−栃木県鹿沼農業高校の実践−
栃木県立鹿沼農業高等学校教諭 萩原 靖弘
1998(平成10年)8月
学校を舞台に、木炭と木酢液を利用して、環境保全型農業を連携して実現しようという試みは、全国的にも初めての事例と自負しております。
本校独自の炭窯の開発、炭と木酢の利用法を報告いたします。
製炭法の改良とマニュアルの作製により、一般に普及性のある製炭法の開発を行っております。
(これは、文部省より科学振興費補助を受けて、研究を進めております)
「現代農業」誌やこのコーナーを見せていただいておりますと、製炭に土窯を用いているものが多いようです。
しかし本校では、地場産の大谷石と蝋石を用いた新しい窯を築窯中です。
試行錯誤を重ねて、ここまでやっとたどり着きました。
本校では、製炭の産物である木炭と木酢液を用いて、環境保全型農業を実現すべく研究を重ねております。活用している部門は下記に示すとおりです。
現在、検討中のものも含めてご紹介いたします。
糞の臭気対策については、木炭を粉砕し、よく摺り潰して、飼料と混合して給餌することにより、解決できます。また、これにより、肉質の改善も期待できるものと思っております。
堆肥の熟成促進と臭気対策については、木炭粉と木酢液を堆肥に散布する他に、堆肥から分離して培養した好気性菌を混合することにより、臭気並びに発酵の促進が図られます。
また、菌蕈(真菌類)の菌糸を混合することにより、藁の細分化を図ることができ、上質の堆肥を生産する見通しが立てられつつあります。
肉質の改善については、遅くとも2年後になれば、結論が出ます。
ところで、牛に木酢液を給餌する場合、木酢液を精製することが必要ですが、確実な木酢液の精製法についてお教えいただけるとありがたいと思います。
どなたか、よろしくご教授ください。
水耕栽培のベット材料としては、ロックウールが用いられております。
ロックウールは4作後には新しいものと交換しなければなりません。ロックウールはスラッジを繊維化したものを接着剤で固めたものと聞いておりますが、使い回しが聞かず、産業廃棄物となってしまします。環境や安全な食品を売り物にする農業にとってイメージダウンとなりますし、産廃を排出すること自体が問題です。
そこで、ロックウールを木炭に置き換える実験に着手しております。水分や湿度管理に難しさがあると予見されますが、作目など検討を加えて、今年度は苺の栽培を対象にして研究・開発を進める予定です。
カトレアの栽培土に木炭を用いて実験中です。
標本数など問題がありますが、成績は上々と言うところです。
また、シクラメンの栽培土に木炭粉を混合して栽培しようと計画をしております。
以前、花栽培農家で燻炭を混入し、花色、花姿ともに良好な製品を生産していた経験がありますので、目新しいことではないですが、話題提供程度になると思っております。
果樹については、知見がありますので、実施するのみです。
学校を舞台に、木炭と木酢液を利用して、環境保全型農業を連携して実現しようという試みは、全国的にも初めての事例と自負しております。今後をご期待ください。
参考になる資料などありましたら、お教えください。また、みなさまより、ご指導いただけますと幸甚です。
氏名 萩原 靖弘(はぎわら やすひろ)
勤務先 栃木県立鹿沼農業高等学校
郵便番号 322-0524
住所 栃木県鹿沼市みなみ町 8-73
電話 0289-75-2231
FAX 0289-75-1420
E-Mail ootuki@rose.plala.or.jp