- 6学年「電気の利用」の教材活用 教材提供:(株)ナリカ
- 特集キーワード 寺本貴啓
- 座談会/これからの理科教育と三研究団体の連携について
日置光久,村山哲哉,一寸木肇,沼嵜雄一,船尾聖,塚田昭一,鷲見辰美,寺本貴啓
- 子どもの学びと知識内容の系統性とは 無藤隆
- エネルギー・粒子にかかわる内容と認識の系統性 中山迅
- 系統性をふまえた指導
─4学年「もののあたたまり方」の実践を通して─ 金沢緑
- 子どもは授業で「学習内容の系統性」をどのように意識していくのか 川真田早苗
- 子どもの内に認識の系統性を培うための2つの視点
─5学年「電流の働き」を例に─ 小林祐一
新しい「小学校学習指導要領解説理科編」では,「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」という4つの観点で,学習内容のつながりを示す図が,新たに掲載された。これは,学習内容の構造化を図るために設けられたものであるが,私たち教師には,「系統性を意識した授業」をいっそう重視しなければならないことを意味するのである。
また,同書には「(イ)『物質・エネルギー』については,……(省略)……。また,『エネルギー』や『粒子』といった科学の基本的な見方や概念を柱として内容が系統性をもつように留意する。……(p6)」と書かれており,単に,学年間での学習内容(知識)のつながりだけに留意して授業をするのではなく,「エネルギー」や「粒子」といった科学の基本的な見方や概念が柱となるよう,授業を工夫していく必要性が示されている。
上述の状況から10月号では,4つの観点のうち,まず「エネルギー・粒子」の内容区分をとりあげ,その系統性を意識した考え方や授業づくりについて追究する。具体的には,「エネルギー」「粒子」という科学の基本的な見方や概念を,以下の点から迫りたい。
- 以前に学習した内容が,今の学習に活かすことができる授業
- 今の学習が,次の学習につながるように工夫された授業
- 学年間の学習を結びつける教材
- 各学年の指導内容やつながりを見通した,学校全体の指導計画
そして,確かな学力を育むために,「『エネルギー』や『粒子』といった科学の基本的な見方や概念を柱とした系統的な授業とはどういうものか」,また「授業を具体的に実践する場合において,どのようなことに留意するのか」などの課題に対し,新学習指導要領をもとに検討したいと考える。
また,系統性は,各学年の学習内容を「学習内容(知識)の連続的なつながり」として留意して授業を行うだけではなく,実際に子どもたちがどのように考え,理解していくのかといった「子どもの認識や理解の連続性」についても留意する必要がある。なぜならば,子どもの理解状況を無視したまま次の学習内容に進めたとしても,深い理解につながらないからである。つまり,子どもの理解状況に沿って授業をしなければ,十分に「実感を伴った理解」をさせることができず,「確かな学力」に結びつかないのである。
このように「系統性」を意識した授業とは,まず,意識的に学習内容(知識)が系統的に積み重ねられるよう,「学習内容の系統性」に留意した授業が行われる必要があり,その一方で,子どもの発達や理解状況に沿って授業が行われるように,「子どもの認識や理解の連続性」にも留意して,授業を進めていく必要があるといえるのではないだろうか。
(担当/寺本貴啓)
|