● 御幣


 「御幣」(ごへい)とは、神祭用具の一つで、紙または布を切り、細長い木に挟んで垂らしたもののことです。「御幣をかつぐ」(縁起を気にする)などと、私達が普段使っている言葉でもあります。
 いざなぎ流祈祷に使われる御幣は、約200種類あります。和紙に一定の約束ごとに従い小刀を切り込むと、想像しない型の御幣が出現します。幣の種頼にもよりますが、一般的には1尺2寸(吉寸)の青竹に挟み、神棚に奉納するものや、祭に太夫が使用するものもあります。
 御幣を切る時、いざなぎ流太夫は、紙の上に小刀を置き、米を供えてお祈りをしてから切り始めます。切る形は、記録してあるものもありますが、よく使われる御幣は太夫の記憶だけがたよりなので、同じものはできないといわれています。大判紙を四つ折にして、雑念を払い、出来上がる形を想像して、一気に切ります。