歴史ロマンの里としての農村の豊かさを再発見し、都市と農村の新しい交流、新しいツーリズムについて共に考えようと「歴史・文化資源を活用した都市農村交流シンポジウム」が平成12年12月2日に開かれました。
 会場となった東京都千代田区公会堂には、全国各地から約500人の人々が集まり、21世紀の都市と農村の新しい交流のあり方について熱心に話し合いました。参加した方々は老若男女、職業も農業、サラリーマン、主婦、公務員、学生、定年退職者と実に多彩で、このテーマに対する国民の関心の高さを示しているといえましょう。
 シンポジウムは、基調講演「21世紀の新しい生き方の場としての農村」、地域からの報告(岐阜県古川市、高知県物部村)、パネルディスカッションの3部に分かれて行われました。ユーモアたっぷりの基調講演では会場から笑いが漏れ、パネルディスカッションでは共感の拍手が起こるなど、和やかで熱意あふれるシンポジウムとなりました。

永江寿夫(福井県上中町 40代)
 私達の町では、「若狭鯖街道 熊川宿」として町並み保存をしています。都市と農村では資本力に差があるので、地元が主役の町おこしになるように考えて、質の良い観光を追求していかなくてはと思います。安易な商品化を避け、都市と地に足がついた交流をしたいと考えています。定住人口は減っているので、交流人口を増やしていきたい。そういう意味で、今日のシンポジウムは大いに勉強になります。
鈴木厚正(千葉市 60代)
 役所を定年退職して、現在、ミニコミ誌を発行したり家庭菜園を耕したりして、農と親しんでいます。静岡県の豊岡村という山村の山が荒れているのを知って、山仕事の手伝いを仲間としています。また、会津の小正月の伝統行事には、毎年ツアーを組んで出かけ、地元の人達と交流しています。農村と私達都市住民が産直だけではなく、農村の文化や歴史を通しての様々な形での交流を実現して、豊かな生き方ができたらいいなと考えています。
杉田義博・法子(東京都 20代)
 数カ月前に九州の天草から、仕事の関係で東京に引っ越してきました。天草では、食と農のことに関わって暮らしていました。木村先生の「地産地消」というお話がよかったですね。今、日本全国にそういうことを話す人達が増えてきていると思います。天草で自給生活をめざして農業を頑張っている仲間たちに、今日のシンポジウムでの話を伝え、「自信を持って」と言いたいと思います。いつかまた、その土地の文化を受け継ぎながら、土に根ざした暮らしがしたいと考えているところです。
鈴木アイ子(栃木県宇都宮市 60代)
 そろばん塾をやっていますが、子どもたちの心が歪んできているのではないかと心配しています。昔は、学校から帰ってきたらカバンを放り出して遊びに行ったものですが、今は部屋の中でゲームです。これでは、次世代が駄目になるのではないかと心配しています。ですから、子どもたちを原っぱで思いっきり遊ばせたいと、街づくりについて考えている所です。今日は岐阜県古川町の試みに期待して参りました。
並木芳雄(埼玉県和光市 40代)
 もう20年くらい有機農業をやっています。会員制で細かいものをいろいろと作っています。私は、近くの都市住民と交流しているわけですが、離れた都市と農村の交流についても関心があります。今、世の中が行き詰って、農業・農村が再評価されているようです。「農」が見直され、都市の人達が農村に親しんでくれれば、農業は生き返るかもしれないと思います。今日のような交流はもっともっとして欲しいですね。