「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2006年1月号
 
小浜市地図
(写真提供 北村充全)

食農教育 No.45 2006年1月号より

ワラから紙をつくる

虫食い、ヨレヨレでしめ縄にはちょっと……、というようなワラもムダにすることなかれ。煮とかして紙をつくろう。

編集部

協力 青梅市立河辺小学校

<材料/1クラス 35人分>

小浜市地図
(写真提供 北村充全)

稲ワラ(金バケツ8分目くらいの量)、
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)50gほど、
PVA入り洗濯糊100ccほど、
漉き枠
金バケツ、ミキサー、
衣装ケース、 ガスコンロ

(岡本央撮影、以下同)




<ワラパルプをつくる>

硬いワラの繊維をとかして、紙のもととなるパルプをつくろう。アルカリ性の液(苛性ソーダ、重曹、草木灰など)で煮ると、リグニンやペクチンなどの物質が溶けて軟らかくなる

 1.3cmほどの大きさに細かく切った稲ワラを金バケツに8分目ほど入れ、ヒタヒタになるくらいの水を加えたあと、苛性ソーダを入れる。取り扱い注意

 2.ガスコンロに金バケツごとのせて火を入れ、竹の棒などで上下をかき混ぜる。ふきこぼれないよう注意しながら煮る

 3.次第に紅茶のような香りが漂い、フキの煮物のようにねっとり感がでて、芯がなくなればOK。30〜40分ほど。苛性ソーダの量が多ければ早く煮える(アルカリの弱い重曹だと2時間以上かかる)

 4.ザルにあけて、ワラをほぐしながらよく水洗いする

 5.水を少し足してミキサーにかける。ワラの量が多いので、何度も何度もミキサーがけを繰り返す

 6.こんな感じになる。これを布で絞れば、いわゆるパルプのできあがり。ここでは、そのまま水を足して紙漉きをしてしまおう

<流し漉きに挑戦>

水に混ぜたパルプに糊を入れて、紙のもととなるトロっとした水(フナミズ)をつくる。糊を入れるのは、繊維をつなげるためではなく、繊維と繊維を均一にからませるため。糊がないと、漉き枠から水がすぐに流れ落ちて厚さが不均一になる。

漉き枠
漉き枠は図工の時間に手づくりしてもよい。約1cm角の角材を組み合わせ二組の枠をつくる。一方に網戸用の網や古ストッキングを画びょうなどで貼り付ける

 7.衣装ケースの半分くらいになるよう、パルプを水でうすめてから、糊を入れる。かき混ぜてみてすぐにパルプが沈まない程度の量

 8.フナミズをよくかき混ぜてから、漉き枠を入れて軽く前後にふる。

 9.漉き枠の上部をはずす

 10.上から下敷きをかぶせて、ひっくり返す

 11.網の上からタオルで水分をふきとる

 12.漉き枠をはずすと、ほら、こんな感じ。職人さんのようにはいかないが、そこはご愛嬌

一日乾かしたあと、ランプシェードをつくった。厚さのムラがかえって紙の味わいを深くする
(土台は照明キット(株)クラフテリオ
 電気器具セットC 550円 TEL06-4308-1138)

<授業メモ>

・苛性ソーダの扱いは危険なので、1〜5は事前に準備

・流し漉きだけで90分(45×2)かかる(衣装ケース1個で子どもたちが順々に3〜4枚ずつ流し漉くばあい)

・ミキサーがけと流し漉きを両方するばあいは、90分以上かかる。ミキサー、衣装ケースが2つずつあれば90分以内で十分できる

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