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生物科学
Volume.69,No.2 2018

Feb.

目次

特集:新しい学問としての動物看護学

巻頭言:動物保護の後進国・日本(大久保奈弥)……1

浅川満彦・内田明彦:「新しい学問としての動物看護学」の趣旨説明……66

若尾義人:伴侶動物における動物看護学―動物看護理論の必要性―……67
 動物看護学は,比較的新しい学問であることから,今後学問として体系化するためには,動物看護を理論化する必要がある.一方では,多くの動物種を看護しなければならないとすれば,どのようにして看護理論を策定するか,きわめて大きな問題が提示されている。
キーワード:動物看護学,動物看護理論,アビリティモデル

山川伊津子:動物看護の歴史―イギリス・アメリカ・日本の比較―……71
 現代社会において,ペットと言われる小動物が,家庭の中で準家族のような存在としてヒトと共に生活するケースが増えてきた.いわゆるペットブームと言われる中で,動物病院もその数を増やし,獣医師と共に動物看護師が活躍する時代となっている.動物看護師はイギリスに端を発し,欧米では社会的に認知された職業である.日本では統一の資格はできたものの,専門職としてはまだ公に認められてはいない.ここでは,動物看護の先進国であるイギリスとアメリカ,そして日本の歴史を振り返り,動物看護の現在までの流れをたどってみる.
キーワード:動物看護,動物看護師,歴史,イギリス,アメリカ,日本

桜井富士朗・清水宗春:伴侶動物の経済動向と動物看護師……78
 家庭でのペット(とくに犬・猫)の飼育頭数は減少傾向にある.その一方で,伴侶動物に関わるビジネス,いわゆるペットビジネスは多種多様化している.それにともない,動物看護師も動物病院以外の場で働く機会が増えつつある.本稿では,ペットビジネスの経済動向を紹介し,動物看護師の活躍の場である動物病院の実態と,今後活躍が期待できる動物病院以外のビジネスについても紹介する.
キーワード:ペットビジネス,動物病院,動物看護師

石岡克己:動物看護学教育とコアカリキュラムの策定……88
 医療が高度化した現在,動物看護師は臨床現場に欠かすことのできない存在である.動物看護教育は1967年に専修学校,2005年に大学で開始されたが,カリキュラムは長らく不統一であった.2011年以降,一般財団法人の動物看護師統一認定機構が認定動物看護師資格を統括しており,2017年には認定動物看護師の新コアカリキュラムも完成した.問題は山積しているが,公的資格化に一歩近づけたということができる.
キーワード:定動物看護師,統一認定試験,コアカリキュラム

川添敏弘:動物介在活動・動物介在介入の歴史と展望……97
 近代になって,アニマルセラピーと呼ばれる動物(主にイヌ)を介在させたレクリエーションが全国に広まっていった.現在の国際的な提言における定義では動物介在活動と呼ばれるものである.また,単なるレクリエーションにとどまらず,さまざまな分野で専門家による介入も展開されてきたが,それらは動物介在介入と呼ばれている.このような動物を介入させた暮らしがどのように展開されてきたのか,古来のオオカミとの関係から歴史をたどりながら記述し,現在の先駆的なアニマルセラピー事例を紹介する.
キーワード:アニマルセラピー,動物介在介入,ヒトと動物の関係,ペット

北澤多喜雄:伴侶動物におけるグレリン研究―基礎とその臨床応用について―……107
 新規生理活性物質の発見により,これまで不明とされてきた疾患の病態が明らかにされることがある.また,新規物質の受容体が同定され,受容体の作動薬や遮断薬がこれまで治療法がなかった疾患の新しい治療薬となることもある.本論文では1999年に発見された新規消化管ホルモン,グレリンの基礎的知見を紹介するとともにこの物質が獣医療分野でどのような疾患を標的とした創薬のシーズに成りうるのかを解説する.
キーワード:グレリン,摂食刺激作用,伴侶動物,臨床応用

内田明彦・浅川満彦:獣医療のための関連従事者の必要性……114
  人医療は医師と関連従事者によるチーム医療であるが,獣医療は小動物臨床では獣医師と動物看護師で診療を,産業動物臨床では獣医師のみで診療を行っている.そのため産業動物獣医師の過度の労働,不足が国家の問題となっており食の安全も脅かされている.これらの問題解決のための方策として動物看護師・動物保健師の必要性について述べる.
キーワード:動物看護師,動物保健師,産業動物獣医師

片平浩孝・川西亮太:野外調査から得られる寄生虫の個体群情報:データ収集事始め……120
 これまで我が国における寄生虫研究は,もっぱら病気の原因としての側面に焦点が当てられてきた.その一方で,生態系の一員として寄生虫を理解する試みはいまだ黎明期を脱したと言えず,定量的研究に必要な基盤も不十分なままである.フィールドの寄生虫研究への導入および新規参入の促進を目的として,本稿では,最初の取り掛かりに必要な考えや基礎的データの扱いについて簡単に紹介する.
キーワード:寄生虫,個体群,野外データ

書評―『道ばたの草花がわかる!散歩で出会うみちくさ入門』『花のルーツを探る―被子植物の化石―』


English_conents
Okubo Nami : Animal protection : a fairness issue in Japan (65)
Special feature : Veterinary nursing -An emerging discipline in Japan- Asakawa Mitsuhiko & Uchida Akihiko : Introduction (66)
Wakao Yoshito : Needs for veterinary nursing theory for companion animals (67)
Yamakawa Itsuko : History of Veterinary Nursing-Comparison between UK, USA and Japan- (71)
Sakurai Fujio & Shimizu Muneharu : Economic trends of companion animals and veterinary nurse (78)
Ishioka Katsumi : Education for veterinary nursing and development of the core curriculum (88)
Kawazoe Toshihiro : The History and Prospect of Animal-assisted therapy/intervention (97)
Kitazawa Takio : Ghrelin study in companion animals-basic knowledge and clinical application- (107)
Uchida Akihiko & Asakawa Mitsuhiko : Needs of the comedical worker for medical care (114)
Katahira Hirotaka & Kawanishi Ryota : Parasite populations found from field surveys : a brief introduction to data collection (120) Book review (127)




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