農文協食農教育冨田きよむの学校デジカメ写真術 > 第9回

第9回 捨てカットを撮る

 捨てカットと言うのは、話の本題とは直接関係のない写真のことだ。お話をする場合でも同じことがいえるけれど、本題ばかりしゃべっていても、聞くほうは疲れる。笑い話や失敗話、ときには思い出話など、本題に関連する話をちりばめるのが一般的だ。
 写真も同じ。
 今回は熊野古道をテーマに選んだ。熊野古道を写真にとって、例えばHPにしたりパワーポイントにしたり、印刷したりして人に説明するときのことを考えていただきたい。石の階段の写真ばっかり写したってちっとも楽しくないはず。
 熊野古道に行ったとき目にした物すべてが、熊野古道なんだ。要するに、捨てカットと言うのは、不必要なカットではなくて、ほっと一息つける「箸休め」のような物である。

※画像をクリックすると拡大表示します。

参考例 世界遺産を歩く親父

『食農教育』本誌上では伝えられなかった、実際のホームページにおける捨てカットの使い方の参考例だ。本題の写真と捨てカットに注意しながらのぞいてみよう。これが話の本筋ばかりだったとしたら――。楽しくなくては何にも伝わらないことがよくわかるはずだ。

コツ1 本題の写真をしっかり撮る

熊野古道といえば、こういう写真を思い出す。観光ポスターやらパンフレットにもなっているし、熊野古道はおおむねこうなっていますよ、ということを説明するにはこういう写真が向いている。けれども――


コツ2 よもやま話を捨てカットで

那智勝浦から那智大社まで歩いたよー。大門坂ってこうだったよー。と、実際に歩いて感じたよもやま話を説明するには、上の写真では不完全だ。
熊野古道とは直接関係はないけれど、見る人がつい意見できるようなリアリティを生み出すために必要な情報が捨てカットだ。


途中ですれ違った平安衣装を着たお姉さん

大門坂を登りきって那智大社に向かう長い石段の途中にある郵便局。「ここで一休みしたんだよー」

くたくたになって歩いているとき目の前にあった交通標識
 

存在感のある杉の大木。思わず手を広げてくっついて耳を当ててみたくなる

▲このページのトップ

2005Rural Culture Association (c)
All Rights Reserved