- 12月の自然のたより 写真提供:増田和明
- 特集キーワード 鷲見辰美
- インタビュー 神田房行氏に聞く/マリモの不思議に迫る
- 評価を指導に活かす意味とポイント
─実感させるための「即時フィードバック」のすすめ─ 寺本貴啓
- 子どもの姿をより明確にした評価について
─3つの事例を取り上げて─ 布施司
- 評価規準を考える 鷲見辰美
- 「確かな知識・理解」の定着と評価をめざす手立て
─学んだことを新聞や紙芝居で伝えよう─ 久本卓人
- 児童がわかる地図作り
─4学年「人の体のつくりと運動」の指導と評価─ 佐藤真太郎
目標に準拠した評価の考え方が浸透してきてはいるが,実際の評価規準は,具体的な子どもの姿になっていない場合がある。教師が「どのような子どもの姿になったら評価規準に到達した」と判断するのか明確にできていないことが,原因の一つである。そのため,特に小学校においては,評価者(教師)によって,評価が異なることがある。
観点別評価の現状について,気になることが多い。
○「自然事象への関心・意欲・態度」
自然事象に関心を持って追究している姿を挙手の回数ではかれるだろうか。
○「科学的な思考・判断」
とにかく自由に調べさせて問題の解決に結びついていなかったり,実験の結果にもとづいた思考・判断となっていなかったりすることはないだろうか。
○「観察・実験の技能」
実験器具を正しく使い,結果を的確に記録できているだろうか。
○「自然事象についての知識・理解」
知識だけでなく,実感を伴った理解が図られているだろうか。逆に,実感を伴って理解したことが,科学的な知識として定着しているだろうか。
平成23年11月に国立教育政策研究所から出された「評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料(小学校 理科)」には,「〜学習評価の妥当性,信頼性等を高めることが重要である」と書かれている。
例として,「人の体のつくりと運動」の観察・実験の技能・表現の評価規準が,「人の体の骨や筋肉とその動きを調べ,その過程や結果を記録している」と示され,この評価規準について,児童の行動や記録を分析するポイントの一つとして,「硬さ」という視点を持って観察することが大切であるということが,合わせて示されている。そこで,「人の体の筋肉の動きについて,どこをどのように動かすと筋肉が硬くなるのかその過程や結果を記録している」といったように,評価規準を具体化することが考えられる。
評価規準を具体化するためには,評価規準に到達した子どもの姿をイメージし,学習指導のねらいが児童の学習状況として実現された状態を,「観点別」に,「具体的」に想定する必要がある。
そこで,本特集では,具体的な子どもの姿となっている評価規準を示し,その評価規準設定および指導のポイント,評価規準に到達していない子どもへの支援策を示す。
(担当/鷲見 辰美)
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