● むらづくり成功の秘訣はみんなで話し合いながらやって来たこと

 ―与保呂楽しい村づくり推進委員会

 平成8年、「三字はひとつ!」を合言葉に与保呂三字地域農場づくり協議会が発足。農作業の受委託システムなどを可能にした21世紀型地域農場づくりをめざしています。
 三字が共同で行う10月の収穫祭は、いまや近隣でも評判です。米や野菜の即売だけでなく、それぞれの団体が模擬店を出します。今年は野菜や米があっという間に売り切れ、追加の商品を畑まで穫りに行ったほどです。
 「女性部(婦人会)は料理を担当するのですが、各家庭の得意料理のコツなどを教えてもらったりするのも楽しいですね。情報交換の場にもなっています。野菜など収穫物も各家庭で異なるので、将来的には朝市のようなものをやって、安価で新鮮な物を流通するシステムをつくりたいですね」と、女性部副部長の土佐紀代さん。
 平成9年、「与保呂楽しい村づくり推進委員会」は国土庁主催の「第12回農村アメニティコンクール」で優秀賞を受賞しました。視察に訪れる人の「成功の秘訣は?」の質問にメンバーは次のように語ってくれました。
 「リーダーが1人でないことかな。100戸という数は1人では治められない。みんなで話し合いながらここまで来たのだと思います。行政にも協力してもらうけれど、主体は私たち住民です」
 「川や共有林の手入れなどむらの知恵として祖先が私たちに残してくれた約束事はしっかり活用しています」
 「退職農業者というか、わしらみたいな者にとっては作物を育てることが本当に楽しいのよね。土地を守っていこうという思いもあるし……」
 「これからが大変だといわれるけれど、わしらの下の世代も続いているし、楽しければ続いていきますよ。だから、10年後の心配はしていません」
 「集落外の人に向けて、特にこれといったことはしていませんが、与保呂は決して閉鎖的な土地ではないのです。今、ここらは格好のジョギングのルートになっているのですが、顔見知りになれば、自然に『ダイコン、持ってくかね?』とか交流が始まっていますね」
 この気負わない、遊び心いっぱいの住民たちのパワーが楽しいむらづくりの秘訣といえそうです。