● わかりやすい解説付きで子どもも大人も人形劇に引き込まれる


 古典の里見八犬伝をわかりやすく伝えようと、この人形劇ではさまざまな工夫が凝らされています。伏姫と八房が入った富山を、作者の馬琴は「とやま」と呼んでいますが、人形劇では地元の「とみさん」という呼び方をしたことや、「禍福はあざなえる縄の如し」の意味を、テープをよじったメビウスの輪で説明するなど、随時黒子があらわれて解説を行なう心配りは世代を越えて八犬伝を身近に感じさせたようです。
 人形劇を楽しんだ三芳小学校4年の磯辺翔太くん(下堀地区)は「人形劇は学校でも見たことがあるし、滝田城にも行ったことがある」とのこと。里見八犬伝は、お馴染みの題材のようです。
 5年生の磯辺里織さん(下堀地区)は、「面白かった。6年生が地元のことを調べて研究発表したこともあったので、滝田城や伏姫のいたという富山の洞のことは知っていました」。
 子どもに付き添ってきた母親の磯辺けい子さんは、里見八犬伝の人形劇を今までに何度か見ています。「今回初めてだったと思うが、地名の呼び方など、地元向けの解説があったのはよかった」と語っていました。
 歴史や仏教用語、儒教的な思想など子どもには少々むずかしい内容ですが、あでやかな衣装をつけた精巧な動きの人形は圧倒的な存在感があり、観客の心に舞台は印象深く焼き付けられたようです。