応援団員からのメッセージ
大村直己
(おおむらなおみ)
ほねぶとネット主宰・食育コーディネーター

食育の広がりに思うこと

 食育基本法の成立、食育推進基本計画の策定を受け、行政や各団体、地域などにおける食育推進が熱心に図られるようになってきた。講演等で全国に出かける機会も増えてきた中で、最近感じていることをいくつか書き留めたいと思う。

 暫く前までは、栄養士あるいは食生活改善推進員など食に関わる方々の研修会等に出かけることが多かったが、ここ1〜2年は、幼稚園や小中学校のお母さん、校長や一般の先生、学校医や医療関係者、養護の先生や児童養護施設の関係者、農業関係者など、様々なジャンルの集まりに声をかけていただくようになり、食育への関心がじわじわと広がりつつあることを実感している。ニュースを見れば毎日のように子供にまつわる事件が報道され、社会全体に頻発する穏やかでない様々な事件や現象に、多くの人々が何かおかしいと、食にも絡めて感じていることの表れであろうか。

 若いお母さん方についてみると、食育的なことを受けてこなかった世代が親になり、モノと情報が氾濫する中で、軸になる価値観をもてずに、戸惑いながら食育(子育て)をしている人が多いように感じる。地方の子供の外遊びが思いのほか少なく車社会の中で体を動かしてないことにも驚かされる。私の感触としては都市部の子供たちの方がまだよく遊んでいる。ある統計では日本の青少年(20歳まで)の血中総コレステロール値の平均は既に米国を上回ったという。そして日本中、ますます大人も子供も忙しく、バラバラな食事が増えている。

 一方、学校給食を柱にした食育が注目され、米飯給食が増えてきた。東京都でも数年前までは週5回の給食のうち米飯2回、パン2回、麺1回だったのが、最近は週3回米飯が主流だ。京都市でもこの春から週5回完全米飯給食にするという。地場産活用への意識も高まりつつある。学校、行政、地域(農業者・事業者)の連携、行政の中でも教育部門と農政部門の連携が重要で、実情に合った新たな地域流通システムを構築し、食育担当をはっきりさせて進めているところがうまくいっている。農業者らが関わる食農教育も広がっている。地域の人々が皆で地域の食や農を見直す中で、子供や保護者、教師にも文化に根ざした節度ある食べ方が再認識され、地域の活性化とともに、農の応援団が育つことを願っている。

 結局のところ、食育は家庭が基本である。誰かにお任せではなく親たちが自分のこととしてとらえていけるような食育が大事だ。そのためにもワークライフバランスが欠かせない。外遊びの空間、さわやかな空腹感、皆で食べる温かな空間を取り戻していかなければならない。

 企業の食育も増えてきたが食育の名を借りて実は販促活動の感が否めないものも少なくない。持ち味をいかした息の長い活動を続けている企業に敬意を表したい。と同時に、社員を早く帰らせるのも広い意味で企業の食育ではないかと最近感じている。