- 座談会 小・中学校で「エネルギー」「粒子」をどう扱うか
─小・中の連携を考える 小山敏之,酒井一好,幡谷寛之,丸山典雄
- 子どもの発想や実感を生かす授業を基本に 大高 泉
- 「物質・エネルギー」において
子どもに形成を目指す科学概念とその指導の視点 森本信也
- 小学校の新A区分における概念の指導の方向性 山口晃弘
- 主題研究を読んで 鏑木良夫
- 中学校理科第1分野におけるエネルギー概念の指導の実際 角田陸男
- 主題研究を読んで 大西秀彦
- 子どもの「力」の概念のとらえかたに関する一考察
─小・中の系統性の視点から「てこ」の授業実践を見直す─ 丸山典雄
- 主題研究を読んで 石黒 茂
これからの理科は,「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」といった科学の基本的な見方や概念を柱として,小・中学校を通じた理科の内容の一貫性を重視することになりました。「物質・エネルギー」の領域においては,「エネルギー」や「粒子」といった科学の基本的な見方や概念を柱として,内容が系統性をもつように留意していかなければなりません。
これまでに初等理科では,子どもがさまざまに物質を扱い,比較,観察していく過程のなかから,「エネルギー」や「粒子」の概念ができあがっていく学習指導を大切にしてきました。「エネルギー」や「粒子」という概念が先にあって,系統から単元や授業が展開され,子どもに内容を流し込むのではなく,物と物の関係や働きを,具体的なケースで,分析的・定量的な操作と観察を繰り返しながら,調べていく過程から生み出されていく「見方や考え方」であると言えます。「エネルギー」や「粒子」といった概念を,子どもが創造していく過程をどのようにたどらせるか,いかに構成していくかを考えていきたいと思います。
このようなことをふまえて,旧指導要領で扱われてきた内容を,「エネルギー」と「粒子」というくくりで見直したとき,単元構成や,指導方法に,どのような視点を加えることが必要なのか。また,これまで行ってきた単元構成や指導方法は,これからの「エネルギー」概念や「粒子」概念の育成にどのように関わっていたのかを,授業実践例などを通して検証していく必要があると考えます。そして,これからの子どもたちに,科学の基本的な見方や概念を培う実践の糧としていけたらと思います。
さらに,「エネルギー」に関しては,力を表わすベクトルの扱い,モーメントの扱いを,小学校段階ではどうするか,「粒子」については,粒子モデル,化学式の考え方を,小学校段階ではどうするか,さらに,小・中学校での共通理解しておくべき「エネルギー」や「粒子」概念の指導内容の方向性をどうとらえればよいのかを,少しでも明らかにできたらと考えます。(担当/丸山 典雄)
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