● 劇団の活動がいつの間にか村づくりに役立っていた

 ―劇団「ほてい葵」の油田丞二さん

 劇団「ほてい葵」(代表・中西真喜子)は、団員数およそ30人の手作り劇団です。立梅用水の創設に力を尽くした西村彦左衛門の労苦と用水の重要性を見直すために「わしらのむらに水がきた!」という劇を上演し、「ふるさとの水と土を大切にしよう」と呼びかけています。最近は、勢和村出身の本草学者・野呂元丈を取り上げた「野呂元丈物語」も上演しています。
 主役の野呂元丈を演じる油田丞二さんはクリーニング店のご主人。歌や演劇を見るのが好きというだけあって、芝居は玄人はだしとの声も聞かれます。
「むらを活気づかせようなんて思って始めたわけじゃないんです。夢中になってやってるうちに、いつの間にかむらづくりに役立っていたというだけで…。劇をやるようになって、初めて自分のむらについて知ったこともありますよ」と油田さん。
 元丈の妻を演じる小林きぬ子さんは、「みんなで一つのことを完成させるのが楽しみです。仕事や家事があるので、全員が集まるのはたいてい上演当日。みんな本番に強いと言われてます。これからも続けていきたい」と話しています。
 劇団員は、40代から70代が大半ですが、時には子役として小中学生が参加することもあります。昔からの顔なじみもいますが、劇団に入って初めて知り合った人も珍しくありません。最近は、近隣の市町村からも公演依頼が舞い込んで、劇団員は大忙しです。1回の上演を30分程度に作り直して、高齢者福祉施設で上演する計画も現在進行中です。