- 座談会 知的ボルテージを高めるには 尾場瀬優一,寺園伸二,森川 悟,有村和章,平 千力
- 論 説 問題意識と知的な動機づけ 宮崎大学教育文化学部 中山 迅
- 論 説 「知的ボルテージ」に期待すること 鹿児島県教育委員会 寺園 伸二
- 主題研究 知的満足を引き出す理科学習 藤崎博隆
- 主題研究 追究意欲を高め,科学的な見方・考え方を育む学習材の工夫
―子どもの感じとる心を刺激し,問い続ける心を膨らませる学習を― 藤井 創一
- 主題研究 能動的自己評価をもとにしたチャレンジタイムの導入
―5年「もののとけ方」― 稲井 雅大
理科授業を行うなかで,子どもたちが試行錯誤しながら必死で問題を解決し,わかったと実感できるときには必ず学習意欲の高まりがあります。子どもたちが本気で授業に取り組む姿が見られます。子どもたちに内在するこのような学習意欲の高まりを,今月号では「知的ボルテージ」と呼ぶことにします。
この知的ボルテージを高めるためには,学習内容,指導方法,指導技術など,いろいろなことが要因としてあげられると思います。
例えば,4年生の「月と星」の月の学習を例にとると,月の動きについての学習内容は,子どもたちが確実に観察を行うと,その結果を話し合うまでもなく,月は東から南を通り西へ沈むことを理解します。子どもたちの知的ボルテージが高まるのは,観察の最中に生じる,月の出る時刻の違いであったり,月の満ち欠けであったりします。
月の満ち欠けの問題を例にとると,モデル実験を通して子どもたちは,太陽と月と地球の位置関係によって月の形が変わっていくことを理解していきます。しかし,太陽と地球と月が一直線になったとき満月に見えるはずが,地球が太陽と月の間にあるため新月に見えることに気づき問題にします。このときに,実際の月と太陽と地球の大きさと距離を縮尺したモデルを提示することにより,子どもたちは地球や月に比べ太陽は大きく,遠いところにあるので満月に見えることを理解します。私の実践では,このことが理解できたとき,子どもたちの知的ボルテージが最高潮に高まりました。この場合は,月の満ち欠けについて取り扱った学習内容と,それを解決するために持ちこんだ縮尺したモデルが,子どもたちの知的ボルテージを高めたと思います。今月号はこのように,知的ボルテージが高まるにはどのようにすればよいのかを,考えていきたいと思います。 (担当/平 千力)
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