「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2007年1月号
 

食農教育 No.52 2007年1月号より

乾燥している玄麦にふれる

やってみました

地域の麦文化にふれる 棒打ちとタイマツ回し

東京・立川市立南砂小学校

文・写真 岡本 央

 東京都立川市立南砂小学校(真壁繁樹校長)では、総合的な学習の時間などを利用して、五年生が麦を栽培している。立川市砂川地区はいまはほとんどすたれてしまったが、もともと麦作が盛んな地域で、保存会などによって麦打ち(脱穀)のさいの労働歌である「棒打ち歌」が伝えられている。また、三〇年ほど前までは、お盆の迎え火、送り火として、麦わらを束ねてつくった「タイマツ」に火をつけて軒先や五日市街道で回す、勇壮な「タイマツ回し」が行なわれていた。

 南砂小学校では二〇〇五年から、夏休みに地域のお年寄りの協力を得て、麦の棒打ちを体験するとともに、収穫した麦を使ってタイマツづくりやタイマツ回しを復活させた。棒打ちやタイマツ回しをとおして、子どもたちは地域に伝わる麦の文化を体験するとともに、その担い手になっていく。

 なお、五年生が収穫した麦は小麦粉にして、うどんやすいとんをつくって食べる。また、味噌づくりにも利用するという。


タイマツづくり

2005年11月に植え、2006年6月に収穫した麦わらを使ってのタイマツづくり。
指導にあたったのは「立川市シルバー人材センター地域班南砂小学校おたすけ隊」の
お年寄り。麦わらを太さ30cmぐらいに束ね、縄でしばり、
上の部分を編みあげてきれいに刈り取り、長さ2mの縄を取り付ける。
編むのが難しいが、何個かつくっていくうちに、どの子も一人でできるようになった
夏休み中だったが、体験を希望する子どもたちが集まってつくった

棒打ち体験

「くるり棒」という農具で麦をたたく。
立川市砂川地区伝承民謡保存会の人たちは子どもの手を取り、
ていねいに教えていく。しかし、うまく回転させられなかったり、
打つ場所が定まらなかったり、思うようにいかない
夏休み中だったが、体験を希望する子どもたちが集まってつくった
くるり棒は柄の長さ140cm、回転部の長さ100cm、幅11cm。
柄の部分は竹、打つところは杉やエゴノキの一本棒でできている。
柄を両手に持ち上下に振ると、打撃部が回転して麦をたたき、粒を落とす。
コツは、横にぶれないように柄を持ち上げ、
棒の先が麦の真上に上がったところで力を入れ、真下に打ち落とすこと。
棒打ちは棒打ち歌を歌いながら何人かで一緒に行なう。
保存会の人たちが実演してくれた

タイマツづくり

暗くなると、タイマツ回しが始まる。タイマツの根元に火をつけてもらう
火がついたら、縄の端を持って、頭の上で回す。落ち着いて大きく回すことが大切。あまり勢いよく回すと火の粉が飛び散るので、注意が必要
校庭に並べられた50個のタイマツに火をつけていく。
子どもの体のまわりを火の玉がぐるぐる回る光景は、勇壮で幻想的だ。
祭りには地域の人、保護者、子どもたち450人が参加した
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