● 次世代の歌舞伎を守る福浦こども歌舞伎

―福浦芸能保存会

 福浦芸能保存会では、地元の小中学校のPTAと連携して「福浦子ども歌舞伎」を結成しました。将来の後継者を育てるとともに、次代を担う子どもたちが地域文化に誇りを持てるようにとの願いからです。子ども会は小中学生あわせて10名ほどですが、子ども用の脚本を使って全員が伝習を受け、一人ひとりに師匠がついて演技指導をしています。
 その結果、平成8年のむつ下北地区子ども会郷土芸能発表大会で、福浦子ども歌舞伎は初上演を実現。また、冬の「食談義」での定期上演では「義経千本桜」を演じ、派手な化粧を施された子どもたちが、江戸時代さながらの言葉で懸命に演じる姿に、観客は大いに沸きました。
 むつ市での上演などが契機になって、平成12年には、県の半島交流事業(2カ年)で、函館の子ども歌舞伎との交流・共演を行なっています。他地域の人びとと父母も交えて交流することは楽しく、これが地域文化の再認識や自信・意欲にもつながります。
 地域固有の文化をみずから主体となって経験し心に根づかせた子どもたちは、自分にとって地域にとって、より豊かな選択をしていくはずです。子ども歌舞伎スタートのころのあるメンバーは、いま大学生になっていますが、外に出て周りの人から「すごいことをやってきたんだな」と感心されて、改めて福浦歌舞伎と地域のよさを見直したそうです。