応援団員からのメッセージ

尾崎 正利
(おざき まさとし)

(有)職彩工房たくみ 代表取締役

美味しい獣肉を生かした加工品づくりへ

 私はいま野生動物の食害対策としてイノシシやシカを駆除して解体し利用する取り組みに関わっています。これまで野生動物の肉は「食べてみなければ分からない肉」「食べていい思い出のない臭い肉」というイメージが強かったのかもしれません。しかし、全国各地でイノシシやシカなどを衛生的な環境で処理し精肉として生かす取組みが始まっており、精肉だけでなく加工品や飲食メニューなど地域の新たな食資源にもなりつつあります。

 福岡県内添田町でも町営の解体処理施設が完成し、今年秋からイノシシ、シカの精肉の生産がスタートしました。同施設でさばかれたイノシシ肉は赤身が豚肉よりも強く脂肪分を豊富に含む白身は素晴らしい光沢。シカ肉はイノシシよりも赤身が強く、脂肪分が少ない身はぎっちり詰まった筋肉といった感じ。一番気になる臭みをほとんど感じさせません。

 血液をスムーズに除去する技が大事で同施設では地元のベテランの猟師さんたちが研究を重ねて精肉への処理方法を完成させました。地元ではこの山の肉を「英彦山(ひこさん)ジビエ」と銘打ち地元の道の駅の店頭で販売し、地元では加工品の開発を進めています。

 私が関わっているのはこの肉を使った加工品開発で、野獣の肉のイメージを払拭するような味わいを追い求める一方で、豪快な野獣らしい風味も削ぎ落としたくない、そうした微妙なバランスを気にしながら地元の皆さんと試験加工を進めています。自信作は「シカ肉ハンバーグ」「シカ肉しょうが煮」「シカ肉ワイン煮」です。加工原料のうち肉の占める割合に気をつけて、地元の加工事業者が加工商品づくりに着手しやすいよう「惣菜」の施設許可で対応できる材料配合も検討しました。脂肪の少ないシカ肉に焼き目の香ばしさを付け加えるための副材料、冷えても縮みを緩和するカッティング方法など、多少の失敗もしながら地元の皆さんと加工品開発を前に進めていく作業は楽しく力がこもります。

 先日、地元の「ふるさと祭り」で獣肉加工品の試食を行いました。2日間で延べ600名の方に提供し良い感触を得ました。この時実施した試食アンケート調査の折に「うちのシカの被害を聞いてくれ」と哀訴混じりに応じて下さる生産者の姿が印象的でした。各地の山間部の農林業にとって野生動物による食害を食い止めるのは至難の業かもしれませんが、農山村の新しい資源を元手に消費者の皆さんに問いかけを行っていく活動がそれぞれの地域に不可欠であると感じました。そして、それには新しい魅力をもっと見出していくことが大事で、野獣の肉らしさを残しつつも万人に受ける味わいづくりについて、さらに研究を重ねていきたいと考えています。