいます。加工施設十分でないこと、農産加工作業工程がまだきちんと確立できていない部分もあり、農産加工品の一部の加工は外部に委託しています。しかし、外部委託している農産加工についても、障害をもった人も作業にかかわれるような加工工程は考えられないか、あるいはここだからできるような高品質なジャムができないかとの相談を受けました。そこで、事前に加工原料となる夏ミカンとブドウを送ってもらい、自宅で昔ながらのジャムを試作し、京都の夢織りの郷へ向かいました。

 作業に従事する皆さんからは試作品の品質はOKが得られました。そして、現場での加工実習です。水と火があるだけの加工室です。加工は全て手作業で行わねばなりません。しかし、このことは昔のジャム作りではあたりまえの事です。小生の先輩は大鍋ひとつを背負って農家の庭先へ行き、竈を作ってからジャム加工に取り組んだということを度々聞いています。水と火と多少の道具があれば御の字です。早速、夏ミカンのマーマレード、夏ミカンジャム、ブドウジャム、ブドウゼリーなどの加工実習です。一連の加工工程の説明と加工作業を並行して行いました。加工作業に従事する皆さんの障害の程度、特質は藤原さんが把握しているので、どの加工工程を任せるかは藤原さんが指示します。藤原さんは職場の主任でもあるので、主任業務と加工工程の実習と記録に大奮闘でした。それぞれのジャム加工は一度だけで、修正点はあるかと思いますが、目的とする品質のジャムができ、加工工程を細かい作業工程に分けることで、障害者の誰が対応でき、携われるかの目安も付いたようです。

 最近のジャム加工指導は効率的生産や機械化を目指すことが多いのですが、今回の農産加工指導は安全と衛生という大前提はありますが、昔ながらの手作業による農産加工を行うことで、障害者がそれぞれの能力を活かした立ち位置を得られるということが分かりました。効率的な生産ではないかもしれませんが、原料の生産から農産加工にかかわる全ての人々が一生懸命に働いた成果として高品質ジャムが製造され、地域の名産になっていけば好いなーと感じています。