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栗
 自然のクラフト素材で、築38年の館内をリニューアル  
  ●土屋清美

和紙にホオの枯れ葉を貼り付けたもの
和紙にホオの枯れ葉を貼り付けたもの。こんなのを壁に貼ると、ちょっといい感じ!

 私は長野県小谷村の栂池高原の「農文協・栂池センター」で調理師をしています。ここは、3年前までは無機質で温かみのない「研修センター」そのものだったのですが、お客様の冷たい視線に1念発起。一気に模様替えをしました。といっても予算がなく、何も買うことができないので、とりあえずテーブルにはクロスを敷き、山野草を飾り、枯れ葉でオブジェをつくって染みだらけの壁をデフォルメ。38年間使い続けた穴のあいた椅子にはレースをかけてごまかし、ボロボロのカーテンを洗濯してリボンでまとめました。お金をかけず、できることから少しずつ。自然のディスプレイを大事に館内をリニューアル。おかげさまで、皆様からたいへん喜んで頂いております。

 日本には4季があり、春には美しいお花が咲き、夏には緑が覆い繁り、秋にはたくさんの実がなって、冬には自然にドライ化された花や葉ができます。1年を通じて、自然は豊かなクラフト素材の宝庫です。

 せっかく自然に恵まれたところに住んでいるのに、活用しないのはもったいない。春から秋まで、お花があるときは、私は毎日お花を飾ります。花屋さんのお花が飾ってあってもそれはダメ。なぜかって? それはお客さんも見慣れているからです。一輪でもいいから、山野草、野の花を飾ったほうがいいのです。

リンドウ
季節の花を飾る。
秋はリンドウが素敵です
和食器の小鉢に炭とコケ
和食器の小鉢に炭とコケ。お盆に載せて小石とドングリで季節感を演出

 ただし、注意しなければいけないのは花瓶です。花に合ったもの……。それは、台所の食器で昔のものが最高です。

 栂池センターの100個前後の花の飾り付けは、私が1人でしています。1日30個くらいずつ、5〜6日かけて取り換えていきます。長靴を履いてカゴとハサミ、水の入ったバケツを持って、散歩がてら山に入る日々です。

(栂池センター 長野県北安曇郡小谷村栂池高原
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