- 6月の自然のたより 写真提供:増田和明
- 特集キーワード 金田健一
- インタビュー 飯野幹雄氏に聞く/
自然との関わりの持ち方 22年の活動を振り返って
- 「唯従自然」の生き方を学ぶB区分の授業 露木和男
- 「B生命・地球」における子どもの主体的な問題解決を支える
─4学年「追究!人のからだのつくりと運動」の実践から─ 萱野誠
- 児童に問題意識をもたせるための授業展開の工夫
─5学年「雲と天気の変化」の実践を通して─ 熊倉貴生
- 個々の観察をつなぐ授業の取組み
─5学年「花から実へ」・6学年「月と太陽」─ 横山考志
- 口から開く魚の解剖
─6学年「人やほかの動物の体のつくりと働き」─ 佐々木直人
現在の理科の学習内容は,以下のようにA区分とB区分に分けられている。A区分とB区分の違いについて簡単に比較してみると,以下のようになる。
A区分(物質・エネルギー) |
B区分(生命・地球) |
実験中心の学習 |
観察中心の学習 |
実験は
人為的に整えられた条件の下で,
装置を用いるなどしながら,
自然の存在や変化をとらえること。 |
観察は
実際の時間,空間の中で
具体的な自然の存在や変化をとらえること。 |
上の表にあるように,「実際の時間,空間の中で具体的な自然」を対象とすることが,B区分の学習の最大の特徴である。そのため,A区分の実験のように,人為的にコントロールできないことがあり,難しさを感じる場合もある。
そんなB区分ならではの課題として,「観察の視点」が定まらないことを,特に今月は取り上げたい。解説書では,観察の説明として,上の表の定義に続いて,「視点を明確にもち,周辺の状況にも意識を払いつつ,その様相を自らの諸感覚を通してとらえようとする活動である」と説明している。
4学年「月と星」での月の観察を例に,視点をもつことの重要性を説明したい。
視点が明確ではない観察 |
視点が明確な観察 |
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月の観察では,時間の経過にともなって月の位置がどのように変化するかをとらえることが必要である。そのためには,どの時刻に,どの方位に,どのぐらいの高さに,月があるのかを観察する必要がある。上記の観察のように,「時刻」「方位」「基準となるもの」との比較といった「視点」を明確にすることで,対象としている月の動きについて学習することができる。
今月号では,全国の先生方の実践から,B区分の学習の課題と対策を,視点を明確にすることを通して考えていきたい。今月号の特集が,B区分の指導に困っている全国の先生方の力添えとなることを願っている。
(担当/金田 健一)
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