- 特集キーワード 齋藤暁史
- 座談会 習得と活用をどう位置づけるか
齋藤勉,森田和良,武藤信男,齋藤暁史
- 学力課題の解決への挑戦 齋藤 勉
- 意味の理解を伴った知識や技能の習得のさせ方 松本勝信
- ものの変化の過程を理解させる「3コマイメージ図」の活用 酒井 悟
- 主題研究を読んで 鷲見辰美
- インフォーマルな交流の場を大切にした理科授業デザイン
─コンピュータツール(KB)を利用した5年「もののとけかた」の学習を通して─
平澤林太郎
- 主題研究を読んで 森田和良
- 児童の既存知識を生かして 山崎誠二
- 主題研究を読んで 佐々木昭弘
本特集のタイトルは,「意味の理解を伴った知識や技能の習得のさせ方」である。最近の学力低下問題に対して,理科の授業においても,基礎的・基本的な知識や技能の定着が強調される傾向にある。しかし,知識や技能を教え込むだけでは,新しい問題の解決に活用できる知識や技能は身につかないと考える。本特集では,意味の理解を伴った知識や技能の習得を図る理科の授業について提案する。
私たちは,「新しい問題に対して活用できない知識や技能は,習得できたとは言えない」という立場にある。知識や技能を活用できるかどうかは,その身に付け方が大きく影響すると考える。暗記しただけの断片的な知識や,単なるテクニックとして覚えた技能では,新しい問題場面では生きて働かないと考えるのである。知識や技能は,それらがもつ意味の理解を伴って習得されてこそ,新しい探究において活用されるととらえるからである。意味の理解を伴った知識や技能とは,例えば,実験結果から規則性を見出すことにより,自然事象の仕組みを解明することで得た知識や,問題解決のために必要な条件に着目しながら,観察・実験を行うことによって身に付けた技能などがあげられる。
このように,意味の理解を伴った知識や技能を習得させるためには,課題提示の仕方,学習活動の構成,探究が連続する単元構成など,多岐にわたる教師の働きかけが重要な役割を果たす。こうした教師の働きかけによって,子どもは,科学的な手法を学びつつ自然の仕組みを解明し,意味の伴った知識や技能を習得していくのである。
このような子どもの姿を目指した実践をもとに,「意味の理解を伴った知識や技能の習得のさせ方」を探っていきたい。(担当/齋藤暁史)
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